見出し画像

台北ハイカークラブと曽根さん

僕は台湾の社会で、日本人として何ができるかを考えて生活しています。台湾の社会に何か貢献したい。一つは建築の仕事であり、一つは台湾のジャズ活動の応援です。ですので、僕の知った台湾のそれらのことを日本人にも知ってほしい。僕が情報発信をしているスタンスはそういうことです。

その様に考えた時に、異なったテーマではあるけれども、同じ様に台湾のことを積極的に紹介している人がいます。テーマは"台湾の登山とハイキング"、その活動をしているのは曽根正和さん。台湾ではMichaelさんと呼ばれています。

Dorotheaさん

4年前、家内に台北でも運動しろと盛んに言われていた時、たまたま山登りをやっているという女性と知り合いました。Dorotheaさんと言います。彼女が毎週の様にハイキングでトレーニングをしているというので、良い機会だと思い、彼女が普段行っているトレーニングコースに連れて行ってもらいました。三峡にある鳶山登山歩道です。初めてのハイカーにはかなり厳しいコースでした。

このDorotheaさんが、日本人の主催する本格的な登山クラブがあると教えてくれたのが、Taipei Hiker Clubでした。そして、クラブの懇親会があるというので連れて行ってもらい、リーダーの曽根さんに紹介してもらいました。

鳶山のハイキングコース

台北ハイカークラブ

曽根さんにによると、このクラブの発端は、台湾にいる日本人のグループでの登山活動だったそうです。10年ほど前に、曽根さんが仕事をリタイアしてから、台北での活動として登山に力を入れることになり、日本人のメンバーを募って始めたとのこと。
しかし、年を経るに従い段々と日本人は少なくなっていき、今は台湾人をメインのメンバーとして活動しているそうです。

クラブの登山活動は、難易度によって5つに分かれています。レベル1の初心者コースから、20キロもの荷物を背負って3、4日台湾の高山地帯を縦走するレベル5まで。
Dorotheaさんによると、この台北ハイカークラブの登山はかなりハイレベルで、初心者が参加すると痛い目をみるとのことでした。ですので、初めてこのクラブの活動に参加するのは、レベル2のものにしました。それは、陽明山のバスターミナルからスタートして、竹子湖をめぐり紗帽山を迂回するというコースでした。歩いた時間は約5時間。このレベルはなんとかなりました。

レベル2のコースに何度か参加し、これなら問題ないと自信を持ち、レベル3のコースに参加することにしました。ルートは苗栗と台中の間にある百川山。走行時間は8時間。上り下りする標高差をガイドとして示してくれていますが、上り下りそれぞれが700mでした。これは流石に難易度が違った。このコースでは、もうこれ以上歩けないと2度も音を上げました。足がつってしまい、歩けない状態になってしまったのです。
曽根さんはこの様な状態になるハイカーには慣れているのでしょうね。持っている荷物を仲間に分けるとか、塩を舐めて足の痺れを克服するとか、さまざまに励ましてくれて僕が歩ける様にしてくれました。
この日の経験でレベル3の厳しさを体験し、登山でその様な状態になった時の克服法を教わり、その後のレベル3のハイキングはなんとか最後まで歩ける様になりました。

百川山のハイキングコース

レベル4やレベル5のハイキングは、本格的な装備を準備してのテント泊になるものなので、僕は参加していません。基本的に1日のスケジュールでないと会社員には参加するのは難しいですね。体力の面でも心配です。

曽根さんの活動

曽根さんは、この登山活動を継続的に10年行い、その詳細な記録をHPに紹介しています。その内容は、ルートの紹介、難易度の提示、高度差の説明、そして活動時のたくさんの写真からなっています。

この報告を、週に2回3回と行っているハイキングについてやっているので、資料は膨大な量になっています。台湾で登山をやりたい、あるいは僕の様に台北市郊外でハイキングルートを見つけたいと考えている人にとっては、宝の山の様な資料だと思います。
この様な資料は、台湾の出版社による中国語のものはもちろんたくさんありますが、日本語のものはありません。その意味でもこの資料はとても価値の高いものだと考えています。

もう一つ僕が曽根さんのことを尊敬していることがあります。それは日本人/台湾人という枠を超えて、この様な活動を台湾人を交えて行い、日本人に対して情報発信をしていることです。
台湾在住の日本人の多くが、日本人コミュニティーの中でだけ活動しています。交流する際の言葉は日本語で、日本語の世界を対象にして活動しています。中国語を使って日本語と同じ様に活動するのは、かなり難易度の高いことなのでそれは仕方のないことだと思います。
しかし、曽根さんはこのクラブの活動をほぼ全て中国語を使って行っています。HPにおけるルート案内からコミュニケーション、実際のハイキング活動での会話、それらが全て中国語で行われています。そもそも、メンバーがほとんど台湾の人なので、そうする必要がありますが、それを行う能力が曽根さんにあるからこそできるわけです。

その様な活動を、自然体で行っている曽根さんの様子に僕はいつも感銘を受けています。この様な形で、台湾人コミュニティーの中でリーダーを務めている日本人がいる。僕にとっても尊敬すべき人です。

曽根正和、マイケルさん

日本の登山雑誌に掲載された、曽根さんの記事

曽根さんは常々台湾の山は素晴らしいと話しています。台湾が日本統治にあった際、日本における高山のベスト10のうち9つが台湾にあった。九州ほどの大きさの国土に、300mを超す高さの山々が160峰を超えてある。この自然環境は賞賛に値すると。そして、実際にその山々を踏破して詳細にその記録を残しています。

今年になって、曽根さんが日本の山岳雑誌に台湾の山のことを紹介したと言っていました。PDFでのリンクがあると紹介してもらったので、そのリンク先を下に貼っておきます。
概要ですが、台湾の山の素晴らしさと、ハイキング活動の現状を紹介しています。台湾のハイキング活動に興味のある方は是非ご一読ください。

https://www.jpnsport.go.jp/tozanken/Portals/0/images/contents/syusai/2023/tozankensyu/2-3sone.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?