見出し画像

自分の分身に出会った!

自己紹介で述べた様に、僕の業務経歴はとても特殊なので、同じ様なキャリアを経てきた人間にこれまで会ったことはありませんでした。ですが先々週、偶然に驚くほど似た経験と能力を持った人間に出会いました。

僕が今いる建築コンサルタント会社で勤めることになった経緯は、下記のnoteの投稿をご覧下さい。

4カ国合同の日本での研修

我が社のサービスしている日系ディベロッパーは海外数カ国に事業を展開しています。我々は台湾の現地法人、他にもアメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、中国にそれぞれ現地法人があります。
2月の初旬に台湾人スタッフを連れて日本に研修旅行に行くことになったのですが、その際に同じタイミングでシンガポール、マレーシア、タイのスタッフも加わることになりました。ホストになる日本側では、4カ国の人間を迎えて研修するので、準備におおわらわだったようです。
台湾側のチームは台湾人5名に日本人2名、東南アジアのチームは各国から1名ずつに日本人1名というメンバーでした。

こんなに色々な国の人がいるので、言葉の処理が問題になりました。東南アジアの人たちは英語でコミュニケーションをとり、台湾人は中国語で話すことになるのですが、よくよく聞くとマレーシアとシンガポールの2人は、華僑系なので中国語も話せるということでした。ですので日本側の説明を日本語から中国語にして伝え、それをシンガポールの人が英語でタイのスタッフに説明するという形に落ち着きました。このメンバーでの公用語を中国語にしたということですね。

このような研修を四日間続けたので、この東南アジアの仲間ともいろいろ話すことができました。

シンガポールの顏さん

その中に、我々に気軽に話しかけてきたシンガポール人がいました。顏さんと言います。彼と僕とは3カ国で話すことができました。英語、中国語、日本語です。どの言葉のコミュニケーションが楽か試しましたが、中国語しか話せない同僚も一緒なので、共通語は中国語になりました。

彼は、この日系ディベロッパーに勤め始めて8年になるそうです。僕は台湾でコンサルタントとしてサポートを始めてまだ5年ですので、会社内でのキャリアは彼の方が長くなります。
僕の勤めているコンサルタント会社は、シンガポールやタイでも業務を行っており、このエリアは上司が担当していたので、顏さんにこの上司のことを知っているかと尋ねたら、もちろんですとのことでした。それで、彼とのツーショットを撮ってLINEで上司に送りました。(表紙の写真です)

上司からはすぐに返事が来て、シンガポールではお世話になっているので、いろいろ話をしてくださいとありました。そして、2人とも同じ丹下事務所の出身なので、共通の話題も多いでしょう、と書いてきたのです。
エッ、同じ設計事務所の出身?会ってまだ数時間しか経っておらず、彼からは昔の経歴までは聞いていなかったので、とても驚きました。そして、そのことを顏さんに聞いてみたら、その通りでした。彼もとても驚いていました。

丹下事務所の卒業生

丹下事務所のリエゾンオフィスはシンガポールにもあり、多くの実作品をこの国で実現しています。顏さんはシンガポールで丹下事務所に採用され2年働き、その後日本のオフィスでも数年働いていたとのことでした。
彼は僕より下の世代でしたので直接の面識はありませんが、共通の知り合いにはこと欠きませんでした。事務所の代表丹下氏、アジア事業部長のA氏、設計部のチーフI氏など。僕は丹下事務所を離れてもう20年近くになりますので、これらの元同僚が今も頑張っていると聞いて、とても懐かしく思いました。
この事務所は、元々丹下健三先生の東京大学の研究室からスタートしているので、とても多くの建築設計志望者が学んでいます。そして、実務を学んでは卒業していくという学校のような組織なので、彼も僕も丹下事務所の卒業生だったわけです。

国際結婚の夫婦

そして話をしていると、彼は奥さんが日本人で、今シンガポールに住んでいるとのことでした。日本に住んでいる時に知り合い、結婚してからシンガポールに移ったのだそうです。

家での夫婦の言葉は英語がメインだそうです。彼の母語は英語で、合わせて中国語も堪能。一方奥さんは英語がとても流暢なので,英語でコミュニケーションをとっているそうです。奥さんは子供とは日本語で話すので、彼は子供たちに笑われないように今日本語の特訓をしていると言っていました。
そんなわけで、顔さんは3カ国語が話せるわけですね。
我が家では、日本語と中国語がメインの言語でどちらでも話せます。英語も2人とも旅行には困らないくらいには話せるので、トリリンガル状態。この、言語における自由さも彼らの生活とよく似ています。

そして奥さんと旦那さんが二人とも複数の国で働いたことがあり、その上で仕事と生活にふさわしい国と環境を自主的に選択しているところもよく似ています。

よく似た背景を持った二人

このような、華人と日本人の組み合わせの国際結婚で、過去丹下事務所で仕事をしていた建築設計技術者。そして、今は同じ日本のディベロッパーの元で、同じ様に品質管理の仕事をしています。これだけ似通った経歴を持っている人間がいることに驚きました。そしてあっという間に意気投合しました。

彼ら夫婦の間を取り持ったのは台湾人なのだそうです。それなので、2人とも台湾にはとても好感を持っているとのこと。
僕らは旅行で初めて一緒に行った外国がシンガポールで、閩南語が通じる国情に家内がとても親近感を持っていること。また日本でできる友人にもシンガポール人がとても多いことなど、我々もシンガポールをとても身近に感じています。

顔さんは今度は台湾に家族で遊びに来ると言ってました。台湾に少なからず友人がいるので、台湾に遊びに行くのは普通のことなのだそうです。シンガポールから日本へのフライトを選ぶと、台湾経由という便もあるので、日本に行く際にちょっと寄るということもできます。
僕ら夫婦は初めてのシンガポール旅行から既に30年が経っており、最近の新しいシンガポールを見てみたいと前々から考えているので、近いうちにシンガポールに遊びに行くことになるかもしれません。

夫婦同士で一緒に会った暁には、また色々な話ができるでしょう。奥さんは奥さんで、建築技術者の旦那をもって外国で生活をしているという共通点があります。彼女たちは日本語で話すことになるでしょう。

これほど似た境遇にある人間にかつて会ったことがありません。そして、今後とも付き合いが続くように思います。
研修最後の日、顏さんとは握手をして別れました。

神様は、時としてとても面白い形で、新しい友人を紹介してくれますね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?