見出し画像

【提言】10年後の確実な未来に対して動く

皆さんは10年後の社会がどのようになっているか想像したことはありますか?

私は約10年前に、個人事業主として独立してからいつも10年後の社会がどうなっていて、その時に自分はどう在りたいかをイメージしてきました。そして、そのイメージから逆算するようにどこに向かってどのような仕事をしていくかを考え、これまで行動してきたつもりです。

逆に言うと、独立しなければ10年後の未来をイメージすることもなく漠然と生きてしまったかもしれません。自分の力で稼ぐようになって初めて未来を真剣に考えるようになったのです。

一口に10年後の未来と言っても、個人レベルから国レベル、暗い未来や明るい未来など様々にあるわけですが、今回は現時点において、私がどのような10年後の姿を見据えて活動しているのかを少しお話ししたいと思います。

近い未来は予見できない

過去に起きたリーマンショックやITバブルの崩壊を直前に予見できた人はいません。現在進行形ではありますが、新型コロナウイルスやウクライナ戦争も同じく見通せた人はいないと思います。いたとしても極々わずかでしょう。

日本は地震が多く長年研究もされていますが、首都直下地震や南海トラフ巨大地震も今後30年以内に約70%の確率で発生すると言われている通り、1年後や3年後などの近い未来として予測するのは不可能です。

しかし、たとえば自動運転車やドローンによるデリバリー、宇宙旅行などは10年後には確実に訪れると予想できます。なぜなら、これらは小さな範囲ではすでに実装されているので、その先で社会に広まることは想像に難くないからです。

このように1年後や3年後など直近数年間の予測は非常にむずかしいのですが、10年後であれば誰にでもある程度は見通せるのです。それでは、私たちが活動する医療や介護、ヘルスケア領域の10年後がどのような姿になっているのかを少し想像してみます。

著しいテクノロジーの進化

遠隔医療

遠隔医療とは、医療機関の間における“遠隔診断”と医療機関と患者の間の“遠隔診療”に分類され、インターネットなどの情報通信技術を用いて医療を行う行為のことです。

離島や山間部の課題としてあった医師不足に加えて、コロナ禍では通院も抑制されたことから、遅々として進まなかった遠隔医療も、各地で実証実験が行われるなどその高まりを見せ始めています。

これに加えて、医師不足自体が10年後には解決されているかもしれません。それは医師が増えているとか患者が減っているという話ではなく、医師の数がそれほど多くは必要とされないという意味です。

というのも、2018年末時点で手術支援ロボットのダヴィンチは、約5400台が世界で販売され、日本では約400台が稼働しているそうで、10年後には5Gネットワークを活用した遠隔手術によって、場所を選ばず、医師一人で何件も効率的にこなせるようになります。

ですから、10年後の未来では手術のときだけ病院に行くようになっているかもしれません。

自動運転車いす

こちらも慢性的な介護人材不足で悩む介護施設にとって待ち焦がれる技術だと思われます。

筑波大学准教授でメディアアーティストの落合陽一氏などが代表取締役を務めるピクシーダストテクノロジーズ株式会社は、従来の電動車いすに自動運転化ユニットを搭載することで、電動車いすを自動運転車いすに変えることができる装置「xMove」を開発しています。

これは利用者が車いすに乗って移動するだけでなく、誰も乗っていない状態の車いすを片付ける際にも活用できますし、さらにその将来は、高齢者の日常生活圏内のモビリティとしても見据えているのではないでしょうか。

また重要な点として車いすの自動運転化が進むと、専門スキルの高い介護士はより高度な介護を必要とする利用者に専念でき、無資格の一般人は介護に参加しやすくなります。

これは介護の人材不足と高齢者の移動問題を解決できる技術だと考えます。

アンチエイジング遺伝子

最近の研究では、老化は体の中のテロメアという構造が年とともに擦り減ることが原因だと分かっていることから、科学者たちの間では老化を「病気」として扱うようになってきています。

さらに、テロメアを伸ばすことで若返りの症状が表れることもすでに実証されており、マウスの遺伝子実験では老化を抑制して寿命が延びるという結果が出ているそうです。

つまり、運動や食習慣を変えるだけでなく、アンチエイジング遺伝子治療によって、耳が聞こえにくくなったり、肌がたるんだりする老化(加齢に伴って起こる身体や精神のさまざまな働きの低下)のスピードを遅くしたり、老化した状態を改善したりと、老化がコントロールできるようになるのです。

昨今、100歳を超える高齢者は当たり前になりましたが、そう遠くない未来では不老不死ならぬ「不老長寿」が実現し、死ぬ直前まで健康でいられる時代が訪れるかもしれません。

10年後の在り方

私たちは前述のようなテクノロジーを持つ外部事業者との結びつきにより、10年後の社会を想像し実現可能なものとして事業を推進していく試みですが、それと同時に企業としての在り方も考えています。

それは「トークンエコノミー」です。私は“私たちの活動に共感してくれる人とつながりたい”と考えており、その共感者が私たちを支えられる仕組みを構築したいのです。

このトークンエコノミーでは、商品やサービスを提供する事業者が代替貨幣としてトークンを発行し、ユーザーが購入して使うことで特定のサービスが受けられ、トークンの経済価値が生まれます。

銀行からの融資や株式を上場(IPO)させなくても、企業の株式をブロックチェーン上のデジタルトークンとして発行することで、実績の少ない(小さい)企業でも事業拡大や新規事業の立ち上げなどでの資金調達が可能なのです。

その見返りとして、私たちのビジョンに共感してくれる人たちにトークンを保有してもらうことで、私たちの商品やサービスの優先購入や特別なイベントへの招待、私たちと共に働く権利の付与などができると考えています。

つまり、これはトークンという代替貨幣を用いた経済圏のことで、そのトークンの信用や価値を支えているのが、「ブロックチェーン技術(分散型台帳)」なのです。(ブロックチェーンについての詳しい説明は省きます)

このように、私はトークンエコノミー(独自の経済圏)によって、世界中の共感者に支えられ、その共感者と一緒に成長できる企業になりたいと考えています。

近年、日本でもこのような仕組みのプラットフォームが出てきましたが、それらは私の意図するものではなく、そこにいる個人投資家のほとんどは株式の値上がりを期待しているだけです。

加えて、おそらく日本国内の居住者で特別永住者証明書などの保有者のみが購入できるものとなっているはずで、ひどく狭い範囲でしか投資を集めることができません。

私は、トークンの購入対象を日本人に限定したくないという思いがあり、国境を越えた経済圏を構築したいと考えています。このような考えに至った背景には、海外の友人が私のために与えてくれた4年前の体験があるからです。

クロアチアでのフィールドトリップ

エストニアのスタートアップ「Funderbeam」は世界に先駆けて、世界中のスタートアップと個人投資家を結ぶマーケットプレイスを2016年にローンチしました。

当初、その核となる技術がブロックチェーンでした。興味を持った私はすぐにFunderbeamのチームと仲良くなり、彼らのサービスを利用しました。そして、エストニアやクロアチアのスタートアップに少額を投資したのです。

すると翌年、Funderbeamの一人のスタッフ(友人)と投資先の一つの企業(クロアチアでブルワリーを展開する)が、私のためにツアーを企画してくれました。私は友人に「せっかく投資をしたのだから、そこのビールを飲んでみたい」と話していたことから、彼らはその願いを叶えてくれたのです。

私はクロアチアに渡り、彼らのガイドのもとブルワリーを見学してたくさんのクラフトビールを味わいました。これは私にとって非常に貴重な体験となり、いつまでも忘れられない大切な思い出となりました。

友人がそのときのことをブログに残してくれています。

トークンエコノミーの魅力

改めてこの体験をなぞると、私はマーケットプレイスから応援したい企業を見つけ、そこに少額の投資をしました。日々の事業活動の進捗状況を共有し、売上が伸びたり、新しい商品を開発したり、新しいスタッフが入社する度に、投資先の企業と喜びを共有したのです。

そして、オフラインイベントが開催され、一堂に会しました。オンライン上ではお互いのことを知っていたので、現地に着いてからすぐに仲良くなりました。私は共感者として彼らといつも共にあったのです。これがトークンエコノミーの魅力なのです。

私はNurse and Craftを応援してくれる皆さんに、私と同じ体験を味わってほしく、それを近い将来に実現したいと考えています。

企業としての幸せを考える

10年後の社会がどのようになっているか、それを踏まえて10年後の自分は何をしていたいのか、或いは企業としてどうなっていたいのかと言う目線を持つことは非常に大事なことです。

なぜなら、何もしなくても右肩上がりで経済成長を遂げていた時代と今は異なり、超高齢社会の日本にいる私たちは、今後の20年において成長率が毎年数%下がり続ける衰退する世界にいるからです。

これがどういうことを意味するのか。何もせず普通にしていたら複利と逆のことが起き、桁違いに格差は広がり人々は二極化していきます。そのときに、人々の価値観がお金だけに寄っていては不幸になる人が続出します。

ですから、今後20年を幸福に生きていくためには、何を幸せの尺度として持つのか、何を幸せに想うのかという価値観がとても大切になるのです。それが私たちの場合だと、売上至上主義ではなく、共感者と共にあることが企業としての幸せなのです。

世の中の変化を理解し受け入れる

日本の未来をマクロで見るとネガティブなことしか出てきませんが、過度な不安や心配はいりません。なぜなら、ミクロで見ると個人や一企業でできることはいくらでもあるからです。

10年後の社会がどのように変化していくかを見定めることは、情報を積極的に集めていけば、誰にとってもそれほどむずかしいことではありません。まずは変化を理解し受け入れる。そうすると大まかに向かうべき方向が見えてきます。

時代の変化は激しさを増すばかりですが、何かあっても目先のことにばかり囚われず、10年後の確実な未来に目を向けるようにしてみてください。きっと道は開けてくるはずです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?