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「なんで、ココにいるんだっけ?」リモートマッチで改めて考えたライターの存在意義

 先日、バスケ界”初”のリモートマッチへ取材に行ってきました。国内バスケットボールシーンは5人制の男子プロリーグ『Bリーグ(1部・2部)』が10月、女子トップリーグ『WJBL』が9月の開幕を発表している一方で、3人制バスケ・3x3(スリーエックススリー)は例年、春先からスタートする主要大会が中止。今年2月末の日本選手権を最後に、長らくロスの状態でした。

 そんな中、業界のスタートアップのような3人制プロチーム・TOKYO DIMEがリモートマッチを主催しました。もちろん初めての無観客試合で、さらに観戦無料がスタンダードな3x3において、初の有料試合(約2時間半の配信で1,000円)に踏み切った取り組みでもありました。

 詳細は『FLY BASKETBALL CULTURE MAGAZINE』へ寄稿しています。是非、そちらをご覧いただきたいのですが、チームスタッフがわずか2週間で大会をセット、選手たちは久々のガチンコ勝負をオフラインで披露して、それをファンの皆さんがオンラインで盛り上がるという、3人制に対する熱量がクロスオーバーした時間が生まれています。

 ただ、これを契機に全て元の形へ戻っていくとはならないでしょう。昨今の感染状況を考えれば、他のスポーツ同様に多くの観客を集めた興行に向けては、慎重に且つ段階的に少しずつ検討していかなければならないところ。それ故に今回、ありがたいことに取材の機会を頂いたことで、改めて思いました。

「なんでオレ、ココにいるんだっけ?」

硬い言葉で表現すると、「現場にメディアがいる存在意義」でしょうか。私の場合、メディア=ライターであり、今一度、考えるきっかけになりました。コロナ前であれば、ファン(=読者)もその全てでは無いにしろ、現場にいるわけです。TwitterやInstagram、TikTok、YouTubeなど誰もが発信できるツールを持ち、体感したことを含めて世の中に発信ができます。またチームも広報が、理想は専属のエディターやライター、カメラマンがいることだけど、各種SNSやそれこそnoteでオウンドメディアの展開も可能。極論を言えば、「オレいらない」と突き放されても、おかしくない時代が目の前に近づいていました(苦笑)。

 ところが、コロナ禍が訪れてしまった。スポーツ界では入場制限が実施され、現地へ行けない方もいらっしゃいます。オンライン配信を通して、盛り上がることはできますが、リアルの雰囲気だったり、会場全体がコートやフィールド、マウンドの一点にフォーカスされる緊迫感、その後にやって来る先制点や同点弾、逆転弾などで解放される熱狂や一体感、選手のビックプレーに対するファンのどよめきに共鳴する体験は得難いでしょう。また映し出される画面以外の情報は入ってきません。今後、テクノロジーの進化でこれらの課題が解消されるでしょうが、この状況だからこそ、より思いました。

「今まで以上にやらないといけない」

  当然これまでも真剣にやっていますし、これからも変わりませんが、コロナ禍において、メディアも取材できることが当たり前では無いでしょう。取材の人数制限をされているチームもあるようです。だからこそ、目の前の試合に向けて、しっかり準備して、自分の五感をとがらせながら、持てる知識や経験を総動員してアウトプットまでやらないといけない。選手やチームに万が一が無いように、こちらも感染を回避する日ごろの生活意識を持ち、体調をケアしていくことも、そのひとつ。いろいろと制約もあるでしょうが、最前線に立てる権利を持った以上、ファンや読者へ眼前で起きていることはもちろんのこと、その背景であったり、選手や関係者が何を思い、何を考えてプレーや競技に対して取り組んでいるのか、改めてしっかりと伝えるミッションを与えられた感覚です。ただ面白いものは面白い、面白くないものは面白くないと感じたまま言いますけど(笑)

  次にいつどんな取材をするのか決まっていません。が、書き手としてブレずに、緊張感や責任感を持って、その競技が好きだという根っこを大切にしてやっていきます。

「バスケは面白い」

余談
 今回、現場にいましたが、ライターである前にただのバスケ好きだなと、やっぱり思いました。いつもなら目の前の試合がエキサイトして、盛り上がる局面で、本来であればコートサイドにいる多くの方と一緒にテンションMAX・・・!と気持ちがノッていくこともあるのですが(もちろん取材時は冷静に)、今回は皆さんがいないからひとりボッチです。逆に、オンラインで盛り上がっていた様子を横目に、そっちも楽しそう……嫉妬した瞬間もありました(笑)

サポートいただけますと嬉しいです。頂いたご支援は、3人制バスケ・3x3やBリーグの取材へ行く活動費にさせていただきます。