京の幻 

小さな物語をのせて
高瀬川を滑らかに下る小舟
離れようにも離れられない

アンジュのつぶやいた
気まぐれな一言に
心が騒ぐ

青蓮院の啓示に従って
真夜中の将軍塚に登る
空が落ちてくる前に

明るい尾根を
滑降しながら
満月の数を数える

鉾の数だけ月はある 
散所の民にも
同じ数が注がれる


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