スクリーンショット_2018-12-08_11

ライティングのコツ|「長文」編|9

前回の記事「ライティングのコツ|「長文」編|8」までは、「構成力」のお話でした。今回からは少しテーマを変えてライティングに欠かせない、「言葉」について考えてみたいと思います。

それでは始めてまいりましょうか。

5)言葉の引き出しを増やそう

はい、ではここでひとつ質問です

Q:求人広告で、どんな言葉をよくみかけますか?

例えば、「未経験歓迎!」「アットホームな職場です!」「丁寧にご指導致します」とかですかね…。

でもよく見かける言葉って「 ハッ! 」とは、しませんよね…。なぜだと思いますか?それは、使い古されている表現だから。作り手だけでなく、今のご時世、私たちはみんな宣伝・広告には慣れていますもんね…。

どこでも目にする言葉をみてもぐっとこない。だったら言葉の引き出しを増やしてよくある言い回しを避けて伝えよう、というワケです。

例えば、歌の世界でもそうなのかなーと。
ちょっと昔の歌になるのですが、歌手のaikoさんが歌った「カブトムシ」の歌詞。ご存知の方も多いと思うのですが、背の高い彼氏におでこを寄せたり、彼のニオイに引き寄せられる女子の様をなんと、あの黒光りした(若い女子とは似ても似つかない)カブトムシに例えたワケですよね。

でも大好きな彼にひっつこうとした時、肩越しに見える景色だったり、彼のニオイを感じたくなる気持ちだったりは、恋したことのある人なら誰でもわかる、共感出来る。
あの切ない恋心を「そう例えたか!」というところに人はグッとくるし、「この人分かってる、分かってくれる」感がでるし、信頼度も信憑性も増す。

これが「あなたのそばにいたいよー、大好きですよー」とだけ歌ったら、どうだったでしょうね。あそこまでヒットもしてない気がします。

長くなりましたが、私たちもどれだけ使い古された言葉だけに頼らずに、文章を書けるかが大事だよね、ということを言いたかった訳です、ハイ。

では以下、松本がやってきた言葉の引き出しを増やすコツ。今回は大きく2つです。

1) 書ける人の言葉を真似してみる

書ける人の文章って、日常のいろんなところに溢れてます。以下幾つかあげてみますね。

● 雑誌を見る

これ、一番手っ取り早い(笑。例えばアパレル系のライティングをしたいなら、アパレル系の雑誌を見たら良いし、グルメ系ならグルメ系雑誌のものを見ると良いです。雑誌の文章はプロのライターが書いてるだけでなく、編集者や校閲・校正さんなど、いろんな人が目を通して文章をつくりあげているので、表現も多岐にわたるし正確です。ライティング初心者さんは書く時に、辞書代わりに何冊か手元に置いておくといいかもです。

● 自分が気になって目を留めた、広告を考察してみる

長文自体を書く、というより、長文の「見出し」を考えたりする時にヒントになるかも。WEBサイト、地下鉄の中吊り、ホームの柱周り、フライヤー、ティッシュのチラシなど、日常に溢れる広告を見ていて、なんとなく目に留まったらちょっと立ち止まって考えてみると良いですよ。
その広告になぜ自分は目を留めたのか。なぜ「変だな」「ホントかな…?」という疑いを持ったのか。逆に「いいな」「欲しいな」と思ったのか。それぞれなんでそう思ったのか。
「いいな」を思った言葉たちはあなたの引き出しにしまって、疑いを覚えた言葉たちは使わない枠にいれちゃう、とという具合に、増えていく言葉を自分の中で整理整頓出来るといいですよね。

● ググる( 辞書、関連ページ )

オススメは連想類語辞典。私もこのサイトは、知り合いのライターさんから教えてもらいました。自分が思いつく範囲で新しい言葉を探すのは、なかなか限界ありますからねー。納期などが迫っているなら尚更です。使えるものはどんどん使いましょう。

そして真似して集めた言葉たちは、一カ所にメモしておくとより便利です。evernoteでも、スマホのメモ帳でも、スプレッドシートでもなんでも。
文章を書いていて「あ、あの時探した言葉使えそう!」って思いついた時、メモで残しておくと便利なんですよね。
さらに、メモを綴ることで、自分の中にも蓄積されていくので一石二鳥です。

2)例えてみる

使い古された言葉をそのまま使わず、要約してみる手法です。例えば、アロマセラピーのサロンで「うちのサロンは 癒されますよー! 」ことを伝えたい場合。

 当サロン「JAMSTORE」は、心から癒される空間です

こんな感じの文章になりますかね。この「癒やされる」を“真似する”方法で言い換えるなら、

・心やすらぐ空間です。
・心身ともにリラックス出来る空間です

こんな感じでしょうか。今度は例えてみますね

・頭の中を空っぽに出来る空間です
・肩の力が「フッ」と抜ける空間です
・目の奥の筋肉まで緩めてくつろげる空間です

どうでしょう?なんだか癒やされそうだな、ってことが伝わりませんか?(え…?イマイチですかね)。

癒やされる、っていう状態は、つまりどういう状態なのか、を例えて、読み手に「癒やされそうだな」と呟いてもらう。こっちからは言わない。
最初に問うた求人広告で例えるなら、

「未経験歓迎!」=どのレベルまで経験が無い人を「未経験」と呼ぶの?
「アットホームな職場です!」=どこがどんな風にアットホームなの?
「丁寧にご指導致します」=具体的にどんな丁寧さなの?

このあたりを具体的に例えたい。そしたら受け手の信憑性も納得度も増すと思うんですね。

もちろん私が出した例文のほかにも、いっぱい良い例は考えられると思います。「私ならこんな真似をしてみた!」「私ならこんな風に例えるなー」など、あなた流の伝え方を模索してみてくださいね。

次回は「信じてもらえる言葉」について、お話したいと思います。


サポートしていただけると、励みになります!!