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ライティングのコツ|「長文」編|3

前回の記事「ライティングのコツ|「長文」編|2」では、
● 2)人に優しい文章を書くコツ|前半についてお話しました。今回は後半です。それでは始めてまいりましょうか。

● 2)人に優しい文章を書くコツ|後半

前半の記事で、「不要な言葉」になる代表格=代名詞、というお話をしました。そして記事の最後に軽く触れたとおり、もうひとつ、長文にとって不要な言葉があります。それは

2)「接続詞」

「そして」「だから」「しかし」「それで」「だけど」などですね…。え?意外ですか?「接続詞もとっちゃって、話繋がるの?」って?はい、コレが結構いい具合に仕上がるんです。ではさっそく例題をみていきましょう。

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<例文>朝から体調が悪いので病院へ行きました。
ところが、かかりつけの先生が非番だったのです。
だから、代わりの先生がいないか、看護師さんに尋ねてみました。
しかし、返ってきた回答は「No」。
そこで、近くの薬局で市販薬を買うことにしました。
そして、家に帰って薬を飲み、早々に布団の中へ。
だけど、なかなか体調は良くなりませんでした。

はい、また分かりやすく入れてみました、例文なのでまあご勘弁を(笑。実際は、ここまで接続詞を突っ込まないにしても、どの言葉も結構つかいがちじゃないですか?

なぜなら、人と会話するときはフツーに入れるので。

「朝から体調悪くてねー、病院行ってきたのよ。ところがさー、先生が非番だったのよねー!だからさー、代わりの先生がいないか聞いてみたのよ。だけど返事はNoでさー…、それでー薬局行ってお薬買ったのよ、そんでー、家に帰って薬飲んでさっさとお布団入ったのね。でもさーなかなか体調良くなんなくてー・・・。」

みたいな。むしろ会話では何にも違和感ないですよね。だからつい使っちゃう。でも文章になると要らないんですね。というか無くても伝わる不要な言葉。接続詞をトル=文章を端的にスリム化する、この作業にはもってこいなのです。以下アレンジしてみましたよ。

朝から体調が悪いので病院へ行きました。
ところが、かかりつけの先生が非番だったのです。
代わりの先生がいないか、看護師さんに尋ねてみました。
しかし、返ってきた回答は「No」。
そこで、近くの薬局で市販薬を買うことにしました。
家に帰って薬を飲み、早々に布団の中へ。
だけど、なかなか体調は良くなりませんでした。

三行めの「だから」と六行めの「そして」を取ってみました。なぜこの2つを取ったのか?それは、後ろに続く文章が想定内の結果だったから。

先生非番だった→だから、看護師さんに聞いた。
薬買った→そして、家に帰って薬飲んだ。

まあそうするでしょうな、と文脈から推測できますよね。一方残した接続詞は、後ろに続く文章が想定外の結果になったから。

病院へ行った→ところが、先生非番!(想定外!)
看護婦さんに聞いた→しかし、代わりの先生も不在!(想定外!予想不可!)
病院を出て→そこで、近くの薬局へ。(予想不可!他院へ行くなど他の選択肢もありえる)
薬飲んで布団に入った→だけど、体調なかなか良くならない(想定外!)

ちなみに「そこで」以外は全部、逆接の接続詞。想定外になる場合は残す、と覚えておくといいかもですね。

ただ、確かに意味は伝わるけど、ちょっと文の繋がりは荒い気がしますよね。例えば「…非番だったのです。代わりの先生がいないか、看護師さんに…」のところとか。では残りの接続詞も取りつつ、全体の繋がりをもう少し滑らかにしてみますね。

朝から体調が悪く、病院へ行ったのですが
残念なことに、かかりつけの先生は非番でした。
代わりの先生がいないか、看護師さんに尋ねてみたところ、
返ってきた回答は「No」。
仕方なく、近くの薬局で市販薬を買うことにしました。
家に帰って薬を飲み、早々に布団に潜り込んだものの、
なかなか体調は良くなりませんでした。

こんな感じでいかがでしょう?作業したことは以下です

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「残念なことに」という言葉で1行めと2行めをくっつけ、1つの文にまとめた ところが、をとった。

●1行め文末を「…尋ねてみたところ」とし3行めと4行めをくっつけ、1つの文にまとめた =しかし、をとった。

「仕方なく」という言葉を冒頭にいれた =ところが、をとった。

●6行めの文末を「…布団に潜り込んだものの」とし、6行めと7行めをくっつけ、1つの文にまとめた だけど、をとった。

ーーーー

お分かりでしょうか?接続詞を無くすために、2つの文をくっつけて1つの文にしたり違う表現にしたりしているんですね。

「ところが」とシンプルに繋いでもいいのですが、「残念なことに」と繋ぐことで、文章に抑揚がだせる。「そこで」と薬を買いに向かった事実を伝えるだけも間違いではないのですが、「仕方なく」とすることで、主人公の心境まで表現出来る。体調が悪いところ、肩を落としながらトボトボと薬局に向かった姿が目に浮かぶようになりますよね。

たった数文字、その違いにこだわったことで文章が読みやすくなるだけじゃなく、シレッと状況説明まで出来ちゃった。面白いですよね、言葉って。

もちろん、接続詞で繋ぐことも間違いではいないと思います。現に私もまったく使わないわけではないです。ただ「この部分を接続詞じゃなくて、ほかの言葉で言い換えたら、もっと読みやすくならないかな…?加えて状況説明も出来たりしないかな…?」なんてことを考えながら言葉を選んでいくと、読み手にとって一層優しい文章になっていくと思うんですよね。

ちなみに、私がまた20代の頃(営業から制作に配置換えされた直後だったかなあ。)、同じ制作部の先輩から「接続詞を使わないで書けるようになったら一人前だねー」なんて言われたことがありました。当時は「ふーん、そんなもんかー」くらいに思ってたのですが、経験を積んでいくごとに「あぁ、そういうことか」と腹落ち。言葉ひとつひとつをこだわって選ぶことが、ライターという仕事なんだなーと。ホント、当時の先輩には感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、前後半続きました「2)人に優しい文章を書くコツ」、さくっとまとめです

① なくても意味が通じるなら、要らない言葉
代名詞は、出来るだけ具体的な言葉に。
③ 逆接の接続詞は残す、もしくは違う表現に。

さて、次回は軽めの【 豆知識 】を幾つかお届け。不定期の更新ですが、どうぞお付き合いくださいませー。

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