ワーカホリックの7年間

200X年、深夜0時。六本木ヒルズのエスカレーターを毎日のようにシンデレラのように焦りながら小走りに駆け下りる一人の女。だが、彼女はシンデレラではなかった。「終電がきちゃう!」シンデルような目。そう、彼女はヒルズのオフィスに勤務する所謂社畜であった。もしかして社畜という言葉はふさわしくないかもしれない。仕事中毒者、ワーカホリック、呼び名は色々あるが、彼女は人生を仕事に捧げていたのだ。女の名前はウスダヒロ。大手ゲーム会社勤務のゲームグラフィックデザイナーだ。

ある日の0時は国民的有名人が近くに偶然居合わせ、ざわつく観光客やカップルたちが、しきりに有名人の名前を囁いていた。それを尻目にウスダは帰路に急ぐ。終電を逃すと会社に宿泊だ。ヒルズは全館空調が管理されていて、深夜には消されてしまう。オフィス内もだ。もちろんオフィスに宿泊した事もあるが、気温が暑かったり寒かったりする日の深夜から明け方までは地獄となる。いくら仕事中毒とはいえ、地獄はなるべく避けたい。ウスダはエスカレーターを降り、走りやすくなった脚でダッシュする。これがいつもの彼女の日課であった。

彼女の参加していたゲームプロジェクトの代休は80日を超え、これも毎度の事であった。デザインアップまたはマスターアップと共に代休消化のための休暇が得られたため、その期間で海外旅行に行ったり、会社に通って仕事のための勉強や仕事をしていた。(何かがおかしいが気にしない。)

ウスダはタイムカードを早めに切って働く事すらあった。なぜならそれは仕事のためのCGの勉強だったりしたからだ。彼女は実務をしない時間に負い目を感じていた。なので時たまタイムカードを早めに切って、サービス残業もしていた。完全に仕事中毒であった。そんなウスダにある日奇妙な事が襲いかかった(つづく)(つづかない)

#実話





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