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このままだと電動キックボードのシェアリングサービスは利用されないのでは?
電動マイクロモビリティシェアサービスのLUUPさんが、ロゴとデザインを刷新されました。
電動マイクロモビリティシェアのLUUPがロゴ刷新、視認性を向上させた新電動キックボード発表―小型電動アシスト自転車新モデルも
ただ電動キックボード、実際に都市部で使ってみると、このままでは広がらないんじゃないか、と思う人も少なくないようですし、自分も実際に乗ってみてそのように感じました(理由は後述していますが、速度制限15キロ、というのが大きくUXを損なっています)
今回のデザイン刷新、少し穿った見方をすると、電動キックボードのシェアサービスの利用が想定以上に数字が伸びていない、うまくいっていないので、その現状を打破するための手立てのひとつ、なのかもしれません。(新しいデザインのほうが個人的には好みです。)
せっかく時間をかけて記事を書くのであれば、あまりネガティブなことから書きたくないですし、他社を気にするよりも、まずは自分の会社のことを考えろ、と言われればそのとおりなのですが(スタートアップを経営している身として)、少なからず同じように考えている人もいるのではないかということと、日々、健全な批判的思考がなされるべきだと考えているので、こうした課題提起がメディアや、業界からあまり出てきていないように思いましたので、この記事でまとめてみることにしました。
またうまくいっていない理由に加え、その後で、自分だったらこうするのではないか、こうしたらうまくいくのではないかと思うことについても書いてみたいと思います。
このままだと日本で電動キックボードシェアサービスが広がらないと思う理由
1.制限速度が15キロ
一番大きな理由としては、これに尽きるのではないでしょうか。
私自身は電動キックボードは深圳で乗ったり、ninebot社のもので制限速度が25キロ設定のものを公園で乗ったりしたことがあります。シンガポールなんかだと車道では乗れないものの、自転車専用道では最高速度25キロで走行できるようです。手軽に乗れて、とても爽快。
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ところが、実際に、最高速度15キロ制限の日本国内での電動キックボードシェアサービスを利用してみると、すごくフラストレーションがたまります。自転車よりも遅い速度(ママチャリで平均速度12~18キロ、電動アシスト自転車のアシスト上限は24キロ)、車道を走るのに、横を通る車両よりも相対的にすごく遅い速度です。
そのため都市部の大通りを横断する最には特に気を使います。切れにくい包丁を使っているような、便利さよりも、フラストレーションを感じます。私の周辺で実際にサービスを利用してみた人からもそうした意見をSNS上などで目にすることが多いです。
日本でヘルメット着用せず、また歩行者との安全性を考えて、ということから生まれてきた制約ですのでサービスを展開するにあたりやむを得ないのでしょうが、最高速度15キロという制限によって、電動キックボードのもつ利便性・魅力が大きくスポイルされてしまっているのも否めない点ではないかと思います。
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安全製に考慮した結果切れにくくなった包丁だったら、包丁は使わず、スライサーや、面倒でも免許をとって刀を使ったほうがいいのでは、と思ってしまうわけです。速度が出ないから、むしろ危ない面も。そして利便性が大きく損なわれてしまっています。
このあたりの現状は、当然、投資家サイドもすでに認識しているのではないかと思いますし、そうした課題感がある中で、打ち手も議論されているのではないかと思っていたのですが、今回、そうした課題を認識されているように思えるような施策が見えてこず、イメージチェンジということがプレスリリースとして出てきていることに違和感を感じてしまったわけです。
2.荷物が積められない
ひとつめが最も大きな理由だと考えていますが、こちらは付随的な理由として。電動キックボードは、荷物が全然積めないので、リュックサックや、メッセンジャーバックなどを使うか、まったくの手ぶらでないと利用できないのが地味に不便。
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買い物袋で乗ったりはできないんですよね。電動自転車のシェアリングサービスだと買い物カゴが使えるのですが、出かける時のノートPCを入れるバッグの種類に制約がでたり、買い物に使うのには不便なので、利用するのはちょっと…ということになります。そうなるとドコモが展開しているような電動自転車のシェアリングサービスでもいいかなぁ、となり。(LUUPさんも電動自転車のシェアリングを行われているのですが、買い物カゴはないんですよね)
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3.どこでも乗り捨てができない
深圳などで広がったモビリティのシェアリングサービスは、どこでも借りられて、どこでも乗り捨てられる便利な反面、街中に放置された車両が溢れかえるといった問題もありました。
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ですので、特定のステーションでのみ、借りることができ、返却することができる、というのは理解できます。ただ、その場合モビリティの利用方法が最終目的地まで、ではなく、最終目的に最も近いステーションまで、となり、返却先から本来の目的地までは、徒歩利用、ないしは別の手段で移動することになります。そうすると、その手間を考慮しても、モビリティサービスを使うか?ということになってきます(これは電動キックボードに限ったことではないですが)
そして少なからずのケースで、モビリティサービスを使って行きたい最終目的地というのは、駅などから少し離れたところで(だからこそモビリティが必要で)、そうした場所は、返却先となるステーションからは少し離れてしまっているのですよね。
それであれば、駅から最終目的地までモビリティサービスを利用し、最終目的地での用事が終わったら、また元の駅に返せばいいかというと、その移動していない時間に対してもコストを支払う必要があることになり、またシェアリングサービスとしては、稼働してない時間、移動にモビリティというリソースが活用されていない時間が生まれてしまうということになります。
もちろん、途中の移動経路が早く、快適なものであれば、電動キックボードを利用したいという動機づけになるのですが、その途中の移動が時速15キロ上限だと、それほど便利でも快適でもないよね・・・だったらわざわざシェアサービスの電動キックボードを使う理由が、となってしまうわけです(トートバックなどを手にしていたりすると、さらに)。
最高時速15キロだと駅から2キロくらいのエリアで使いたいなとなってくるのですが、(遅い車両で長く乗るのはしんどいので)そうなってくると、返却先のポートを利用するために目的地に行くのに少し遠回りにしてもモビリティを使うという気にはならないんですよね…
4.日本だと雨が多い
これは海外の都市に比べて不利な点ですよね。決定的ではないものの。雨の日はどうしても別の交通手段に頼らざるおえないので、モビリティを使えるのは条件が良い時に制限されてしまいます。
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どんなときに電動モビリティを使ったか
ここで、私自身はどのようなシーンで電動モビリティ(主に電動自転車)のシェアリングサービスを利用してきたか、について少し紹介してみたいと思います。
駅から離れたところから、少し距離のある便利な駅に
赤坂アークヒルズ、愛宕グリーンヒルズから新橋駅、または浜松町駅までの移動に。(どちらも2キロほど)
赤坂アークヒルズや、愛宕グリーンヒルズは、地下鉄の駅から少し離れていますし、そこからJRの主要駅での乗り換えもちょっとかったるい。JRの主要駅まで歩けなくもないけど、20分~30分かかるのは、ということで、ドコモの電動自転車のシェアリングサービスをよく利用していました。
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都内で終電がなくなった後、自宅まで帰宅するのに
六本木などで終電がなくなった後、品川区の自宅(ほぼ大田区)まで帰宅するのに、電動自転車を使って帰宅をしていました。走行距離は10キロほど、道も空いているので大体、30-40分で帰宅できます。自転車の飲酒運転も厳禁ですので、残念ながらお酒を飲む人には、こうした利用はできないのですが。
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なら君ならどうしたいの?
リクルート出身でもなんでもないですが、もしリクルート風に、こんな風に自分が言われたとしたら。
大学キャンパス内など限定地域で提供スタート(速度制限は25キロで)
やっぱり、UXが低い状態でサービスを広げようとしてもそもそも難しいと思うのですよね。切れない包丁は、誰も幸せにしない。なので、限定的であっても良いUXをまずは体験してもらう。その上で、ルール緩和を図って、通常の市街区域でも利用を広げていくほうが良いのではないかと個人的には思います。
キャンパスが広い大学内限定で、25キロ制限で、ヘルメットなしで利用可能にしたり、UFJや長崎オランダ村などのテーマパークで、特定のパスを購入した人のみが乗れるようにしたり(UFJなどでは、乗れる日を決めてしまって、一般の利用者のみの日と、モビリティを使いたい人を明確にわけてしまってもいいかもしれません)
余談ですが、アメリカではZipCarというカーシェアリングサービスが地域の有力大学にステーションを良く配置していました。
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テンセントなどは島ごとを実証実験(こちらは自動運転用に)場にしようとしているようですが、工場や島などでも限定的に活用できる場所もあるかもしれないですね。
「島」ごと自動運転特区に?そうすれば実験場にもショーケースにもなる
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ここまで書いてはみたものの
とここまで書いてみて、この記事はお蔵入りにしようかな…と考えてみたり。
やはり上記の試みでは、あまりにも社会インパクトが小さすぎますよね。
LUUPさんもこうした現状を認識された上で、それでも社会に広げていくためには、現状で可能な範囲で都市部での実装、実証を進めながら、法の改正に繋げていくしかないと思われているのだろうな、と。
これはなかなか悩ましい状況だな、と考えるに至りました。
うーんん、悩ましいよなぁ。自分だったらどうするか。
・海外でテストケースをつくる(まだ他社が入ってきていなかったり、今後のスマートシティ案件が走っている地域で商社と連携して)
が素人考えとしてですが、このコロナ禍だと難しい状況ですよねぇ。
人口8万人弱のアンドラとまでいかなくても、日本との取り組みが深い地域でそうした社会実証・検証ができると面白いかもしれません。
アンドラについては、こちらの記事で、以前私が講演で話した内容を少し紹介いただいています。
オープンイノベーションは当然至極なフランス、ドイツの取り組み
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とはいえ、日本でこうしたサービスの実装や、プロダクトがやはりもっともっと出てきて盛り上がって欲しいですよね。(なので、日本のVCはまるで銀行か!とこちらが思うように保守的にならず、いろいろな<当然皆さん少数の勝ち馬に乗りたがるので>スタートアップに是非リスクマネーをどんどん投入していって下さいね、というポジショントーク)
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最大時速15キロに壁はあるのか?
最大時速15キロと25キロ。やはりこの差はUXへの影響が大きいと思います。そして時速15キロで10分なら2.5キロ。時速25キロなら4.2キロ。20分ならぞれぞれ5キロ、8.3キロと大きく移動可能な距離も変わってくるわけで。
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結論があやふやな形で終えることになってしまいましたが、LUUPをまだ乗ってみたことがない方は、ぜひ一度体験してみると面白いですし、都市のモビリティについて考えてみるいいきっかけになると思います。
もしかしたら、電動キックボードに一度も乗ったことがない人(先入観が全くない人)が利用してみたら、違う感想を持たれるのかもしれません。
今回のLUUPのイメージチェンジも、こうしたユーザーにより訴求するデザインへの変更、という戦略なのかもしれませんね。
速度上限15キロの電動キックボード以外のキックボードを知らなければ、速度に対してフラストレーションを感じることはないのかも。
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そして私自身は、コロナ禍で移動が難しい時代ではありますが、安全に最大限配慮しつつ、少しずついろいろな地域を訪問して、いろいろなサービスがこのコロナ禍を経て、どのようにアップデートされていっているかを見ていきたいと思います。
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