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ブロックチェーンとAIについて

~Maurizio Raffone氏投稿 Aritificial Intelligence on Blockchain 翻訳記事~

産業革命4.0の最も魅力的な一面は、シナジーがある二つの新技術を組み合わせることにより、イノベーションの規模が増大していく可能性があることだ。理屈の上では素晴らしいことである。一方、エマージング技術の融合は決して簡単でなく、エンジニア、開発者そして経営者は絶えず刷新されていくプロトコルやツールに対応していかなくてはならない。

シンギュラリティーがどのタイミングで実現するか。人々の意見は分かれる。その中でいま話題の"AI"(人工知能)は人々の暮らしや仕事に大きな影響を及ぼすことは確実である。マッキンゼー・グローバル・インスティテュートの報告によれば、2030年までに、AIによる世界への経済効果は現在より16%増、13兆ドル(約147兆円)増になるとされている。

AIと同様、ブロックチェーンの技術もまた完全に成熟の域に達しているとは言えないが、いくつかの企業がこれら二つの技術を組み合わせた試みを開始している。Jupiter Chain社のCTO, Ernio Teo氏は最近次のように述べた;「AIの未来は、データへいかに容易にアクセスできるかが鍵となる。一方、プライバシー保護の気運が高まっていることでデータ公開の障害になっている。信頼性が低く、変更がきかず、透明性があるという特徴を持つAIアルゴリズムに関し、ブロックチェーンによって保存・流通して価値化するのには効果がありそうだ。」

先進的な企業たちが積極的にブロックチェーン上のAIソリューションの開発を行っている。

Jupiter Chain社は例えば、連結したブロックチェーンの上でデータ取引が可能になる仕組みを開発している。ユーザー自らはデータを保管しないまま、必要な時に必要なデータを、双方同意の上で抽出できるようにした。Ernie氏は以下の様に言う;「データの解析と評価は、ブロックチェーンのネットワークが提供する信頼性のあるデータレイヤー上のことなので、セキュアな環境で実行される。自らデータを保有せずにデータ解析を行うことができる。つまり必要なデータを必要な時に活用し、コンプライアンス費用が削減される。」

Sophia

SingularityNET社は、あの有名なアンドロイド型ロボットであるSophiaの開発に携わっている。人間では無い対象に、始めて国連が賞を与えたのがSophiaである。同社のコミュニティーメンバーは、ネイティブトークンを用いて、同社の分散されたプラットフォーム上で生体医療データの解析やコンピュータネットワーク解析など6つのジャンルに分けたAI関連のサービスが受けられる。同社のコミュニティーはAI研究開発プロジェクトにも積極的に主導している。(Sophiaがその研究開発プロジェクトの中で最も著名である)

DeepBrain Chain社は、ユニークなアプロ―チで、コスト効率のニーズがあるAI関連スタートアップ企業に対し、コンピューティングパワーを提供する分散型プラットフォームを構築した。EOSプロトコルで開発された同社のネイティブトークンは、ネットワーク上のノードに対する報酬通貨になる。同社のソリューションは、データ処理を行う会社に対し自社データ、あるいは第三者からのデータを貸与しながらAIトレーニング環境を提供するのを目標としている。

ファイナンスの分野では、自然言語処理と価格予測技術を有するフランスのPeculim社が、資産管理ビジネスに対してブロックチェーン・ソリューションを提供している。仮想通過市場における貯蓄管理をAIベースで構築したプラットフォームがAIEVE。同社AIEVEのプラットフォームから仮想通貨の価格を予測するエンジンAskEve、さらには仮想通過取引をAIで完全自動化するBeliEve(本稿執筆時にはベータ段階のモノ)を開発しており、金融商品への投資経験の浅いユーザー、賢い仮想通過の投資戦略が立案できる機会を一般ユーザーに開放した。

Synapse AIは、SNS上で、オンライン経由で個人的なデータも含め提供してしまっている一般ユーザーと、マーケットとのバランスを保とうとしている。オンライン・オフラインのユーザー行動とそれらデータを利用するユーザー、という構図で。

Synapse AIが目指しているところは、彼らの独自トークンに支えられた分散化プラットフォームを介して、SNS等を提供している大企業が有する、データ収集への圧力の優位性を揺るがすことにある。このプラットフォームによって、強大に成長した1社や一つの組織よりも、ビッグデータを一層有効に扱う経済システムがより早く実現できると信じている。オープンで、かつ民主化されたアプローチと機械学習モデルを適用することにより、全世界のユーザーに最大の便益を供与するだろう。

上述したような事例が示すように、様々なシチュエーションとビジネス活動において、ブロックチェーン上に、そしてブロックチェーンと伴に、AIが活用されている。


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