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2023 インド旅行記(@hirotsujino の場合)

2023 年のホリデーシーズンを利用してインドに旅行してきました。その時の経験がとても印象に残るものだったので、備忘録的に書き残してみます。

今回は、デリー、バンガロール、ハイデラバードの 3 大都市と、より観光的にアグラ(タージ・マハル)とバラナシ(ガンジス川)を訪れました。この中ではハイデラバードが一番日本の方には知名度が低く「なんでハイデラバード行くの?」とよく聞かれました。

なぜインド?

インドは世界最大の人口(14 億人)、かつ、GDP 世界 5 位の経済大国で 2026 年には日本を抜くとも言われています。特に IT 産業の発展は目覚ましく、世界的にも Google CEO のサンダー・ピチャイ氏や、Microsoft CEO サティア・ナデラ氏といった IT 業界を牽引する人材を輩出しています。個人的に親交の深いインド出身の友人・同僚も多いです。

一方で、インドはまだまだ新興国という声も聞きます。例えば IT 関係で言えば、インドのスマホ普及率は(出荷台数・販売台数は世界 2 位とはいえ)50% 未満、平均通信速度も近年かなり改善していますが、決して速いとは言えませんでした

そんな世界経済で存在感を増すインドと、IT 業界、特に私自身がベイエリアで観測する印象とは異なる実情。その実態をどうしても自分の目と耳で感じてみたく、ずっと訪れたいと思っていました。なお今回は日印両方の関係者複数名にお話を伺いました。この場を借りてお礼を申し上げます(まだ予定されているものもあるので、本記事も今後加筆修正される可能性があります)。

引用: https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/2023/d65d188ab547067f/202303.pdf

IT 産業に対する所感

初めに IT 産業周りで私が感じたことをまとめると以下の通りです。簡単にまとめると、英語が話せて、人口とエンジニアの母数が多く、理工学教育も盛んで、職業機会がアメリカに多い、という印象です(こちらのブログとかなり重なる部分があります)。

  • 英語: 特に IT 従事者は基本的に全員が英語を話せる。

    • インドでは公用語のヒンディー語に加えて、準公用語が英語。

    • 多数の言語が存在し、国内でも英語で会話が行われることがある。

    • 早期から英語の授業があり、一部では授業が英語で行われる(2021 年のデータでは 26% の学校で授業が英語で行われている)。

    • 例えば IT 業界など、一部業界では基本的に就職に英語が必要になるので、学習に真剣になる実利的インセンティブがある。

  • 理工学教育: 国家が理工学教育を重点的に強化している。

    • インド工科大学(IIT)に代表されるよう、国として理工学教育に力を入れている。

    • IIT 自体は工科大学法で国家重要機関に認定された大学の総称であり、独立直後、第一次産業中心だったインドの頭脳立国を目指し、初代首相のネルー氏が 1951年 に設立、現在では 23 校を数える。

  • (IT 技術者の)人口が多い

    • ヒューマンリソシアが2020年に発表したレポートによると、インドはアメリカ(477.6万人)中国(227.2万人)に次いで 3 位の 212 万人の IT 技術者がいるようです(日本は 109 万人で 4 位)。

    • ちなみに、シリコンバレーではインド出身の方が全体の 5% を占めるようです(引用元: 日経)。

  • 就労環境の差

    • これは私個人の感想ですが、社会インフラの面でも待遇の面でもやはりシリコンバレーの方が良い印象です。それが海外進出のインセンティブにもなっているだろうと推測しました。

用事もなく訪れた IIT デリー校

旅行者としての等身大の感想

様々な面で急速に成長するインドですが、イチ旅行者の率直な感想としては、まだまだ解決されるべき課題が多いと感じました。1991 年の経済改革から BRICS の一角を占めるまで発展しているインドですが、特に私が体験したデリーの街並みはカオスと形容できる部分もあるほどでした。

例えば、基本的に道路の車線は無視され、多くの場合、車線より多い数の車が並びます(自動車、バイク、そして、オートリキシャ)。また、クラクションはほぼ鳴り止まず、散発的に渋滞に巻き込まれます。大気汚染も深刻で、自分が観光客だからということもありますが、執拗な客引きが跡を絶ちません。一度オートリキシャが止まった時に、両側から 2 名の男性が身を乗り出してきて(本当に少額ですが)寄付を要求されるなど、緊張が走る場面もありました。

文化的にも列への割り込みは日常茶飯事で、自分の慣れ親しんだ文化からするとストレスを感じる場合もありました。安全面でも未だに注意が必要です。自分のことは自分で守らなければいけないんだなと今更ながらに感じました。

とあるデリーの朝の様子
2023 年 12 月時点での大気汚染の状況

一方で、例えば、キャッシュレス決済が進むなど、インフラが未整備なのに / 未整備だからこそ、最新技術が導入されるリープフロッグ現象も発生しています。ちなみに、日本でよく使われている PayPay は、元々インドの Paytm と提携して始まるなど、むしろインドから日本に技術が輸入される現象も起きているようです。そうした最新技術と新興国特有の社会課題が共存しているのがインドという国なのかもしれません。

駅の売店でも利用される QR コード決済

インド旅行記

ここまで少しカタイ話が続きましたが、旅自体は美しく刺激に満ちた、素晴らしいものになりました。タージ・マハルに限られない美しい建造物や景色、ガンジス川に代表される神聖な雰囲気は少しの間、日常を忘れて気持ちが安らぐ瞬間を提供してくれました(友人限定ですが、よかったらインスタも覗きに来てください)。

ガンジス川

食生活も自分好みで、衛生面やスパイスの取りすぎに注意しなければいけないものの、日々多彩な食べ物に触れることができました。特にバンガロールでは現地出身の友人に教えられながらカレーを手で食べるという新鮮な経験もしました。

また、インドの友人達がよく「インドは diverse だから(多様性がある)」と口にしているのが印象的でした。多民族・多宗教・多言語で、実体験としても街ごとに異なる雰囲気があり、特にデリー(北インド)とバンガロール(南インド)ではまた異なる気がしました。実際に都市間を移動して主な表記言語が切り替わるのも新鮮な体験でした。今後サービス開発の際にも意識するかもしれません。

テルグ語表記のスタバ @ ハイデラバード

旅行の手引き

今回の旅は個人的には大成功だったのですが、その前のメキシコ旅行は少し反省が残る結果になりました。メキシコでは現地の友人も限られ、基本的に言語も通じず、今回のインド旅行に比べると得られた洞察が限られてしまいました。

当然といえば当然なのですが、可能な限り現地の詳しい方のお力添えが得られた方が望ましいと感じました(とはいえ、完全にそうした方々のご厚意に甘える形になるので、そこはなんとも難しいのですが、、)。

背景知識等もですが、例えば、何がどのくらい危ないか分からず、全体的に保守的な判断をしがち、というもったいない状況もありました(例えば、オールドデリーに行くか悩んだ末、何にどれくらい気をつけた方がいいか分からず断念)。逆に 1 日案内してもらったバンガロールでは Uber 以外のローカルな移動手段(メトロ)も使い、その綺麗さと安全さ、そして、日本と同様に女性専用車両があることに驚くという新鮮な体験もしました。

その他、わざわざ書くほどではない細かい気付きや失敗があるのですが、それは別途、小さな記事にまとめてみようと思います。

メトロの駅 @ バンガロール

最後に

今回のインド旅、基本的には一人旅だったこともあり、インド出身の友人含めてかなり心配されました。そして、その心配は自分が体験した限り、妥当だと感じました。自分自身が臆病・慎重なこともあり、もし友人が一人で行くと言ったら少なくとも初めは止めるかもしれません(ここは人によって判断が分かれるところです)。

とはいえ、安全に、体調も崩さず過ごせた場合の経験は得難いものがあると感じました。自分としては、五感でインドを感じ取ることができて本当に本当に良かったです(とはいえ、自分が感じたインドはごくごく僅かではありますが。。)。改めて、今回協力してくださった友人方には大大感謝です。本当にありがとうございました。皆さんも行かれる場合は、外務省情報初め、万端な準備で臨まれることをお勧めします。

ちょうどインドのシリコンバレー(バンガロール)からアメリカのシリコンバレーに戻ったところで本記事も締めたいと思います。ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。

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