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今週のモバイルアプリ関連ニュースまとめ Vol.5(2/28週) | Weekly Mobile Update

今週の注目ニュース

Google “Play Pass“がインド展開開始

Googleが提供するモバイルゲームのサブスクリプションサービスである”Play Pass”がインドに対応することを発表。

2019年9月に本国米国で最初に展開、その後20年夏に欧州でも展開を開始した同サービスだが、インドでは提供開始時点で1000タイトルが利用可能になっている。

利用料金は月額99ルピー(約150円)・年額889(1300円)ルピーと、米国での月額4.99ドルと比較すると市場の購買余力に合わせてかなり安めの値段設定。実際、インドのデバイスあたり月間購入金額はiOSで0.16ドル・Androidで0.02ドルと世界平均と比較しても低く、納得の価格差と言えるだろう。

Source:2021 Mobile Gaming Tear Down

しかしながら、購買余力がある本国米国においてもGoogle Play Pass及びAppleが提供するApple Arcadeの加入者数は奮っておらず、ただでさえ平均支出金額が低いインドにおいての価格設定としては少々強気な印象も受ける

こうしたクラウドゲーミングサービスは、既存の無料ゲームを選択するユーザーの「ペニーギャップ」と戦わないといけないが、その競争力の源泉としては”タイトル数”よりも”魅力的なコンテンツがある”かのコンテンツ力がキーとなる。

モバイルの領域ではApple・Googleのサービス展開強化が見られる一方で、MicrosoftはActivision Blizardの買収・Amazonは”Luna Game”展開開始と着実にコンテンツ囲い込みとクロスプラットフォーム戦略を展開してきている。
今後、モバイルゲームのクラウドゲーミング領域をどのプレイヤーが押さえるのかは注目が必要だろう。

尚、Apple Arcadeを事例としてクラウドゲーミングの競争力の源泉に関して、「#65 Apple Arcadeの普及における課題の考察」で議論しているため、参考になれば幸いである。

Disney+ 広告ありの廉価版プランを提供予定

Dsiney+が広告を視聴する必要がある廉価版のサブスクリプションプランの導入を表明。

現在のDisney+の月額料金は8ドルであるが、競合であるAppleTVは約5ドル・Netflixは約10ドルとなっており、今回の廉価版の導入によりより広い顧客層の獲得と収益基盤の拡大を図る。
同時に、別のプランの値上げも検討しているとしており、既存のプランの値上げも想定される。

広告を視聴する必要がある廉価版は既にHulu・Peacockなどが提供しており、今回のDisney+の参入によりコンテンツ力 × 安さ の2つの競争力をベースにしたユーザーの奪取が発生する可能性はある。

Netflixが高い価格ながら良質なコンテンツを提供するし広告モデルは取らないと宣言している中で、コンテンツの巨人であるDisneyが価格競合性も伴って、どう市場を獲得していくのかは注目が集まる。

Meta 友達とのタスク管理アプリ”Move”をリリース

Metaの新規プロダクト開発チームは、友達と協働してタスクを管理し、完了することでアプリ内報酬が入手できるアプリ、”Move”をリリースした。

同アプリ内でタスクを完了すると、アプリ内のアルパカアバターに利用できるデジタルアイテムが付与される構造になっており、2021年12月発表のMetaのコミュニティ重視の戦略にアライアンしているように見受けられる。

同アプリが戦略転換の前から開発されていたものかは分からないが、新規プロダクト開発チームが開発したアプリは2つを除いて全てクローズになっており、本アプリが生き残るかは未知数。

アルパカアバターのアイテム付与はかなりNFTを意識した設定になっており、”Bored Ape Yacht Club”などの事例を考えると、”Move”アプリの利用・タスク完了のインセンティブになる可能性はある。

Googleの”Task Mate”・メルカリのメルワークが、自社のサービス改善のためにユーザーへのインセンティブ配布を行なっているのに対して、”Move”は全く別の切り口でのインセンティブ配布を行なっており、この取り組みがどのようにMetaの既存事業と組み合わさるのかは楽しみ。

AppLovin “Wurl“を買収しコネクテッドTV領域へ進出強化

AppLovinがコネクテッドTV向けの広告配信プラットフォームである”Wurl”の4億3000万ドルでの買収を発表。

モバイルでの影響力を順調に強めるAppLovinは、上場当時のS1でも示唆していた通り、アプリ以外のマーケティング領域への進出も強化しており、今回の買収はコネクテッドTVへの進出を加速させるものになる。

AppLovin配下のAdjustは昨年12月にコネクテッドTVからのアプリインストール数の計測が可能になっており、今回の買収も既存事業との組み合わせを狙ったものであるだろう。

AppleのIDFAオプトイン化発表以降、アドテク業界は大規模な再編・統合が進んでおり、AndroidのADID廃止方向性が発表された今、今後もこの流れは加速していくと予想される。

OTT(Over The Top)広告の市場規模は13億ドルを突破

インターネットを介したコンテンツをストリーミングするOver The Top領域の広告市場規模が13億ドルを突破した。

全体のデジタル広告費に占めるOTT広告の割合は3%と現状は大きくないが、米国のTV視聴者の60%が広告なしの有料動画よりも広告ありの無料動画を好むという調査もあり、このマーケットは今後も拡大していく見込み。

カテゴリ別で見ると、小売・メディア・テック・ファイナンスが突出して高くなっており、上位5つのカテゴリで全支出の57%を占める。

参考記事・リソース

TikTokのカルチャーへの影響を考察したインサイトレポートを発表

TikTokの食品/飲料・エンタメ・美容など各業界・カルチャーへの影響を考察したレポートを発表。

TkTok経由での購入・認知が年々拡大しており、コンテンツの制作方法もここ数年で大きく変化したと肌感覚ではあったが、実際にレポートを見るとその影響力に驚かされる。

ちょうどAmazonもTikTokでバズっている美容用品をキュレーションしたオンラインストアをオープンもしており、今後もTikTok発のコンテンツ・文化は増えていくと予想され、一読をしておくといいかも。

アプリの広告戦略に役立つ5つのヒント

AppTaminによる、アプリの広告戦略を考える際に役立つ5つのヒント。

①競合他社の出稿状況を把握する
②出稿先の競合状況・特性を理解する
③ローカリゼーションを行う
④インストールユーザーのモチベーションを掘り下げる
⑤一貫したブランディング

特に、④・⑤は個人的に重要だと思う。

同じアプリインストールでも、どのようなモチベーションでアプリをインストールしているのかを掘り下げることによって、各ユーザー群に対して最適なキャンペーン設計・期待値のすり合わせが可能になり、最終的なリテンションも向上していく。

また、広告で見た内容とストア内容やアプリ内の体験が一貫性がないとユーザーは定着しないため、認知・獲得〜定着に至るまでで一貫したブランド体験が提供できているかは広告の観点でも考える必要がある。

実際、キャッチーなキーワードや過激なクリエイティブは獲得効率はいいが、アプリに定着はしづらいので、刈り取り型ではなくエンゲージメント重視の広告戦略は今後より重要になっていくだろう。


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