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iOS14が遂にリリース!ASO(アプリストア最適化)はどう変わる?変更点と影響を徹底解説!

■ はじめに
こんにちは!Repro Growth Marketerの稲田宙人(@HirotoInada)です。

遂にiOS14がリリースされましたね。(実際は、昨日9月15日のイベントで17日にリリースすると発表されたので、アプリ事業者の方は急な対応にてんやわんやだったかと思いますが…本当にお疲れ様です…)

さて、IDFA取得オプトイン化は来年まで延期されたものの、ウィジェット機能の追加などでアプリ内の改修を現状メインに進められているかと思いますが、実はiOS14ではASO関連でもビッグアップデートが盛りだくさんです。

本記事では、iOS14のASO(アプリストア最適化)に関する変更点とその影響を徹底解説します!

変更に合わせて対策をしないと大きくDL数が落ち込む可能性もあるので必見です👀

変更点①:Featured Collectionが検索結果に表示されるように

旧来はキーワードの検索結果に表示されていたFeatured Cardはバナー画像のみで、実際にダウンロードするには画像をタップして遷移するステップが必要でした。
iOS14では、Featured Cardに対応したキーワードの検索結果では、Featured Collectionとしてアプリアイコンが2つ表示されるようになっています。

つまり、キーワードの検索結果では1位でも、Featured Collectionが表示される場合は、実際のユーザーには3位のアプリとして認識されるということです。さらに、キーワードに対してAppleSearchAdsが入札されている場合は、なんとオーガニック1位の表示順位は実質4位にまで低下してしまいます…。

この変更は純粋なオーガニックのDL数低下に繋がる恐れがあります。

Splitmetricsの調査によると、検索順位による検索結果一覧からプロダクト詳細ページへのCTR(遷移率)は以下の表のようになっています。
旧来はオーガニックの1位表示であった場合は中央値換算で19.29%であったものが、iOS14からは1.46%、AppleSearchAdsが表示される場合は0.86%までも落ちる可能性があり、大きくオーガニックのDL数が減少する恐れがある点は認識する必要があります。

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Source:App Store Search Benchmarks and Tips on Improving Ranking

逆にいえば、自社アプリが特定のキーワードでFeatured Collectionに表示されている場合は、AppleSeachAdsでの入札を強め、さらにASO対策を行うことで、上位表示を全て自社アプリで占めて競合アプリを締め出すことができるということです。
今後は、より実際の検索結果を意識し、広告とオーガニックを組み合わせたASO戦略を実践することが重要になるでしょう。

変更点②:表記揺れの自動補正機能

ASOにおいて正規の表現だけでなく、表記揺れ(打ち間違え・ひらがな・カタカナ)の対策はトラフィック増加において非常に効果的な戦略です。特に、ビッグタイトルの表記揺れはスモール・ミドルデベロッパーにとっては穴場的キーワードであり、いわゆるコバンザメ戦法としてASO施策の定石でした。

iOS14では、表記揺れで検索した場合でも自動的に正規表現の検索結果が表示されるようになっています。
一般的に正規表現よりも表記揺れの方が、検索されている量が少ない・対策しているデベロッパーが少ないという2つの点でトラフィック増加に有効でしたが、今回の自動補正機能の実装によりその戦略が破壊される恐れがあります。

現状、自動補正の対象はビッグタイトルのみ・且つ日本語の精度は低く・対応キーワードは少ないということで、影響としてはそこまで大きくはありません。しかし、今後精度が上がっていくと、旧来の表記揺れ対策はの効果は逓減していくことも考えられます。

この機会に現状対策している表記揺れを実際にストアで検索をして、結果に応じて新たなASO施策を実践されることを強くお勧めします!

変更点③:アプリ詳細ページのリデザイン

iOS14ではアプリ詳細ページにも2つの変更点があります。

まず1つ目は、アプリ情報セクションのリデザインです。
iOS14からはAppleArcadeと同じデザインで、評価・対象ユーザー・カテゴリ内順位が表示されるようになります。

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↑iOS13

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↑iOS14

2つ目は、プライバシー情報表示の拡充です。
旧来はプライバシーポリシーはリンクに遷移しないと確認できませんでしたが、iOS14ではストアページ内に詳細のプライバシーポリシー情報が表示されるようになります。アプリ使用をする上で、自分のどのようなデータが使用されるのかが明確に記載されるようになります。
こちらの変更に関しては、先日のIDFA取得オプトイン義務化の来年までの延期に伴い、現状は実装されていません。
しかし、本項目を蔑ろにすると、プライバシーに敏感なユーザーからのDL率が大きく低下する恐れがある為、早い段階での情報の整理をお勧めします。

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Source:WWDC 2020: What’s new for the ASO and Organic UA

変更点④:アプリ審査ガイドラインの変更

厳密にはiOS14リリース前のガイドライン改訂にはなりますが、重要な点なので再掲します。

iOSでは全てのアプリがアップデートするためには、毎回審査に提出してAppleの公開悔承認を受ける必要がありますが、その審査プロセスが大きく変更されました。変更点は2つです。

まず1つ目は、審査結果への不服申立です。
旧来は、審査に通過しない場合(リジェクト)は指摘された箇所を修正し、審査に通過するまで審査に提出し続ける必要がありました。今後は、審査結果への不服申立が可能になり、指摘された箇所がガイドラインに違反していない点を証明できるようになりました。

次に2つ目は、特急申請の認可です。
旧来は、致命的なバグがある場合でもメタデータなどでガイドラインに違反していると判断された場合は、全ての指摘箇所を修正するまでは修正版を公開することができませんでした。
今後は、法務的問題を除くメタデータリジェクトの審査を飛ばして、致命的なバグ修正版にアップデートすることが可能になりました。但し、その次のバージョンにアップデートする際には、メタデータを含めて全てのガイドライン違反箇所を修正する必要があります。

Additionally, two changes are coming to the app review process and will be implemented this summer. First, developers will not only be able to appeal decisions about whether an app violates a given guideline of the App Store Review Guidelines, but will also have a mechanism to challenge the guideline itself. Second, for apps that are already on the App Store, bug fixes will no longer be delayed over guideline violations except for those related to legal issues. Developers will instead be able to address the issue in their next submission.

Source:Apple reveals new developer technologies to foster the next generation of apps

変更点⑤:AppClipsの登場

App Clipsは、完全版のアプリをダウンロードすることなく、必要な場所・タイミングでユーザーがアプリの一部機能を使用できるようになる機能です。

AppClipsの登場に合わせて、AppStoreConnect上でAppClipsCardのメタデータの編集が可能になりました。
AppClipsでは以下4つの要素がカスタマイズが可能です。

①:ヘッダー画像
・ヘッダー画像には視認性の観点から文字を使用しないことを推奨
・3000px × 2000pxのPNGかJPEGが使用可能

②:AppClipsのタイトル
・18文字制限
・アプリ名は左下に表示されるため、アプリ名ではなくビジネス名を記載すること(飲食チェーンであれば店名・マップであればスポット名)

③:AppClipsに関して説明するサブタイトル
・43文字制限

④:CTAの文言
・CTAは独自に設定可能だが、何をユーザーがその後にするのかに合わせて最適化すること
・ドロップダウンから複数種から選択できる
・自動でローカライズされる

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Source:Configure and link your app clips

それぞれの要素はAppStoreConnect上で編集が可能ですが、変更するたびに審査提出が必要になる点に注意です。
また、AppClipsとフルパッケージアプリは同時に審査に提出するのが必要であり、それぞれ個別で提出することは不可能な点も認識が必要です。
ASO対策アップデートとスケジュールを調整する必要性がこれまでよりも大きくなります。

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Source:What's new in App Store Connect

AppClipsの登場による考え得るASOへの影響は以下の通りです。

・AppClipsトリガー経由のAppClips起動による、ストア流入数・ダウンロード数の減少
→フルパッケージアプリダウンロードインセンティブの低下

・特にオフラインサービスメインのアプリでは大きくなると考えられる
→実店舗でのアプリダウンロードのAppClips利用への置換

一方でストア以外での潜在顧客とのタッチポイントが増加することによる、最終的なDL数パイ自体は拡大する可能性もある為、ASOの役割を自身の業態に合わせて今一度再定義する必要性はあるでしょう。

また、僕として気になる所は、AppClipsのメタデータはAppStoreのインデックス対象になるのかです。こちらに関しては、AppClipsが実装されているアプリが増えてきたタイミングで別記事で考察をしたいと思います。

尚、AppClips自体の機能概要や活用シーンなどの詳細に関しては、手前味噌ですが以下の記事が分かりやすいのでご覧下さい!(AppClipsで検索するとApple公式ドキュメントを超えて1位です笑)

変更点⑥:App Store Connect API

2018年から提供が開始されているApp Store Connect APIでは、TestFlight・User&Access・Provisioning・Reportsの4つに対応しています。
iOS14からは上記に加えて、App MetadataPower and Performance Metrics and Diagnosticの2つのAPIが新たに追加されました。

App Metadataでは以下の作業がAPIを介して自動で行うことができるようになります。

新バージョンの作成
価格設定
メタデータの編集
ビルドの新バージョンとの紐付け
審査への提出

Power and Performance Metrics and Diagnosticでは、App Store Connectで表示している粒度でDL数やクラッシュ数などのデータをAPI経由で入手することが可能になります。


■ 最後に

以上がiOS14におけるASO関連の変更点とその影響のまとめでした。

FeaturedCollectionの検索結果での表示や、表記揺れの自動補正などASO単体で見た際には悲しいアップデート内容もありましたが、広告とASOの連動施策やAppClipsの登場などで施策・段階横断的なプロダクト設計がより重要になってくると言えるでしょう。

現状(2020/09/18 00:40)は、アルゴリズムの大きな変動は観測していませんが、暫くは注視をしてASO施策をチューニングされることをお勧めします。

また、今回のアップデート内容に合わせて現状の設定内容やASO自体の役割を再定義してみるのもいいのではないでしょうか?

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