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今週のモバイルアプリ関連ニュースまとめ Vol.7(3/14週) | Weekly Mobile Update

今週の注目ニュース

Microsoft iOS版“Xbox Cloud Gaming”のパフォーマンス改善

Microsoftが提供するクラウドゲーミングサービスである”Xbox Cloud Gaming”のパフォーマンス改善がiOS環境で行われた。Apple側がクラウドゲーミングサービスを目の敵にしているのもあり、ネイティブアプリでのクラウドゲーミングネイティブアプリのリリースは叶わず、”Xbox Cloud Gaming”はPWA(Progressive Web Application)の形式で提供がされている状況。

今回のパフォーマンス改善の背景には、現在買収承認待ちの”Activision Blizard”のコンテンツ吸収があるのではないかと睨んでいる。現状既に一部のハードコアアプリはコンテンツとして”Xbox Cloud Gaming”上に存在しているが、カジュアルゲームからミッドコアも満遍なく提供がされている状態。

今後、”Activision Blizard”の買収が正式に成立した暁には、「Call of Duty」・「Diablo」・「Overwatch」などのハードコアゲームが一気にコンテンツとして追加されることが予想されるため、先んじてパフォーマンス改善を行なったのではないだろうか。

同じくFacebookもクラウドゲーミングサービス”Facebook Gaming”をiOSネイティブアプリとしてリリースを計画していたが、度重なるAppleからの審査棄却により、最終的にはゲーム機能なしのコミュニティ・実況ストリーミングアプリとしてリリースをするに至っている。

Microsoftがネイティブアプリのリーチ幅を捨ててまでiOSでのPWAリリースを行った背景には、Microsftの売上の10%と小さくない割合がゲーム事業から創出されていることに起因するのではないだろうか。

実際、Facebokは売り上げの95%以上が広告事業から創出されており、ゲーム事業単体としての売上確立は優先度として低くなっているのではないかと考える。

Amazonもクラウドゲーミングサービス”Luna Game”のローンチをしており、近い内にモバイル領域への進出を進めるだろう。iOS上でのリリース形態がどちらに転ぶかは彼らの戦略が見れる点で楽しみと言える。

Netflixは独自広告ネットワークを形成するのか

長い間Netflixは、「広告モデルは採用せずに良質なコンテンツを提供することで高い金額でもお金を払ってもらう」という基本戦略に沿ってプロダクトの提供を行なっていた。

しかし、NetflixのCFOが先日「信条として広告モデルを採用しないのではなく、現状のスケラービリティがあるサブスクリプションモデルが継続できる間の当面は広告を採用しない想定」と発言しており、Netflixとして広告に絶対に踏み込まないわけではない点を表明した。

Netflixは興味・関心ベースでのプロファイル情報を膨大に使用しており、現在はその情報をレコメンドするコンテンツの選択・コンテンツの見せ方などのパーソナライズに活用している。

特に、近年の個人情報保護規制の強化により行動履歴ベース・個人特定ベースでの識別が難しくなっている中で、興味・関心などのプレファレンス・コンテキストベースでの広告技術(Googleが推進しているTopicsが最たる例)の方向に向かっている中で、Netflixが保持する膨大な上記のデータは広告主としては垂涎ものであるはずだ。

同様に興味・関心などのプレファレンス・コンテキストベースの情報を大量に保持しているプレイヤーとしてはSpotifyが挙げられるだろうが、音声フォーマットは広告として動画フォーマットと比較すると一定自由度が落ちるのではないかと思う。

動画の場合は旧来よりプロダクトプレイスメントの形でドラマ中に自社の商品を映り込ませる手法が用いられてきた。(映画「Truman Show」はプロダクトプレイスメントの最終?形態w)

既に動画に関しては、動画内の一部要素のみを動的に置き換える技術が出てきており、プロダクトプレイスメントのようにドラマ内で登場する要素を、視聴ユーザーに合わせた広告主の商品を掲載するなども可能になるわけだ。(ただ行き過ぎは禁物。007でジェームズボンドがプ○ウス乗ってたらなんか違う感ありますよね)

一方の音声では、既に一定ユーザーの状況・関心に合わせたパーソナライズ広告は運用が開始されているものの、やはり動画フォーマットと比較すると変動要素が少ないのではないかというのが所感である。(音声広告のダイナミックなクリエイティブ変動に関してはオトナルさんの「#46 天候やエリアで変化する!音声広告の真価とは?ゲスト:音声広告運用 高瀬さん」が分かりやすいのでそちらをご視聴ください。)

当面の間Netflixは広告モデルは採用しないと表明はしているが、競合であるDisney+はユーザー数拡大の観点で広告を採用した廉価プランを導入予定と表明しており、今後競争が激化する中でNetflixも売上ではなくユーザー獲得の観点で広告ネットワークの構築を進める動きがあってもおかしくないのではないかと思う。

Apple 4/25以降は最新のXcodeでのビルドが必須に

Appleは2022年4月25日以降、リリースするアプリは最新バージョンのXcode13を用いてビルドを行う必要があると発表。

Xcode13には、iOS15でリリースされたSwiftUI・ARKit 5・Safari Extensions・ShazamKit・SharePlayなどが含まれており、本バージョンでアプリを製作することでよりリッチな体験をユーザーに提供が可能なると説明している。

最新バージョンでのビルド必須施行後も、iOS14以前のアプリのサポートをしなければいけない点は留意が必要。

広告ありのモバイルゲームを好むユーザー割合は21%から50%に増加

Tapjoyが発表した「Tapjoy’s Modern Mobile Gamer 2022 Report」によると、買い切りやアプリ内課金ゲームよりも無料の広告ありのゲームを好むユーザの割合が、2017年の21%から2021年の50%へと増加した。

「無料でも十分遊べる」の時代が終わり、「有料よりも無料の方がクオリティが高い」状態が当たり前になってきたゲームにおいては”ペニーギャップ”が近年ますます拡大していると言える。

こうした消費者側のトレンドもあり、広告主側も最大の予算アロケーション先としてアプリ内広告を挙げるという調査結果もある。
また、実際ユーザーが新たなゲームを発見する手段としても、60%ものユーザーが別ゲームの広告で見たゲームをプレイしたことがあると言っており、出稿した広告が次のゲームプレイに繋がっている事実もあるため、今後も無料でユーザーを獲得して長く使ってもらい広告を閲覧してもらうことで収益を拡大していく手法は隆盛を維持しそうだ。

次期OS Android13ではプッシュ通知がオプトイン制に

今秋にリリースが想定されるAndroid13からは、アプリのプッシュ通知を送るにはユーザーのオプトインが必要になる。

今まではAndroidではプッシュ通知はデフォルトでオプトインされており、ユーザーが通知を解除する際には端末の設定画面で個別にアプリを選択する必要があったが、今後はアプリをインストールした時点でプッシュ通知を受け取るかの選択ができるようになる予定。

この変更の結果、今後Androidではプッシュ通知を送信可能な対象ユーザー数の縮小が想定されるが、一方でプッシュ通知を能動的に受け取るユーザーが増加することで開封率やその後のコンバージョン改善も見込まれる。

どちらのインパクトの方が大きいか次第で、デベロッパーにとって吉と出るかは決まるが、いずれの場合でもユーザーがウザいと思うようなコミュニケーション施策を実施しないことを鉄則としたい。特に、ここ1〜2年はApple・Google共にプッシュ通知を殺しに来る流れが進んでいるため、上記の思考はより重要になっていくだろう。

参考記事・リソース

ディープリンクの基礎と活用ユースケース

Appsflyerのディープリンク技術の基礎から活用ユースケースまでをまとめたブログコンテンツ。

どのような仕組みでディープリンクが動いているかの基礎的な話から、ディファードディープリンクを用いたシームレスな体験設計のユースケースまで書いているので、ディープリンクの基礎からおさらいするのに最適です。

広告マネタイズゲームのアドネットワーク基礎・戦略

スロバキアのゲームアプリのマネタイズ支援を行っている「Lancaric.me」による、広告マネタイズ戦略を議論したポッドキャストエピソード。

アドマネタイズにおけるKPI設計や、信頼できるアドネットワーク・信頼できないアドネットワークまで幅広く議論しており、広告マネタイズモデルを採用しているデベロッパーの方は聞いてみてもいいんじゃないかと思います。


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