エッセイ 自動調理器 2022年12月

最近ホットクックという自動調理器を買った。自動調理器とは、材料と調味料を投入してセットすると、出来上がりの状態に仕上げてくれる器具である。
普通の鍋でも煮物や鍋物だと火をかけておけば勝手に仕上がるが、最後にガスは人が止めなければならない。自動調理器は電気制御なので、出来上がれば自動で作業が終了する。
たったそれだけか、と思う人もいるだろうけれど、仕事に行く前にセットしておくと、帰るときには出来ていて、非常に便利である。
ホットクックは更に混ぜる機能が付いているのでカレーやシチュー、かぼちゃスープなどが出来る。

そもそもなぜ自動調理器を買おうと思ったかというと、仕事から帰って夕食を作り始めると、どうしても短時間でできる炒め物が多くなってしまっていた。脂質の摂り過ぎが気になっていたのである。

で、ホットクックを買ってみると、食事の内容と帰宅後の時間配分が激変したのである。
食事の内容は炒め物やお浸しから煮物に変わった。当然使う材料も変わり、それまであまり使わなかったタマネギ、ジャガイモ、ニンジンが中心になった。食事の変化に伴って、使う皿までも入れ替わったのである。
購入前は、帰宅後まず温めておきたい調理済みの物は弱火にかけておいてシャワーを浴び、浴び終わってから調理を始めていた。お腹がすいているので、不必要なつまみ食いも多かった。
購入後はまず食事をし、そのあとシャワーを浴びている。購入前と後では、自由時間が1時間も増えた。嬉しい限りである。

自動調理器の特徴は、調理中は一切触ることが出来ないところにある。それが何をもたらすか。もうお任せするしかない、と覚悟を決めさせられるのである。
もしガス火で鍋を使って調理していたら、鍋の中を何度も確認するだろうし、火加減も調節する。途中で思い付いたら、具材を足すこともやりかねない。
もうそれが一切お任せなのである。つまりいろいろ思い煩うことから解放されたのである。
そんなことはガス火で鍋を使っていても可能なのだが、覚悟が決まらなかったのである。
気になることなど、覚悟ひとつでどうにでもなることを今更ながら教えられた。

余談

カレーやシチューが任せっぱなしとは思えないほど美味しく仕上がる。理由はまだよく分からないが、ほぼ密封なので、無酸素料理が出来ているのかもしれない。シチューの美味しさには感動した。

購入前に商品レビューや家電紹介サイトを見たのだけれど、調理後に洗う部品が多く、それがマイナスポイントとしてしばしば書かれていた。実際の使用感は、全くどうということはなかった。これが面倒臭いとは、日頃どんな生活をしているのだろうと思う。
人は便利さに抗しきれない生き物なので、これからもますますこの傾向に拍車がかかるだろうが、鍋ぐらい自分で洗えよ、と思う。生きている実感が無くなりそうである。

なおホットクックはシャープの商品であるが、シャープは2016年に台湾メーカーの鴻海(ホンハイ)に買収されている。


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