エッセイ 果物と果菜の違い 2023年8月

どちらも果肉を利用するが、甘いと果物、甘くないと野菜に分類する。分類は人の都合だが、何かアカデミックな分類の違いがあるのだろうか。

果菜とは、例えばナス、トマト、キュウリなど実を利用する野菜のことだ。

すぐに思いつくのは、果物には木本が多く、果菜には草本が多いことだ。しかしスイカ、メロン、イチゴは草本だが甘い。

木本は草本に比べて個体が大きいので、それだけ炭水化物である糖類を作る余裕があるのだと思う。
スイカは東または南アフリカ原産で、カラハリ砂漠で生活するブッシュマン(サン)がよく利用した食糧だが、人類学者の記述を読むと多年草である。カラハリ砂漠に生えるスイカは甘くないようだが、一年草に比べ、多年草のほうが木本と同じ理由で、糖類を作る潜在能力が高いのだと思う。

しかし木本の木の実がすべては甘くならないのは何故か。これは一体どういう理由によるものなのだろうか。

と言うことを考えると、それぞれの種が、どうやって種を散布するか、という戦略がどんな実を作るかを左右するのではないかと思う。

つまり、霊長類に種を運ばせるのなら、大きめの果実を甘くすれば類人猿が寄ってきて、種を運んでくれるだろう。
トリに種を運ばせたいのなら、色を付けて目立つようにし、しかも飲み込めるように小さな実を付ければよい。
げっ歯類で活動量の多いリスに種を運ばせたいのなら、他の動物が簡単に食べれないように堅い殻で覆い、中にエネルギー源の糖類を多く用意しておくとよい。
風に種を運ばせたいのなら、実を軽くして、風の抵抗を受けやすい形、翼をつければよい。

と言うように誰と協力して生き残り戦略を立てるかによって、甘くなったり、ならなかったりするのだと思う。


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