HIROTA, Masayuki

時計専門誌『クロノス日本版』編集長。実はアートソルジャーです。主に独り言をつぶやいてい…

HIROTA, Masayuki

時計専門誌『クロノス日本版』編集長。実はアートソルジャーです。主に独り言をつぶやいています。文章についてえらそーに書いていますが、まったく上手くありませんw

最近の記事

欲の話

時計を書く際、何が大切かという話になった。知識か、お金か、あるいは時間か。個人的には、買いたいという欲だと思っている。対象を舐め回すように見ないと、やがて通り一遍のことしか書けなくなる。執拗に見続けるのに必要なのは情熱、と言われたが、実のところ欲でしかなさそうだ。対象が何であれ、欲を失った書き手は面白くないし、欲さえあれば読める物になる。葛藤が伴えば、それは立派な文学だ。 アガリ時計を買いなさい、とも言われた。しかし、理想的な時計を手に入れてしまうと、やがて書く気は失せると

    • ダ・ヴィンチ 「非」永久時計

      今回はある時計と、その思い出について話したい。 1985年にバーゼル・フェアで発表された永久カレンダーが、IWCの「ダ・ヴィンチ」である。永久カレンダーとは、年、月、曜日、日、月齢表示に加えて、うるう年まで自動的に変換するものだ。 しかしこの永久カレンダーは、他の物とある一点で違っていた。それが文字盤の左下に見える小さな小窓、つまり2499年までの表示機能である。実はIWCは、2500年以降のカレンダーも用意しているそうだ。だからIWCという会社が存在する限り、カレンダー

      • 下手の文章術:その2(仮)

        思ったことがそのまま言葉になり、多くの人に読まれる。これはすべての書き手にとっての理想だ。しかし、技術がなければ、そのまま書いても読まれることはない。前回記した、誤解を与えない云々は、書き手としての最低限の配慮である。誤解されなければ、正しく伝わる可能性は高まるだろう。今回は、その上の階層にある、読まれるための技術を述べたい。 正しく伝わること、書いたものが読まれること、好きに書いたものが読まれることは、似ているようで階層が異なる。 ●どうすれば読んでもらえるか?有名人の

        • 下手の文章術:その1

          ●真夜中のラブレターを書かないために今でこそあちこちに書かせていただいているが、そもそも書くのが嫌いで、しかも上手くない。書くのはもう止めたいが、これ以外に食う手段がないから仕方ない。 下手が上手く見せるには、推敲をするしかない。つまり、できるだけ書き直すのである。目的は「真夜中のラブレター」を、多少でもまともにすること。勢いで書いたものは面白いが、たいていは人に読んでもらえるレベルにないどころか、人を怒らせる場合も少なくない。 推敲とは、書き直しとは、面白さを殺さない程