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【小説】白猫とオバケ01〜出会い〜

提示された絵を元に物語を描いてみます。

僕の名前はシロ

人生、いや‥猫生に絶望している。

社会に出て、いきなりブラック企業に入社してしまい、手取り12万で、夜中まで酷使され、朝起きて、会社行って、朝方アパートに帰り、シャワー浴びて寝る毎日

長野県立猫工業高校を3歳で卒業し、
まあ人間の寿命で言えば、だいたい6倍だから
3歳×6倍で18歳くらいかな?

「そのうちラクになるから」と、猫社長に言われ続けて、もうすぐ3ヶ月だけど、いっこうにラクになる気配はない。

夜中の3時に仕事が終わり、終電もとっくに終わっているので、トボトボと歩いて30分ほどの距離にある、オンボロのワンルームに向かって歩いていた。

春になったといえ、やけに寒い‥
見上げると壮大な漆黒闇に、オリオン座が広がっていた。

「キレイだな‥」

しばらく空を見上げながら歩くと、ふと「全品100円」の黄色のラベルに、赤の太文字でデカデカと貼った、自動販売機が目についた。

ぐー

反射的にお腹が鳴って、ようやく自分が空腹だったことを思い出す。

あっ、そういえば昼はバタバタして忙し過ぎて、朝から何も食べてないや‥

自販機の光に導かれるように、自販機の前に立つ。

どれにしようか‥

何となく、見覚えがないラベルのコーヒーや、お茶がならんでいて、どれもなんかイマイチな印象

アレ?

「コーンポタージュ」だけ、DiDoのよく見るデザインの缶を見つけて、何となくお得な気がして、チャリンと100円を入れ、ポチっと消費のボタンを押す。

ピロリン

とマヌケな音がして、ピピピ‥と
ルーレットが回る音がする

「ああ、当たり付きのヤツか‥」

誰に言うでもなく、一人つぶやきた

ピロピロリーン!

明らかに、何かいつもと違う感じのリアクション

「!」

「えっ?当たり?」

シロはちょっとうれしくなり、赤いLEDの点滅に目が釘付けになった

「アタリ」

アナログチックな、LED表示と共に、コロンと明らかに、缶ジュースの音とは違う音が、取り出し口から聞こえた。

シロは、おそるおそる、取り出し口に手を入れる

「ん?」

プラスチックのガチャガチャのボールみたいな手ごたえを感じて、取り出し口から、取り出してみる。

「ガチャガチャのボールだ‥」

手のひらにのった、直径10cmくらいの球を眺める。

「何だコレ?」

赤と透明の二色の球を、透明な部分から中を覗いいでみると。白いお化けのカタチのフィギュアが入ってる。

「呼ばれて飛び出て、ジャジャジャジャーン!
オレはオバケのQ次郎!よろしくねー」

「は??」

シロは自分の周りにまとわりつく、妙にテンションの高いオバケに、どうリアクションして良いのか、ぼんやりと眺めた

「なんだコレ?」

疲れて幻覚でも見てるのか?

シロは思いっきり指で右を頬をつねってみる

痛い、確かに現実のようだ。

(つづく)

『第二話』

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