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MMTと「陰謀論」の残念な共通点

現代貨幣理論いわゆるMMT(Modern Monetary Theory)を巡る議論は、いまだに熱い。理論の概要や論争のポイントは山ほどコンテンツがあるのでそちらに譲る。

私自身は「いまだによく分からない」というのが正直なところだ。書籍や記事、インタビューなどそれなりにチェックはしている。
分からないのは2点。ひとつはMMT的な世界の経済システムの全体像。
もうひとつは「MMT論者は結局、政治や経済をどう変えたいのだろう」という点だ。MMTが正しいという前提に立つとして、実現するルートが思い描けない。

後者についてなぜだろう考えていて、「今のMMTの議論は陰謀論っぽいな」と思い当たった。
お断りしておくが、私は理論自体が陰謀だとか、MMT推進派が陰謀論者だと言いたいわけではない。
MMTそのものの是非をこの文章で論じるつもりはないが、「財政の限界を決めるのは債務残高などではなくインフレ」「政府の赤字は民間の黒字」という主張に私は同意する。
前者については、私は過去の消費増税に反対だったことを付記しておこう。後者はほぼ定義であって異論はない。
「政府債務はいつか完済すべきものではなく、財政は経済全体をうまく回すためにある」という私の持論はMMTと親和性があるとも思う。
それでもなお、MMTの現状には「うーん」とうなってしまう。

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