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「鬼滅の刃」を読んだら「リングにかけろ」を猛烈に読み返したくなった

ツイッター上で「いいから読め!」と詰めまくられ、敬して遠ざけていた『鬼滅の刃』を自宅にあった19巻まで読んだ。三女のコレクションです。

うん、面白かった!

だから敬遠していたのだ。読めばある程度、時間を取られる。
最近は次に出す本(『おカネの教室』の続編ではないです)の執筆にプライベートな時間は振り向けている。積読もたまっている。
一気読み系のマンガは危険なのだ。

それでも読んだ。最後のダメ押しになったのは、『おカネ』の担当であるミシマ社の編集アライの猛プッシュだった。

「玉突きで『おカネ』の続編も遅れるよ?」
続編にもプラスになるから!知らんけど!

とメチャクチャな屁理屈で推された。キングダムも読めという。
皆さん、続編が遅れたらこの人のせいです。

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(Amazon1位の記念ポップアップレターより)

『鬼滅』から感じた懐かしさ

ということで、朝の準備体操代わりに『鬼滅』の読後感を書き残しておく。

前述のとおり、面白かった。
とても楽しめた。よくできている。
のだが。
ドハマり、までは行かなかった。
完結するまで読むとは思う。でも、再読するかはちょっと微妙だ。完結したら、もう1回ぐらい読むかもしれない。

それより、いますぐ再読したいマンガがある。
車田正美の『リングにかけろ』だ。

『鬼滅』を読んでいる間、ずっと感じていたのは、はるか昔、少年時代に毎週、少年ジャンプを待ち焦がれてたころの感覚だ。

このマンガ、懐かしいのだ、流れている空気が。

鬼が太陽に弱くて『血』を介して手下を作る設定が『ジョジョ』に似てるとか、そういう細かい分析はもうどこかで誰かがさんざんやっているだろうから任せます。炭焼きの息子が実は伝説の技の継承者だったみたいな展開も貴種流離譚的なテンプレだとか、「妹の病(?)の治癒法を探して兄がさまよう」なんてまだアリですかとか、そういうのも言わずもがななのでパス。

私が「これこれ、これでいいんだよ、少年マンガは!」と久々に楽しくなってしまったのは、必殺技の洪水だ。2日ほどで一気読みしたのに、1個も覚えていないあたりが、洪水と呼ぶにふさわしい。
この必殺技てんこ盛りの空気が、『リングにかけろ』や『キン肉マン』にそっくりなのだ。

「ハイパーインフレ水戸黄門」の楽しさ

お若い方のためにすこーしだけ説明すると、『リングにかけろ』は硬派なボクシングマンガが神々の闘い的な超人バトルに脱皮した歴史的名作だ。

強力なライバル
  ↓
主人公が特訓で乗り越える
  ↓
もっと強いのが!
  ↓
さらに特訓!必殺技開発!
  ↓
相手も必殺技使ってくるよ!?
  ↓
こっちは3倍バイキンマンだ!

とやってるうちに、ハチャメチャなインフレが起きていくというジャンプマンガの王道パターンは、『リングにかけろ』から始まっている。と思う。

『リングにかけろ』だって、最初は主人公の高嶺竜児(たかねりゅうじ)が姉・菊の手ほどきをうけてジャブから右ストレートと段階的にボクシングを学び、エリート校のライバル、剣崎順様に挑むという『あしたのジョー』のパクリまっしぐらな正統派ボクシングマンガだったのだ。「えぐりこむようにして打つべし」みたいな。

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それが、あれよあれよとインフレが起きて、スーパーブローという必殺技の応酬によるただの超能力選手権みたいになった。

これが、最高にワクワクしたのだ。

血まみれになって、「推し」の竜児が負けそうになる。
そこからの! ブーメラン・フック!
負けじと剣崎がギャラクティカ・マグナム!
何を! こっちはブーメラン・スクエアだ!
くそぉおおお! くらえ、ギャラクティカ・ファントム!
ぐはぁあ! ここで炸裂、ブーメラン・テリオス!

こうして書いてしまえば、ただのアホだ。
でも、このお約束な展開、インレーション付きの水戸黄門は、中毒性が高い。水戸黄門というのはのう、お若いの……ググれ。

ちなみに高井少年は「なぜ俺の名前は『竜児』とかじゃないのだろう……。ヒロアキじゃ、ブーメラン・スクエアもローリングサンダーも出せそうにない!……ハリケーンボルトはギリギリいけるか……?」と真剣に思い悩むほど、ドハマりしていた。
だってヒロアキじゃ、こんなの出せそうもないでしょ。

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少年マンガの同時代性

完全に記憶を頼りに書いているけれど、マンガとしての完成度は絶対『鬼滅』の方が高い。
ちょっとワンパターン気味だが敗れていく鬼たちの生い立ちを振り返るシーンの挿入や、鬼殺隊側の設定やキャラ作りは丁寧で、なかなか読ませる。

でも、まあ正直、既視感は否めない。
これは、これまでの人生でマンガを読みすぎたオジサンの方が悪い。

少年マンガは、これでいいのだ。
今の少年(と少女)に刺さって、私にとっての『リングにかけろ』のような存在に『鬼滅』がなっていくのだろう。
それが同時代性というものだ。

『リングにかけろ』、買っちゃおうかな。
今読んでも、絶対面白くないと思うけど(笑)
でも、もう一回、「影道龍極破!」でワクワクしたいじゃない?

あ、その前に『鬼滅』の20巻買ってこなきゃ!

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