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「本がすき。」書評集

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光文社のサイト「本がすき。」に寄稿した書評を転載しています。ちょっと真面目な文体です(笑)
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#書評

死地は地上にあった『デス・ゾーン』

複雑な思いでこの文章を書いている。 本書は、多くの人に読んでもらいたい興味深い1冊だ。 一…

高井宏章
2年前
54

「勉強のやり方」を知らない子どもたちに 『東大式節約勉強法』

私事で恐縮だが、著者の布施川天馬さんと私は、年は二回り以上離れているものの、境遇が少し似…

高井宏章
3年前
46

タペストリーのような大風呂敷 『三体2 黒暗森林』

翻訳モノには、独特のマゾヒズム的な楽しみ方がある。 もう「新刊」は出ている。 でも、読め…

高井宏章
3年前
17

「すべての男」が読むべき傑作 『ザリガニの鳴くところ』

「2019年アメリカで一番売れた本」 「全米500万部突破」 そんなパワーワードが踊る帯には強力…

高井宏章
3年前
50

教育の「悪平等」への偏見をほぐす 『日本の15歳はなぜ学力が高いのか?』

PISAをご存知だろうか。 OECD(経済協力開発機構)が3年ごとに行う国際的な学力調査で、Progra…

高井宏章
3年前
44

鳥肌モノのエピソードの宝庫 『エリザベス女王』

秀作ぞろいの中公新書の歴史シリーズのなかでも、指折りの傑作だ。 今年で94歳、在位68年を迎…

高井宏章
3年前
54

「清々しいほど分からない」のに最高に面白い 『宇宙と宇宙をつなぐ数学』

最初に正直に白状しておこう。 私は本書のテーマ「宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論」を全く、何も理解できていない。おそらく理解度を数字で表せば0.0001%以下、いやそもそも自分の理解度がどの程度か想像もできないほど、分かっていない。 『宇宙と宇宙をつなぐ数学』KADOKAWA 加藤文元/著 世界の数学者がその難解さと新奇性から距離を置いて様子見している新理論が、理解できるはずもない。 だというのに、私はこの本を寝る間も惜しんで一気読みして、すぐさま再読に取り掛かり、

『ぼくイエ』ヒットの先にある厄介事

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に11月26日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnote…

高井宏章
4年前
13

何度も再読するだろう、「岩田さん」の珠玉の言葉たち

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に11月18日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnote…

高井宏章
4年前
23

韓国発「悪童日記」が問う愛と倫理 『アーモンド』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に10月11日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnote…

高井宏章
4年前
12

「自発性を操縦するデザイン」というハック 『「ついやってしまう」体験のつくりかた…

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に9月18日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnote…

高井宏章
4年前
8

今こそ見習うべき「大人」の余裕 『蘇生版 水の上を歩く?酒場でジョーク10番勝負…

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に9月6日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteに…

高井宏章
4年前
32

多様性がぶつかる最前線のリポート『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に8月21日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnote…

高井宏章
4年前
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SFに息吹を吹き込む新たな古典の誕生 『三体』

本稿は光文社のサイト「本がすき。」に8月8日に寄稿したレビューです。編集部のご厚意でnoteにも転載しています。 話題の中国発の大作は、評判に違わぬ一気読みのエンターテインメント性をそなえた第一級のSFだ。多くの識者が指摘しているように、スケールの大きさとグイグイと引き込むストーリー展開は巨匠アーサー・C・クラークの古典「幼年期の終わり」を想起させる。 『三体』早川書房 劉慈欣/著 立透耶/監修 大森望、光吉さくら、ワンチャイ/翻訳 ネタバレを避けるため内容に踏み込むの