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「ニューヨークタイムズ2024年に行くべき52箇所」:推薦者のCraig Mod氏はなぜ「山口市」を推薦したのか?

年明けに「山口市」に訪れたビックなニュース。

私も「なぜ?」と思ってましたが、「なぜ?」が深堀りされている記事やニュースはうまく見つからず。。。
山口のローカルニュースでの地元の方へのインタビューを見ても「なぜ選ばれたかわからない」という反応が多かったように思います。。。

と思っていると、ニューヨークタイムズに「山口市」を推薦したCraig Mod(クレイグ・モド)氏(ライター兼写真家)自身が解説していましたので紹介します。皆さん、翻訳機能などでご確認ください。


ちなみに、彼は2023年には「盛岡市」を推薦し、「ニューヨークタイムズ2023年に行くべき52カ所」2番目に選ばれています。
ニューヨークタイムズが数百人の方に依頼する中で、昨年、日本の地方都市を推薦して選ばれた実績があり、その方が今度は「山口市」を推薦したと。



彼のサイトを読み、私は衝撃を受けました。

彼の選出理由を私なりに解釈すると、「大都市ではない小さな都市」の中で「素晴らしいライフスタイルが味わえる街」だと紹介されていると感じました。恐れ多い評価です。。。

観光地として京都よりも混んでないわりに歴史や文化があるとか、瑠璃光寺五重塔がきれいですよ。というレベルの視点ではなかったのです。そう考えると瑠璃光寺五重塔が改修中とか関係なかったのでしょう(現在、改修中なのは当然知っていたと思います)。

なお、彼が「山口市」を彼の視点で推薦したことは理解できるとして、もう一つの驚きは、その提案に対して「ニューヨークタイムズ」が3番目に選出した。というところです。
全世界のこだわりのあるライターがたくさんの都市を推薦したと考えると、おそらく似たような世界の都市を提案する方もいたと思うのですが、、、「山口市」はなぜ選出されたのでしょうか?


彼のコメントを具体的に確認していきたいと思います。



彼が一番最初に山口を訪れたのは、2020年3月。その時の記事もありますので、リンクをつけておきます。その時にはなんと「萩往還(はぎおうかん)」を「山口から萩まで歩いた」とあるではないですか。距離にして約40キロ。

私は萩往還の存在はもちろん知っていますが、残念ながら歩いたことはありません。。。萩往還に価値を見出し歩いてみるという行動に、まずはとても驚きました。瑠璃光寺が良かったとか、カフェに入ったとかそういうレベルではない体験をされていた訳です。

萩往還を歩いた際の記事↓

<萩往還とは:山口県観光サイトより>
(引用始)
萩往還とは、日本海側の萩(萩市)と瀬戸内海側の三田尻港(防府市)をほぼ直線で結ぶ全長約53kmの街道です。その成り立ちは、関ヶ原の戦いで敗れた毛利氏が慶長9(1604)年に萩城を築いたのち、参勤交代の「御成道(おなりみち)」として整備したのが始まり。以来、藩主はもちろん、武士や庶民が行き交うようになり、街道沿いには通行人を取り締まる「口屋」、街道の拠点となる「宿場町」などもでき、山陰と山陽を結ぶ重要な交通路として発展。幕末には、吉田松陰をはじめとする維新の志士が駆け抜け、歴史の上で重要な役割を果たしました。

時代が移り自動車が登場すると、その大部分は国道や県道、公道として活用されましたが、起伏の激しい山間道は廃道となってしまった箇所も。この貴重な街道を守るため、昭和56(1981)年に保存・復元する動きが始まり、国の史跡にも指定されました。現在では、道標やマップも整備されるとともに、ガイド組織「萩往還語り部の会」も発足しています。
(引用終)


関係する観光サイトをいくつかご紹介します↓


その後も山口市を訪れており、様々なところを歩き、そこにいる方と話をしています。紹介されていたお店に寄った際の写真も掲載されています。どれも素敵な写真です。
どうやら何度か足を運んで関係性を作り、本当にお店を好きになった上で紹介するに至ったようです。

街の歴史、自然、景観、温泉、お店でのやり取り、住む人とのやり取り、食事などがコンパクトにまとまっている点が良い印象だったのかなと思います。


そして、記事の最後に推薦理由の核心の部分に入ります。

(Google翻訳によるもの:後半部分抜粋)
(引用始)
「山口や盛岡のような都市は、「異空間」、つまり、消滅しつつあるやや持続不可能な田舎の村と、絶え間なく続く巨大都市の間の代替空間を占めています。京都、金沢、広島が日本の A 面だとすれば、山口と盛岡は B 面であり、レコードの控えめな天才性が含まれることが多い面です。私は山口のような都市を見て、こう思います。ここでは、温かいコミュニティの範囲内で活動し、自分の小さな貢献が周囲の人々の生活に有意義に積み重なっていくのを感じながら、人間的なスケールで充実した生活ができる、良い暮らしが可能だと思います。私が旅行するときに探しているのは、最高においしいラーメンや完璧なクロワッサンではなく、むしろの想像力を刺激し、それらの人々との出会いに感謝し、社会や社会に感謝する生き方の原型です。政治的インフラが存在し、これらの人々が独自の付加的な方法で生きることを可能にしています。

山口市。なんて素晴らしい場所でしょう。何年も前に初めて訪れたので嬉しかったです。そして、それが今年のニューヨーク・タイムズのリストのトップ近くに掲載されたことを嬉しく思います。#3. 市におめでとうございます。そして、近くに行ったらぜひ行ってみてください。
(引用終)


日本のB面の「代表」のような取り上げられ方です。外から見ないと分からない視点なので、ふるさとを褒めてもらったようで純粋に嬉しいです。


一方で「山口市」や昨年選出の「盛岡市」はフロントランナーとして選ばれてしまったとも言えます。きっと日本の地方都市には同じような街がたくさんあると思います。今後も選出が続いていくことも考えられます。


日本の地方都市に住む方とそこに興味を持って訪れる方がどのように関係を作っていくとより楽しく、幸せになるのかという一つの事例として注目されていくと思います。
その壮大なプロジェクトに選出をしてもらったことを誇りに思います。


ちなみに、盛岡の選出の際にもその後に起きる変化を心配するコメントが彼自身から発信されています。

選出を前向きに捉え、その良さをさらに発展させることができるという想いも含めての推薦だったのではないでしょうか。これは山口市は頑張るしかありません。


それでは、山口市はどのように頑張れば良いのでしょうか?それはCraig Mod(クレイグ・モド)氏が山口で何をしたのかがとても参考となります。
「山口市」をこれまでの「観光地」ではなく、「ライフスタイル自体を体験してみると良いよ」と推薦してくれているわけです。
そうすると以下の4つのポイントがあると思います。

  1. 「観光地」ではなく「ライフスタイルを体感する場」であること。

  2. 主体性をもって楽しむ必要があること。

  3. そこにあるものを楽しんでもらうこと。

  4. 人との会話を通じてその街を好きになってもらうこと。


今後、もう少し深堀して具体化できれば、具体的な動きができると思っているのですが、まずは概念的に捉えてみました。

1.「観光地」ではなく「ライフスタイル」を体感する場であること。
日本にある東京、京都、大阪といった「観光地」と同じだと伝えてしまい、期待ハズレと言われてしまってはもったいないです。
歴史や成り立ち、シンボルの市民にとっての存在意義などをきちんと伝え、そこでゆっくりと時間を過ごしてもらう。そこに価値があるという価値観をうまく伝えていけると良いなと思います。

2.主体性を持って楽しむ必要があること。
上記の1番を実現するためにも、観光客が観光地に行って楽しませてもらえるという感覚では、受け入れ態勢も含めて難しいと思います。
気になる歴史を調べた上で訪れたり、行った現地で歴史に思いを馳せたり、自らが興味のある店の方とお話ししてみたりと、自らが楽しむ準備をした上で訪れる必要があるかなと思います。何も調べずに来てしまうと、恐らくいろんなことに気づけません。。。情報発信もこの辺りがポイントかなと思います。

3.そこにあるものを楽しんでもらうこと。
交通インフラや外国語対応、案内所対応など整えた方が良いものはたくさんありますが、これまで大切にしてきたものそのものを体感してもらうことがポイントでしょう。今あるものを改めて整理し、それを伝える方法を整理していくと良さそうです。
投資をする方ももしかしたら増えるかもしれませんが、特に行政は新たなものを作ろうをしないことですね。お金の掛け方を間違えないように。。。


4.人との会話を通じてその街を好きになってもらうこと。

ゆったりとした時間を過ごすことができる街です。そこにいる人と会話をする機会が増えることで街を好きになってもらい、また来たいと思ってもらえること、気にかけてもらう方を増やしていけると良いなと思います。




最後となりましたが、色々と整理をしていると、「観光」とは違う「言葉」が必要となるのだろうなと思います。

まだしっくりくる言葉はないのですが、「自らが主体となってその地方に行き、その地方のライフスタイルに触れることで豊かな気持ちになる」そして、「外部から新しい人が来たことにより、そこに住む人にとっても素晴らしい体験が増える」というようなことが山口市の試行錯誤の結果、様々な地方に波及していくことができればこれほど嬉しいことはありません。

ふるさとがこのように取り上げられた所なので、2024年は私としてもできることをしっかりとやってみようと思います。
今後の発信にもご期待ください!

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