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恐怖は一瞬で消せるのか

以下の記事を書いた2011年4月20日、私はヘルスカウンセリング学会公認心理カウンセラー(現ヘルスカウンセラー)となり、研修スーパーバイザーとなるべく研鑽を積んでいた頃で、月2回のペースで研修に参加していました。冒頭の引用文は、9/3の記事でも紹介させていただています。



自分の気持ちを抑えずに自己主張しようとすると、見捨てられ感や自己否定の怖さから率直になれないことがある。いままで育ってきたなかで、「自分が満足するように生きなさい」というメッセージを親から受け取ってこなかったことが大きく影響している。率直に主張すると、周りから「生意気」「無神経」「あんなこと言って、いまに見ていろ」などといった反発を受けてきたことも一因だろう。このように率直になることをはばむ社会環境が、残念ながら、日本にはある。

宗像恒次:人生をリセットしたいあなたに 「心」と「脳」に効くバーチャルサプリ
(2005、松塚晃佑)

私は他にも、この文章を紹介していますが、そこでは、本来の自分を抑え、周りに合わせる「イイコ」は、

見捨てられ感や自己否定の怖さからきており、…
「自分が満足するように生きなさい」というメッセージを親から受け取ってこなかったことが大きく影響

と、親との関係性を指摘しています。

この後、私はSAT行動目標化支援カウンセリングをワークの中で体験し、代理顔表象などの力を借りながら「イイコ」脱却の途上(自己成長中)にあります。

最近読んだ書籍に、似たような言い回しがあったので、それも抜粋してみましょう。

拒絶に対する恐怖とは、私たちが生まれたときに無条件の愛情を受け、それが私たちの成長に欠かせないものだというところから来ている…

私たちは地球上で唯一、生きていくために愛情を必要とする種…

両親は子供に対して多くを望む…そして行動を変えさせるため、両親は私たちにしつけをし、そのしつけの方法によっては愛情を奪ってしまう…「そんなことをしてはダメ!」と言いますが、1歳から6歳の間に両親からそのようなことを言われると、子供の中には小さなトラウマが生じる…そうしたトラウマの中で、子供は『ノー』という言葉へ恐れを感じ、拒絶に対して苦痛を関連づけるようになる…

自己否定の状態とは、子供が自分のことを力不足だと考えている状態…本来は、両親があまりに多くの規則を課しているため、子供がそれに従えないのですが、子供はその規則に圧倒されてしまい…自分は十分良くやっている、あるいは、自分には能力がある、などと感じられず、自分を否定し始めてしまう

そして子供は規則に従って生活しよう、両親が彼らに望んでいるような態度で生活しようとし…それが拒絶に対応するための健全な方法だから…つまり、両親からの愛情、両親との絆やつながりを得られるように、彼らが望んでいる行動をする、そのために自分を変える…

マイケル・ボルダック:一瞬で恐怖を消す技術(2010、フォレスト出版)

いかがでしょう?
宗像のことばが、さらに具体的に理解できたのではないでしょうか?

ところで、私がこの本を購入した理由は、この内容があまりにもSATと酷似し、また目標設定の仕方などが共通していたためなのですが、決定的に違うところがありました。
それは恐怖克服の方法論です。
ただ、そこを論じるのは、また別の機会に譲ることにしますね。

一瞬で恐怖を消すことができたらどんなに楽だろう…そんな期待とは裏腹に、おそらく、この本を読んで「一瞬で恐怖を消す」ことができた人は、ほとんどいないと私は思います。
試みにAmazonのカスタマーレビューを見てみました。

…結果的には恐怖は一瞬で消す技術というより、恐怖を感じないようにするための方法論でした。一瞬というより、徐々に消えていく感じじゃないでしょうか。…

…他のレビューでも指摘されている通り、「一瞬」というのも大げさ。書かれている方法を実行しようとしたらどんなに慣れても数分はかかりそう。…
   :

やっぱり。でも、数分で消せるようになるのなら、すごいと思います。
それくらい、見捨てられの恐怖は、われわれの心(脳)に根付いていると思うからなんですね。

「いまここに」生きている喜びを感じない若者が増えているように感じます。
恐れ、あきらめ、不安…
大きな天災を目の当たりにし、無力感に苛まれているのかもしれません。

しかし、それ以前に、他人の目を気にし、自分を裏切って、「世間」に合わせて生きているために、愉しみをなくしている。
なんとかしたいともがいてみても、なにをしたらいいのかわからない。
あるいは、こんなことよくないのにと思っていても、つまり理屈ではわかっていても行動が伴わない。
…違いますか?
そういう時は、過去の恐怖を伴ったトラウマが作用している可能性が強いのです。

その克服をしたいと思われる方に、
1998年11月に発行されたものですが、今日はこの本をオススメしましょう。

宗像恒次:「自ら愉しむ人間」のすすめ―心をゆるやかにする心理学(1998、亜紀書房)

扁桃体の興奮は、似たような状況下で起こります。
恐い上司は、実は親父の怒った顔を被せて投影しているだけかもしれませんね。

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