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なんて難しく、なんて面白い。事業開発の顔を持つインサイドセールス

こんにちは、カミナシ営業責任者の富澤です!

今回はインサイドセールスへの愛を語る回です。
カミナシはワンプロダクトで複数業界を開拓していくという「マルチバーティカル戦略」を進めています。これは、「生産性を追求しスケールしていく活動(1→10)」と「次にスケールする業界を創りにいく活動(0→1)」の二兎を追っていく戦略なので、インサイドセールスにとっては複雑で難しい環境です。特にここ1年でフィールドとインサイド合わせてセールスチームが20名を越えたこともあり、さらにこの戦略を推進する難しさを感じるようになってきました。

そこで今回は、マルチバーティカル戦略の中で、インサイドセールスがどんな役割を担っていて、どんなことに苦戦しているのかをありのままに書いてみようと思います!

  • 事業のドライバーとしてインサイドセールスを管掌している方

  • 新規事業の立ち上げや事業開発に携わっている方

  • 営業のマネジメントの方

  • SaaSやデスクレス産業に興味のある方

このような方に読んでいただき、明日のエネルギーにしてもらえれば嬉しいです!


インサイドセールスの3つのミッション

インサイドセールスといっても会社や事業によって役割が異なるので、簡単にカミナシにおける役割を紹介します。

カミナシのインサイドセールスの役割
The Model の体制の中で、MRR創出をKGIとするフィールドセールスに商談を供給する役割を担う。マーケ経由のリードを商談化するSDRと、コールやレターで直接市場にアプローチするBDRの両方の手段を持っており、いずれもKPIは有効商談数に置いている。

役割自体は王道のインサイドセールスのイメージ通りだと思います。僕がカミナシのインサイドセールスの特徴だと思うのは「年成長率200%以上の勢いで事業を成長させるためのドライバー」としての存在意義です。フィールドセールスの生産性を高める補助的な組織であったり、営業マンの育成のための登竜門としての位置付けではなく、ガンガン上がっていく事業計画を実現するための最初の伸び代を作るチームです。具体的にミッションを分解すると以下の3つになります。

インサイドセールスの3つのミッション

ミッション1: うまくいっていることを再現し、安定した成果を守る

イメージでいうと前年対比100%を守るための活動です。営業において成果を安定させるための原資は商談。商談なくして受注が安定することはあり得ないので、フィールドセールスに商談を安定供給する。そのために、リスト管理や活動管理、コールオペレーションなど、基本的なオペレーションを整え、最適な活動量を担保し続ける。後述するミッション2-3を実行していると、この基礎的な部分が劣化しやすいので注意が必要です。個人的にはこの領域が強いインサイドセールス組織こそ強いチームだと思っています。

ミッション2: 勝てる市場にリソースを投下し、短期的な伸び代を作る

イメージでいうと、前年対比100-150%を牽引するための活動です。立ち上げ3年程度の事業でターゲットが固定化されたり、メッセージングがずっと同じことなどあり得ません。必ずもっと良いターゲティング戦略があり、もっと良いメッセージがあります。理想の状態を追い求め、日々PDCAを回し、1%でも受注率をあげ、1円でもARPAを引き上げるために、勝てる市場を見定めてリソースを集中させます。

カミナシはデスクレス産業という広大な市場に相対しているので、考えなしで営業活動を行うと、成果の変動幅が大きくなり予算の未達を繰り返すことになります。なので、どの市場の誰をターゲットにするのか、そしてそこにどのくらいリソースを投下するのかなどを細かく調整し続けることが重要です。

ミッション3: 新市場を開拓し、中長期の伸び代を作る

イメージでいうと、前年対比150%-200%を牽引するための活動です。ミッション2が「絞り込む」が目的だとしたら、こちらは「広げる」が目的になります。絞り込むことだけを実行していたら短期的には効率が良いかもしれませんが、長期的にはジリ貧です。カミナシのような複数の業界を対象にする事業においては、市場を広げることこそが長期の成果を安定させる生命線です。

この最初の仮説検証を担うのはインサイドセールスです。一定の量の商談がなければ検証も何もないからです。なので、不確実な段階で解像度をあげ、意思をもって商談の量を増やしにいくことが求められます。そして実行の中で得られた小さな成功の種を見逃さずに勝てる市場を探していく。場合によっては一生懸命作った100件の商談が水の泡になることもあります。そのくらい難しく粘り強い覚悟が必要になる活動です。

20人を超えてなお、難しさが増している

タイトルにした「事業開発の顔」としてのインサイドセールスはミッション2-3の領域を指します。事業の伸びしろを作るための0→1の領域であり、不確実な中で少ない事実から仮説を作り、実行して精度を高めていく活動。事業開発の要素を多く含んでいます。お客様と最も多く会話し市場の全体感を理解できる稀有なポジションなので、インサイドセールスがこの役目を果たさないと進みようがありません。

しかし、これが一筋縄ではいきません。特にインサイドとフィールド合わせてセールスチームが10人を超えるようになってから、徐々にその運営の難易度が増していき、20人を超えるようになった現在、明確に思います。「前と全然違うし、めっちゃムズイぞ」と。

では、なにが難しいのか。3つの観点から説明します。

ムズイ理由1: 情報が見えにくくなり、1次情報が分散される

すべての判断において重要なのはお客様から得た1次情報です。少人数で運営していた頃は、マネージャー自身がお客様と多く会話をしたり、メンバー1人ずつと会話する時間も多くありました。しかしながら、20人を超えるとどうしてもそれが分散するし、「1人に集約する」ということの難易度が飛躍的にあがります。そのため、役割を分けて、それぞれで意思決定をして進めることが重要になるのですが、これが難しい。

そこで重要になるのが情報をつなぐミドルマネジメントの存在です。現場の解像度をもちながら、全体の方針や意思決定に影響していく存在。そのためにカミナシでは、どの単位でチームを切ってミドルマネージャーを立てていくか、そして各チームにどのような目標を設定するかをQ単位でPDCAを回しています。複数業界 × 複数チャネル × 複数フィールドセールスチーム という複雑な変数の中、現状を理解して他部署や事業責任者と連動しなければならないので非常に高度な仕事です。

ムズイ理由2: 一人ひとりが「戦略の舵取り役」になる必要がある

カミナシは「マルチバーティカル戦略」を採用していることは冒頭でも紹介させていただきました。下の図はその複雑性をイメージしてもらうためのものです(あくまでイメージです)。厳密にはこれに加えて、各業界の中でさらに細かい切り口ごとに受注率が大きく異なっていたり、マーケティングチャネルによって生産性が異なったりしているので、さらに変数が増えます。

マルチバーティカル戦略の複雑性

上述した通り、誰かひとりがすべての業界で顧客解像度を持ち、細かく方針を立てていくことはもはや不可能なので、それぞれの担当者が相対している業界やセグメントに対し、チームを代表して解像度を引き上げにいき、方針に返していく必要があります。

つまり、一人ひとりが各業界の責任者であり、方針をきめていく「戦略の舵取り役」として機能しなければなりません。業界の舵をとるためには、知らないといけないことがたくさんあります。そもそも「勝てる市場」とはどこなのか?その市場のお客様の困りごとは何なのか?どのようなメッセージを伝えれば関心をもってくれるのか?その会社の中でデジタル化のプロジェクトを動かせるのはどの部署の誰なのか?・・・

もちろん、そういった経験やスキルを持ち合わせていないメンバーもいます。しかしながら、ここに向き合わなければ成果が伸びないので、一人ひとりがそうした難易度の高い挑戦をしていることの自覚を持ち、「実行するだけじゃなく、お客様や業界に深く興味を持ち、受注から逆算して自分自身の行動を決めることができる状態」を目指さないといけない。そのための文化づくりや、仕組みづくりを多数行っています。

オフサイトMTGのワークの1コマ

ムズイ理由3: 短期の成果と中長期の仕込みを限られたリソースの中で両立させなくてはならない

スタートアップで難しいのは無尽蔵に増員できるわけではなく「一人あたりの生産性が高い状態を維持しなければならない」という制約のもと、中長期の不確実な領域に対して、仕込み続けないといけないということ。これをやると短期の生産性は下がりますが、やらないと中長期の成果は上がらない。

絶対的な解はありませんが、間違いなく大事なのはフォーキャストの精度を高める努力をし続けることです。フォーキャストとは、3ヶ月先とか少し先の未来にこのままだとどのくらいの結果になるのか?という予測のこと。この予測の精度が高ければ高いほど、未来に対して適切な意思決定をすることができます。短期的に数字が厳しければミッション1-2にリソースを割り振り、逆に少し余白があればミッション3にリソースを割り振るといった感じです。

なので、インサイドセールスはフィールドセールスのフォーキャストを理解しておくことがマストになります。そこから逆算しないと自分たちの行動が正しいのか判断できないからです。

ここを更に円滑に進めるために、この10月からインサイドセールスのチームをフィールドセールスのチームの切り口に揃える体制変更を行いました。これまでのインサイドセールスの商談獲得チャネルという切り口をやめ、フィールドセールスが採用している顧客規模の切り口に体制を合わせ、一心同体で連動していくことが狙いになります。

インサイドセールスの体制変更イメージ

事業開発なインサイドセールスを事業の強みに

カミナシインサイドセールスの次の挑戦

ここまで、ムズイむずいとばかり言ってしまいましたが、この複雑さこそ事業を推進する醍醐味であり、最高に面白いと思います。事業を進めていて辛いと思った時に、「こんな自由で選択肢のある環境で挑戦できる機会はまず他にない」と思い返し復活することもしばしばで、心の拠り所になるくらい大好きな部分です。

そしてカミナシにはこれからもっと難しいことに挑戦する予定があります。先日のシリーズBの資金調達のタイミングで公表致しましたが、カミナシはこれからマルチプロダクト化を目指し、複数のプロダクトで新しい価値を届けていくフェーズに入ります。

まだ固まっていないことも多いですが、確実に言えるのはノンデスクワーカーに価値を提供するために、広大な市場を開拓していくということ。そうなると、多くの選択肢がある状況の中で、圧倒的な行動量を投下しながら検証を進めていくという事業開発としてのインサイドセールスの力がさらに必要になります。なので、インサイドセールスチームはもっともっと市場を開拓していくための力をつけ、事業の強みへと進化させたい。いつか、じゃなく、今、進化しなければなりません。

事業開発をしながら事業を伸ばしたい方へ

そのためには、まったく人が足りていません。やりたいことは壮大なんですが、マネージャー、インサイドセールス、それぞれが足りなくてできていないことがたくさんあります。

本記事でご紹介させていただいた通り、カミナシのインサイドセールスはターゲティング戦略の舵取り役であり、事業のドライバーです。とても難しいですが、とても面白いです。既存のインサイドセールスという枠組みにとらわれずに、むしろその概念をアップデートできる存在になれると信じています。

インサイドセールスに携われている方だけではなく、事業開発をされてきた方、営業組織のマネジメントをされてきた方、新規事業の立ち上げをしてきた方、こういった方の力を借りて、さらに飛躍したいと思っています。そう、まさにこの記事を最後まで読んでいただいたあなたです。ぜひ、このフェーズ、課題ばかりでやることしかない最高に面白いフェーズでご参画ください。ご連絡お待ちしております!

富澤の X(twitter)はこちら:https://twitter.com/tomizawa1988


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