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ロス・ロボス「Native Sons」

ロス・ロボスの新作『Native Sons』がカッコイイ!

今更、説明不要だろうが、ロス・ロボスは、ロサンゼルス出身のベテラン・バンド。
映画『ラ・バンバ』の同名主題歌がNo.1ヒットになり、その名を広く知られるようになった…というのが、日本での一般的なロス・ロボスに対する認知だろう。

その「ラ・バンバ」もリッチー・ヴァレンスのカバーで、チカーノとしての自らの血筋というルーツを確認する大きな意味合いを持っていたはずだ。

そして、2021年の新作『Native Sons』もアルバム・タイトル曲の1曲を除き、他は全てカバー曲となっている。

カバーのセレクトもビーチ・ボーイズ、ジャクソン・ブラウン、バッファロー・スプリングフィールド、リトル・フィート、ウォーなど全てロサンゼルス出身のアーティストたちだ。

そして、『Native Sons(その土地で生まれた子)』題されたタイトルからも分かるとおり、ロサンゼルス生まれのメキシコ移民2世という自らの生まれ故郷に対するルーツ探訪を色濃く表したものになっている。

60代を迎えて“回想モード”突入
しかし、その姿勢はアグレッシブ!

ロス・ロボスのメンバーも60代半ば過ぎということもあり、自らのルーツを振り返る“回想モード”に突入しているのかもしれない。

しかし、この回想モードがノスタルジックな昔は良かった的な切ないだけのものにならず、演奏に向かう姿勢も若返りを伴っており、力強いナンバーも数多く含まれているのだ。

現在、アメリカン・ルーツ・ロックをやらせたら世界一上手いバンドが得意の渋いルーツロックと若返りモードの力漲る演奏の両方をバランス良く聴かせてくれる作品であり、控えめに言っても、これがカッコ悪いわけがないのだ。

また、カバーの選曲も渋すぎず、ミーハーすぎず絶妙のセレクトになっており、原曲のイメージに引っ張られすぎることもなく、ロス・ロボスの新作としても純粋に楽しめるようになっている。

これだけ充実した作品をリリースしてくれると、来日公演を期待したいところだが、2021年のご時世を考えると、叶わぬ夢と言わざるを得ないだろう。

そんなコロナ禍において、ツアーがなかなかできないロック・ミュージシャンは、趣向を凝らしたカバー・アルバムを数多くリリースしている。

個人的にもカバー・アルバムは大好きで、そのアーティストが受けてきた影響を垣間見ることができ、とても興味深い。
また、単純にその人のレコードラックを覗き見してるようなワクワク感も何とも言えないものだ。

最近のカバー・アルバムの中でも本作はピカイチのクオリティーと楽しさ満載の傑作と断言させて頂こう!

〈追伸〉
もう1枚、昨年リリースされたオススメのカバー・アルバム=ビリー・ジョー・アームストロング『No Fun Mondays』をコラムサイト「Re:minder」で紹介させて頂いたので、併せてこちらもチェックしてみて下さいませ。

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