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シティロック名盤「Char」

シティポップがあるのにシティロックがないのはなんでだろう?

昨今、大人気のシティポップ!
狙っているところはよく分かるし、コレクター心をくすぐる感じも決して嫌いじゃない。
でも、なんだろ?
何か足りないんだよな…

そう、ロックが足りないんだよ!

シティポップがあるのにシティロックはないのって不思議だと思いませんか?

そんなわけで、シティロックの名盤って何だろうと考えてみた。
そして、出た私的結論がこちら。

1976年にリリースされたCharのファースト・アルバム『Char』。

勝手にシテイロックと呼ばせてもらいたい本作

本作もシティポップ名盤セレクト的な特集には度々取り上げられているようですが、ポップというよりは断然ロックを感じます。

当時のクロスオーバーな空気を目一杯吸い込んで、ファンキーでヌケの良い演奏を思いっ切り聴かせてくれるのと同時に時折、ニューミュージック的な曲が挟み込まれています。

やっぱり1976年ですからね。そのへんの売れ線への配慮は仕方ないのかもしれない…
今よりロックは日本の音楽シーンには根付いてないですからね。

そうした時代的要請からのニューミュージック臭が気になるとはいえ、本作収録の名曲「Shinn’ You Shinin’ Day」や「Smoky」は圧巻。

全く古さを感じないし、今時の価値観で巷で話題のシティポップの人気作たちと聴き比べてみても、圧倒的なクオリティーの高さとカッコ良さに溢れている。
特に「Smoky」はこれ以降もチャーの代名詞となる曲だ。

ギターのカッコ良さは言うに及ばず、チャーのボーカルも“ヤサ男感”がいい味出している。

都会的でオシャレなジャパニーズ・ポップミュージックという視点から聴くと、本作こそ正にシティポップと思われるのだが、山下達郎やはっぴいえんど界隈の作品がシティポップの代名詞として取り上げられることが圧倒的に多い。

それは本作が熱いロックスピリットを持っていて、“ポップ”というよりは遥かに“ロック”だからではないだろうか?

ポップだから…ロックだから…なんて聴き方は令和の現在、ナンセンスだと思うのだけど、巷で言われるシティポップよりは、チャーの演奏は洋楽ロックとの相性の方が遥かに良いと思う。

今日のシティポップもある種のDJ的な価値観や編集感覚で総括されているムーブメントだと思われる。そう考えると他のシティポップ作品との相性や親和性というのが大きなポイントになってくるのだろう。

そうしたポイントを押さえて聴いてみると、本作はシティポップ文脈でとらえるより、70年代後半の洋楽や今日のジョン・メイヤーのようなアーティストとの関連性や相性で聴いたほうが断然魅力的に聴こえるのだ。

アーバン、都会的、洋楽テイストといったシティポップを語る際に重要視される要素にピタリと符合する本作だけに若い音楽ファンにも是非、聴いてもらいたい名盤なのだ!

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