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グラフィックレコーディングに携わる人たちの凄さ 〜比喩・イメージ・言葉〜

グラフィッカー4人の舞台裏を大公開!|『描いて場をつくるグラフィック・レコーディング』刊行記念連続トーク vol.4
というオンラインイベントに参加しました。

今回は、グラフィックレコーディングに携わる登壇者の方から感じた凄みを中心に書いてみます。


グラフィックレコーディングに現れる感性

グラフィックレコーディング
ファシリテーション文具案内HPより https://onyourmarkers.com/grws_uemachiza/

グラフィックレコーディングとは、『絵や文字を用いて、会議やワークショップなどの話し合いを可視化し、記録する手法。』

オンラインイベントの流れ
・各登壇者の方が、自己紹介・実例を発表
・他の登壇者からのコメント 
・随時質問

①「感想」ではなく「ハーベストバック」

グラフィックレコーディングに携わる方の「感性の凄さ」があらわれているなと思ったのが、言葉選びです。
登壇者さんが発表した後に、
「感想を言ってください」と話をふるのではなく、
『「ハーベストバック」をお願いします。』
とおっしゃっていました。一瞬、ハーベスト?となりましたが、

ハーベスト【harvest】
収穫。農作物の刈り入れ。また、収穫物。農作物。

weblio辞書

収穫というニュアンスを使われているんです。
ハーベストバック。
「感想」という言葉も、自分が考えたことという意味で、
収穫的なニュアンスも含んでいるとは思いますが、
ハーベスト(収穫)バックという言葉からは
『「発表」×「自分」で産まれたもの』を返す
という積極的なニュアンスが出ますよね。

ハーベストバックという言葉をチョイスするところから、
言葉がもつ力への鋭敏なまなざしを感じます。

ちなみに、グラフィックレコーディングは、
グラフィックハーベストといわれたりもしています。
何かが生まれる結実する感じがしますね。

英語では、「Graphic Harvesting」と呼ばれたりもしているみたいです。

②そぎ落とし切らずに、複雑なものを複雑なままわかりやすく。ちょうどいい塩梅で。

この言葉は、登壇者の方が「ハーベストバック」でおっしゃっていたもの。ニュアンスはなんとなくわかりますが、体験してきたからこその言葉だなと思いました。

今回を含めグラフィックレコーディングのオンラインイベントに2回参加してみて、
登壇者の皆さんが共通して大事にしていることがありました。

「自分の言っていることが認められた」
と参加者が思えること

です。
登壇者の方の話の中に、

みんなで集まって何かをしようという会合のはずが、それぞれが自分のフィールドに持っていこうという空気感。みんなで一緒に何かしようって雰囲気ではない時に、ふと、それぞれの話の内容をかき始めるとみんな落ち着き始めた。「自分の言っていることが認められてる。」となって、雰囲気が一変してきたそうです。こんなに面白い人集まって企画できそうですよねってなった。「私」、「私」ではなくて、「私たち」ってなった。

と、ありました。

場に「認められた」と思えることで、「私」が「私たち」になってくる。
場の雰囲気の変化って本当にすごいですよね。

「そぎ落とし切らずに、複雑なものを複雑なままわかりやすく。ちょうどいい塩梅で。」という言葉は、
発言に対して

そぎ落としすぎると、発言者の心をすくいきれない、
複雑すぎると周りに伝わらない、

ことを体感してきたからこその言葉だと思いました。
この塩梅は、めちゃくちゃ難しいのでしょうね!

③比喩グラフィック

話し合いの中で、
今、何を、何のために話しているのか、
という確認が必要な場面が出てきます。

登壇者の方の話の中で、

「畑で例えると今ここだよね」という比喩とグラフィックを使っ用いて、話し合いを俯瞰して、イメージする場面を持った。

というものがありました。
このイメージを用いる感性が本当にすごいなと思うんです。
数多くの場を経験されることで研ぎ澄まされてきた言葉なのかもしれません。

畑の比喩は、「時間・工程」がイメージされます。

畑を耕す、種をまく、肥料をやる、収穫

畑という比喩によって、
今は、畑を耕す(準備の段階)ところだな。
と現在地と道筋が共有されるのだと思います。

この「比喩」については
以前、オンラインイベントに参加した後に書いた記事でもピックアップしています。前回はメタファーを用いてアイデアを拡張させることに注目しました。例:港(メタファー)→出航、集まる、ハブ的な要素。

比喩を持ったグラフィックが話し合いの場に登場することで、
発想を拡げたり、時間・工程を想起
させたりと
おもしろいアイテムになりますね。

④グラレコトレーニング法

ある登壇者の方は、描く練習として、

・聴いた言葉をすぐに描く特訓をされていた時期があるそうで。
 -具体物をアイコンでかく
 ー概念をアイコンでかく

概念をアイコンで描く。。。
嬉しい:顔で表現かな。
一緒 :何人かが隣同士にいる
未来 :。。ななめを見ている人たち。。。。
希望 :。。上を向ている人たち。。。。

みんなのイメージを形にしていくというグラレコにおいて、可視化のトレーニングも必要なのだと思います。そんなトレーニングや、場の経験の積み重ねがやはり大事。

⑤社会には、名付けられない課題や領域がある。

以前、グラレコのイベントに登壇されていた方が、
今回のイベントのチャット欄でコメントされていました。

社会には、名付けられない課題や領域がある。
そこにこそ、本当のニーズや見つけられたい願いや痛みがある

すごいまなざしですよね。

社会という大きな視点に加えて、
「場に参加している人」や、「場に参加しているみんな」という事も含めての言葉のようにも感じました。

現れていないものを感じ、みつかるようにする。
現れていないものを感じ、それが表に出てくるように促す。

社会にも、話し合いの場に対してもそのような姿勢を持つ。
そんなことをメッセージとして受け取りました。

今回、オンラインイベントに参加して、
登壇者の方々から感じるのは、
特別な次元の視点を持ってらっしゃるということです。

社会学者が、社会学の視点でセカイをみるように。
お笑い芸人が、お笑いの感性でセカイをみるように、
アーティストが、アーティスティックな感性でセカイをみるように、

そんなプロフェッショナルがもつ「視点」、「世界観」のようなもの。

グラフィックレコーディンに携わる方からは、
アート・言語化・可視化といった領域を往来し、
融合している異世界の神秘性のようなものを感じました。
とってもアーティスティックだと思いました!

ということで、テンションがあがり、覚え書きをしてみました。
ありがとうございました。
以下、登壇者のみなさまです。

登壇者の方々

中尾有里(なかおゆり)さん/ピースワーカー・ファシリテーター

山本彩代さん

沼野友紀さん

有廣悠乃さん| Visual Practitioner



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