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課題解決コンテストで三原ファンをGET(三原市)【スタートアップ共同調達事業】
The Meetは地域の課題をスタートアップと組んで解決する試みだが、この企画にどこよりも前のめりな姿勢で臨んでいるのが三原市だ。本気でDXを行い、業務を改善してこうとする熱意が感じられるこのまちは、The Meetのみならず独自の課題解決の場を立ち上げようとしている。
The Meetでの採択は4件
課題解決に本気の三原市
今回三原市がThe Meetで採択したのは全4件。それは安芸高田市と並んで自治体最多となっている。
その事実からもわかるように、三原市のThe Meetに懸ける想いは強い。募集サイトに書かれた文章も「スタートアップの皆さまとともに課題解決に挑戦したい職員がたくさんいます。このページに書ききれない思い・問題意識があります」と静かに熱い。言葉がおざなりではなく、本気で課題に向き合っていこうとする気概がひしひしと伝わってくるのだ。
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そんな三原市が採択した案のひとつが「集合知を活用して課題解決するオンラインコンテストプラットフォーム『SPARKN』による地域課題解決のアイデア、プレイヤー、ファンの獲得」。地域課題を解決するためのThe Meetで、地域課題を解決するためのプラットフォームを採用する。これも三原市が課題解決に本気であることの証に他ならない。
プロジェクトの中身に関して、市の広報戦略課から今川 潤(いまがわ・じゅん)課長、松井和香子(まつい・わかこ)主任、デジタル化戦略課から中村公彦(なかむら・きみひこ)課長、池本啓介(いけもと・けいすけ)係長が答えてくれた。
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現在三原市は人口減少が続き、自治体間の競争も厳しくなる中、市の職員だけで課題解決を進めるのは難しい状況になってます。これを解消するには市内の人間だけでなく市外の人の力も借りて、アイデアを募っていく必要があります
ただ現状、市は外部の人とつながれる手段を持っていません。また三原市単独で専用サイトを立ち上げて「三原市の課題解決のためにアイデアをください!」と呼び掛けても、さほど多くの人が集まってくれるわけではありません
三原市が求めているのは、市内外問わずさまざまなアイデアや意見を交換できる「オープンな場」だ。
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理想としては三原市が「〇〇の課題解決のためにアイデアや力を貸してください!」と呼びかけた時、それに応えてくれる人がたくさんいる状態を作りたいんです。市内外の多くの人が三原市のことを知り、ゆるやかにつながった状態にある――それを三原市の力に変えていきたいと思ってます
そのために選ばれたのが今回の「SPARKN(スパークン)」だった。
課題解決の案もほしいし
三原の存在もPRしたい
SPARKNは2022年創業の「株式会社CodeFox」が運営する次世代プラットフォーム。オンライン上でデジタル通貨の賞金付き課題解決コンテストを開くことができ、参加者は各自のアイデアを自由に投稿、結果的に集合知によって最適な解決策が見出せるというシステムだ。
今回オンライン上で意見交換するという案はいくつかいただいたんですが、SPARKNがよかったのはデジタル通貨という商品付きで行われるところ。主催者が手軽にコンテストを開催できるハードルの低さにも魅力を感じました
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課題解決のアイデアを募るための場としてコンテストを活用する。それは確かに有効な手段になるだろうが、ここで注目してほしいのは今回その案件を「広報戦略課」が担当するという点だ。
広報戦略課はシティプロモーションやふるさと納税の担当をしてまして、今回はデジタル化戦略課からSPARKNの活用を提案されたんです
その目的は2つあって、1つはふるさと納税を増やすための魅力的な返礼品のアイデアを募りたいということ。もう1つはこの取り組みを通して三原市を多くの人に知ってもらいたい、三原市の認知を上げて、ファンを増やして、関係人口を増加させていきたいと思っています
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つまりオープンイノベーションの場を創ることで、課題解決のための知恵ももらいたいし、三原市の存在もプロモーションしたい――そんな欲張りなシティスタイルを実現するため実証実験がスタートした。
ネット民に刺さるお題は?
ふるさと納税の良案募集!
実は三原市はThe Meet以前にすでにSPARKNでコンテストを開催している。2023年10月「移住促進のアイデア求む!」で案を募ったのだ。
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その時、かなり多くのアイデアをいただいたんです。アクセス1位を記録して、応募も68件。そこで多くの反響があったので、今回続けてやることでさらにファンが増やせるんじゃないかという想いもあります
ただ、その一方で移住の促進というのは現在の施策や現場の実情を知らないと投稿するのは難しいテーマで、実際に活用できそうなアイデアも少なかったんです。なので次回はSPARKNを利用している方に合ったテーマを設定することが必要だと感じました
一度トライして手応えは得たものの、テーマが専門的すぎて求める答えは引き出せなかった。それを踏まえて今回はお題の出し方を変えてみるという。
そういう意味で今回はまず「ふるさと納税の返礼品」というテーマでやってみようと思います。ふるさと納税だと参加者の方もいろんな経験をお持ちだし、「こういう自治体でこういう取り組みをやってるよ」という私たちが知らない情報も教えてもらえる。身近なテーマなのでアイデアが出しやすいと思うんです
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コンテストはすでにスタートしており、今後は2ヶ月に一度のペースで12月まで継続的に行う予定。「常に三原市は何かやっている」という状態を作ることで「チャレンジしているまち・三原」をアピールし、三原市のイメージアップが果たせればと考えている。また、SPARKNを通じて多くの人と関わることで、市の関係人口が増えていくことも期待している。
面白そうで自分でも
投稿したいと思った
今回の取り組みに関して、広報戦略課としての感想を訊いてみた。
やはり市が知っているのは非常に狭い領域なので、こうして市では思いつかない外部のアイデアをいただける機会はとてもありがたいです。広報戦略課としても今回のSPARKNは新しい発信のツールになると考えてます
実はSPARKNは、移住促進のアイデアコンテストをやってる時から知ってたんです。その時に「面白そうだな。賞金も出るんだ」と自分でも投稿してみたいと思ったんですけど(笑)、いかんせん移住についての知識がなくてできなかったんです
でもそれを私のいる課で運営することになって、さらに担当しているふるさと納税についてのアイデアも募ることができる。同時にまちのPRにもなる。おまけにアイデアを出すために「いま三原市にはどんな返礼品があるんだろう?」とチェックしてもらえる……いろんな効果が狙えるとてもいいツールだと思いました
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職員が個人レベルでやってみたいと思っていたということは、SPARKNにリアルな魅力があるということだ。それが賞金目当てであれ、からかい半分であれ、郷土愛の発露であれ、オープンなコンテストを開催することで人もアイデアも集まってくる。
三原市にとってSPARKNは、外部と直にコミュニケーションできる「社会の窓」になりそうだ。
●EDITOR’S VOICE 取材を終えて
今回取材をしている中で、SPARKNのユーザー=先進的なネット住民の方に適したテーマの出し方として「大喜利みたいな形はどうか?」という話になりました。確かにネタがネタを呼び、ネタにネタをかぶせていく大喜利はファンも多いし、ネットでやると盛り上がりそう。
もちろん最終的には「市にとって役に立つアイデア」というくくりは外せませんが、それを導き出すためにも自治体が主催するオープン大喜利コンテストって画期的だし、のぞいてみたいと感じてしまいます。「タコと大喜利のまち・三原」ってどうでしょう?(文・清水浩司)
・共同事業者:株式会社CodeFox
・活用ソリューション:集合知を活用して課題解決を図るオンラインコンテストプラットフォーム「SPARKN」
・概要:課題解決コンテストを主催することで地域課題解決のアイデアとファンの獲得を目指す
・必要経費:100万円(※コンテスト賞金費用など)
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