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熱狂を呼ぶ男 season2「獲得言語アプリ編」開幕【RING HIROSHIMA】

キミはその男を知ってるか?

第1回目のRING HIROSHIMAに参戦するやいなや、そのギャラクシー規模の妄想力とジョン・レノンばりの人類愛、エムバペも真っ青の突破力とジミヘン似のワイルドな風貌で、一気にトップファイターの座に駆け上がった超個性派アントレプレナー。

彼の提案した「笑顔寄付システム」はあまりにHOTなタッグの熱狂ぶりに「ザ・グッドパートナー賞」を受賞。「エイドリア~ン!」とおらび倒すロッキーに勝るとも劣らぬ感動のフィナーレを迎えたはずだった。

第1回「RING HIROSHIMA」にて「ザ・グッドパートナー賞」を受賞


だが……男は再びRINGに帰って来た。新たなプロジェクトと新たなパートナーを携えて――。

嵐を呼ぶミスターRING HIROSHIMAの第2ラウンド、カオス度マシマシの「獲得言語アプリ編」、またもやゴングが鳴っちゃった!

 

CHALLENGER「一般社団法人 One Smile Foundation」辻 早紀さん

ということでRINGファンにはおなじみ「一般社団法人One Smile Foundation」の辻 早紀(つじ・はやき)さん。彼のカリスマ的ファイティングスタイルは前回のレポートに詳しい。

 歩く台風の目、自動熱狂生成マシーンの異名を持つ辻さんに、まずは前回の「笑顔寄付システム」のその後について聞いてみた。

笑顔寄付のプロジェクトに関しては、まだRINGが終わってないというか(笑)。いつ試合終了のゴングが鳴るのか、という感じで今もずっと続いてます。今は広島県の実装支援事業に採択されて、保育所を中心に事業モデルの実装化を進めてる一方、浜松市などいろんな自治体から引き合いもあって、おまけに海外での活動も見えてきて……もうRINGが拡がり続けてて、どこで戦ってるのかわからない状態ですよ(笑)

(一社)One Smile Foundation 辻さん

ネバーエンディング辻早紀劇場! 実装段階に突入した現在のプロジェクトの様子は以下のレポートで確認できる。

そんなOne Smile株が爆騰中のさなか、辻さんは新案件で再度RINGにチャレンジするという。一体何があったのだろう?

実はうちの子供が自閉症スペクトラムという診断を受けて。6歳の息子は言語の習得に遅れがあり、いま週1で医療機関に通って言語訓練を受けてるんです。だけどそこで医療機関と保育園の連携がまったくとれてないという現実に直面して……。言語の習得には復習を繰り返すことが大事なのに、医療機関でやってる言語訓練が保育園でまったく活かされてないんです。言語聴覚士も足りてないし、言語訓練を受けたい子供も待機してる状態。こうした状況をなんとか改善できないか考えるようになったんです

(一社)One Smile Foundation 辻さん

困った人を見るとほっておけないのがラブ&ピース男の真骨頂。得意のデジタル機器を武器に改革案を模索するが、その中で閃いたのが子供たちの持つ語彙を可視化させるというアイデアだった。

お医者さんも保育士さんも忙しいから、仕事量を増やすやり方を提案しても絶対定着しないと思ったんです。ならば勝手にデジタルで連携がとれないか? 子供が話した単語が音声として集積され、データベースとして可視化できると、どの分野の言語習得が遅れていて、どれくいのペースで言語獲得が進んでるか共有できると思ったんです。獲得語彙のカルテを作ることで、支援もしやすくなるだろうし

(一社)One Smile Foundation 辻さん

第2戦の相手は「言語」――新たな強敵を前に燃え上がる辻さんがいたのは言うまでもない。

SECOND「特定非営利活動法人ソーシャル・バリュー・ジャパン」竹之下倫志さん

今回RINGの虎・辻さんのセコンドに付いたのは「特定非営利活動法人ソーシャル・バリュー・ジャパン」の竹之下倫志(たけのした・さとし)さん。スタートアップ・アドバイザーとして非営利領域の資金調達や起業メンタリングを行うなど、まさにプロ中のプロである。さらに教育問題に関心を持ち、自ら「一般社団法人いじめ構造変革プラットフォーム」を設立、代表理事を務めるなどソーシャルビジネスにも造詣が深い。

いじめ問題の解決のため、数々の提言を行う

これは前回に続いて盛り上がりそうな組み合わせである!

辻さんとお会いして、基本的に同じ方向を向いてると思いました。今回のアイデアも発想はすごくいいけど、難しいのはビジネス的な部分をどうするか。僕の仕事は事業の解像度を上げるため、サービスのターゲットや領域を絞っていくことだと感じました

(特非)ソーシャル・バリュー・ジャパン 竹之下さん

数々の起業家と並走してきた竹之下さんに、辻さんというキャラクターはどう映ったのだろう?

ものすごくパワフルで、考え方がビジョナリーで、それを実現する行動力を持っている。この要素を2つ持ってる人は多いけど、3つはいないです。あと「こういう社会を作りたい」と思っても、普通はそれを現実的なサービスに落とし込んでいくのに、辻さんは落とし込むどころか拡げていく(笑)。本当の意味でザ・起業家であり、この稀有な存在をどう邪魔しないかだけ考えました

(特非)ソーシャル・バリュー・ジャパン 竹之下さん

ちなみに竹之下さんにはセコンドのプロという以外に、ビックリするような過去があった。まさにRINGに選ばれし男!

竹之下さんって昔プロレスラーを目指していて、本物のRINGに上がってた人なんです(笑)。大学時代にプロレスラーを目指して、団体に弟子入りされたらしく。僕は仮想のRINGですけど、竹之下さんはホンモノのRING。だからいつドロップキックを浴びせられるか戦々恐々としてますよ!

(一社)One Smile Foundation 辻さん

元ガチレスラーで現スタートアップ・アドバイザーって、こんな人、世の中にいる!? さらにそんな竹之下さんが組むのも、現ミュージシャンで現カリスマ起業家って、もはや眩暈がしそうなほどの肩書の大渋滞。

いじめ問題についても提言を行うセコンド・竹之下さん
プロレスのRINGからビジネスのRINGへ。こんな人いないよ!
ちなみに辻さんはミュージシャンとしても活動。これは2017年発売のCD

なにはともあれ、足してほとんど2000万パワーズな2人の戦いの火ぶたは切って落とされた。

笑顔寄付と言語獲得が合体
辻さん総合格闘家説!?

最初2人は毎週土曜朝の定例会でアイデアを出し合った。アプリは獲得語彙を品詞別に分類することで未学習領域を明確化したり、成長率が確認できる仕様にした。さらにこのプロジェクトは言語障害の子供のフォローだけでなく、発語の抑揚をチェックすることでメンタルの状態を計ったり、認知症の検知にも応用できる可能性が出てきた。

アプリのプロトタイプ画面。品詞ごとに獲得言語が列挙される
さらに獲得した言語の内訳を見える化

インターフェイスにはメドがついて、今からは仮説の検証に入ります。いかにデータを溜めていくか。ビジネス構造の持続可能性については最後の最後に考える予定です

(特非)ソーシャル・バリュー・ジャパン 竹之下さん

3ヶ月近くのブレスト期間を終え、秋以降、三原の発達障害支援組織を軸に実証実験に入る。その実戦において追い風となるのが前回のRINGの経験だ。

「笑顔寄付システム」が評価されてるぶん、すごく動きがスピーディなんです。笑顔寄付の話をしてたのに、横道にそれて言語獲得アプリの話をしたら盛り上がって一気に決まったり。両方ソーシャルな領域だから相性がいいんですよ。おかげで博報堂が開発したウェアラブルデバイス「ELI」(エリ)とも一緒に実験できることになって。笑顔寄付がなくてゼロベースからのスタートだったら、もっと時間がかかってたでしょうね

(一社)One Smile Foundation 辻さん
洋服の襟に付ける小型マイクデバイス「ELI」が自動で発語を収集する

気が付けば「笑顔寄付システム」と「言語獲得アプリ」のダブルRING状態!? いや、ダブルところではない。現実はもっとトンデモナイコトになっている。

そもそも笑顔寄付と言語獲得の活動に線を引いてないんです。両方重なることで起こるシナジーも大きいし。笑顔寄付がボクシングだとしたら、言語獲得はレスリング。辻さんがやってるのは総合格闘技みたいな世界ですから!(笑)

(特非)ソーシャル・バリュー・ジャパン 竹之下さん

この8月に笑顔寄付の実現のためのシステム開発会社「株式会社ワンスマイルテック」を設立したんですけど、その取締役には前回セコンドの樗木勇人(ちしゃき・はやと)が就任。RINGはどんどん強化されてるんです! 竹之下さんもいつ正式にわれわれのRINGに上がってきてくれるのか?(笑)――いま初めて言いましたけど、席はいつでも空いてますよ!

(一社)One Smile Foundation 辻さん
こちら樗木さん。RING狭しとあちこちのプロジェクトに関わっている

チャレンジャーもセコンドも関係ない。いつのまにか関係者誰もがRINGに上がって「ウィ~!」みたいな。この巻き込み力、この混ぜこぜ力、この場外乱闘上等のバーリトゥード・スタイルに観客のボルテージも上がりっぱなしである。ウィ~~~~~~!

もうブレーキなんて取っちゃえ!
アクセルのみでさらなる爆走へ

ということで、やっぱり今回も熱狂の坩堝と化している辻さんのプロジェクト。むしろRINGを通して、ますます辻さん強大化してません?

2年連続で採択してもらったことで、ものすごく自信が付いたんです。去年は初めてだったのでどこまでアクセルを踏んでいいか探りながら進めてたけど、それを前回セコンドの樗木さんに「もう振り切っていい」って言ってもらって。で、今回竹之下さんと会って「もうブレーキなんて取っちゃえ」と(笑)。今後はアクセルしかない状態で爆走していければと思いますね!

(一社)One Smile Foundation 辻さん

伴走支援者の重要な役割って本来は必要に応じて筋が悪い部分は「違う!」と気づきを促してブレーキを踏むことなんですけど、辻さんにそれをやるのは違うなと思って。辻さんが走れるなら思う存分走ってもらいたい。僕は辻さんが走るのに必要な燃料をバンバン渡す役割なんです。やっぱり辻さんはセコンドとしてやりがいがありますよ。リソースを渡しても走れない人が多いのに、どこまでも走ってくれますから(笑)。だから出会えたのが嬉しいです! ただ、事故りそうになったら止めますよ

(特非)ソーシャル・バリュー・ジャパン 竹之下さん
辻 早紀さん(左)、竹之下倫志さん(右)

もはやRING上は辻さんを中心に「ワンスマイル・ユニバース」とでも呼ぶべき猛者どもの饗宴と化している。人と人は重なり合い、事業と事業は混ざり合う。一体何なんだ、このカオス! RING HIROSHIMAの枠組みの中であまりに異色すぎるじゃないか!

 辻    「こうなったら新日みたいに独立しようかな(笑)」
竹之下「新日はいろんな人が独立して出ちゃうんで危ないな……」

 やっぱり辻早紀にハズレなし。今日も広島は熱狂日和ダーッ!


●EDITOR'S VOICE 取材を終えて

個人的に辻さんとトークするのは3回目だが、気心が知れてきたからか、こちらも辻ムーブメントに巻き込まれてしまったからか、こんな原稿になっちゃいました。熱狂には熱狂を。狂騒には狂騒を。これってRING脇で観戦記を書いてた記者まで興奮してRINGに上がっちゃった感じ? ウィ~~~!

でも辻さんはこの原稿を気に入ってくれるハズ。だってプロフィールに書いてあった今回への意気込み、コレですからね。

 今年も熱狂しますよ! うっきょー!

(一社)One Smile Foundation 辻さん

 さあ、みんなも一緒に、「ねっきょー、うっきょー!」

 (Text by 清水浩司)


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