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熱狂の「笑顔が寄付に変わるウェルビーイングシステム」【RING HIROSHIMA】

夢のビジョンを持ったチャレンジャーを人生経験豊富なセコンドがサポートする――それがRING HIROSHIMAの基本構造だが、その組み合わせが予想外のケミストリーを引き起こしているプロジェクトがある。

「僕はボクシングのセコンドというより、プロレスのセコンドです。もうリングの中に入っちゃえ!って」。気が付けば気分はタッグマッチ、怒涛のツープラトン・イノベーションアタック!

「笑顔が寄付に変わるウェルビーイングシステム」というポテンシャルが生み出した熱狂の渦。あーっと、HIROSHIMAのRINGが燃えていますッ!

CHALLENGER「一般社団法人One Smile Foundation」辻 早紀さん

「1笑顔=1円」で富を再配分
笑顔の循環を世の中に広げる

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私たちが推進しているのは笑顔が寄付に変わるプロジェクト。私たちが開発した「1 Smile」アプリを使用すると、カメラが画像認識によって笑顔の発生状況を計測して、「1笑顔=1円」でお金を配分する仕組みになってるんです。

これは単なる寄付というより、社会保障や富の再配分まで視野に入れたもの。このシステムによって地域の幸福度やお金の流れが可視化され、笑顔の循環が世の中に広がると考えてます

一般社団法人One Smile Foundationの代表・辻 早紀(つじ・はやき)さんは音楽家として活動していることもあって、発想が芸術家肌で理想家的だ。彼が思い描いたのが「人々が楽しく暮らすほど、どんどん良くなっていく世の中にならないか?」というもの。

それはほとんどジョン・レノン「イマジン」のような夢想的なアイデアに思えたが、辻さんはそれを現実的システムにまで昇華させた。笑顔が感知できるアプリを開発して、笑顔の数をカウント。その数量に応じて賛同者や協賛企業から集めた寄付金を配分する――

つまりこのシステムによって人々は自分の笑顔が誰かの役に立つことを知り、さらに幸福を追求するようになる。お金がない人でも社会貢献ができることで、共助の意識が増す。お金の流れが見えるので寄付の満足度が上がる……あちこちでポジティブな連鎖が起こるというわけだ。

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これまでの寄付は片方が片方に一方的に渡してるだけだったけど、その間に“社会の笑顔”を挟み込むことで積極的笑顔がもっと広がると思うんです。

いま考えているのは、このシステムを病院や介護施設に導入すること。こうした社会的弱者の方は自分に対する自信を失いがちですが、前向きに生きてるだけで社会の役に立つと思えば自尊心も増すと思うんです

笑顔の力で世界の貧困や経済格差を是正する――この壮大な構想は注目を集め、辻さんはこれまで国連や国際学会で発表してきた。そんなドリーマーに「ぜひ一緒にやりたい!」と声を上げたのが、もうひとりの強烈なドリーマーである。

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SECOND樗木勇人さん

私はとにかくイノベーション
ってものを信じてるんです

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樗木勇人(ちしゃき・はやと)さんの経歴は非常にユニークだ。現在は日本電気(つまりNEC)で新規開発事業に従事。

そのかたわら社外活動も盛んで、「誰もが創造的価値にアクセスできる社会を創る」ことを目的に「日本フリーイノベーション協会」を立ち上げ初代会長に就任――

さらにその流れで広島の人たちと縁ができて「株式会社シーテックヒロシマ」の設立に参加し(現在は共同代表とCOOを兼務)、フジツボの除去に邁進――

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おまけに「一般社団法人 日本バレーボール指導者協会」でも精力的に活動中――

ものすごくアクティブでバラバラ。正直意味わかんないし……(汗)。

私はとにかくイノベーションってものを信じてるんです。手を替え品を替えあちこちで「イノベーションって本当に起こるのか?」と実証実験をしてる感じで。そんな中で辻さんの話を聞いて「これはポテンシャルがある!」と感動したんです

樗木さん曰く、いま“エシカル”という概念が注目されていて、エシカルな食品や衣料は存在している。ただ、“エシカルなITサービス”は世界でもまだ少ない。One Smile Foundationの活動はそういう意味でグローバルに通用する可能性がある、とビジネスマンとしての嗅覚が疼いたのだ。

ただ、辻さんはビジョンはあるけどHOWがなくて。おまけに人としてスキだらけ(笑)。「これはイカン! これは絶対手伝いたい」って。自分がこのプロジェクトに入ることでできることのイメージがすぐに湧いたんです

そして冒頭の「もうリングの中に入っちゃえ!」発言に結びつく。

ではWドリーマーのタッグマッチと化したプロジェクトは、どのように進んでいったのだろう?

保育所やコミュニティ施設で
幸福度を計る実証実験を行う

2021.11~12 START! サンフレッチェ広島との実証実験を計画するがコロナで中止に
2022.1 新たな協力施設を模索、端末貸出の依頼 ←NOW
2022.2 実証実験

辻さんと樗木さんは二人三脚で広島や京都を行脚、互いの知り合いを紹介しながらプロジェクトの具現化に奔走した。

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今は以前とスピード感がまったく違います。樗木さんだけじゃなくRINGに関わってる人は即断即決力がすごくて。僕の企画は前例がないのに、すぐ内容を察して行動してくれるんです。だから僕も自信が付いて、アクセル全開で進めるようになりました (辻)

プロジェクトはすごいスピードで成長してます。いま一番足りないのは人材。僕もブースターとして機能してる気がします (樗木)

現在は2月に行われる実証実験の準備中。これは保育所やコミュニ
ティ施設にスマホやタブレットを設置して、幸福度の推移を調査す
るというもの。端末に関してはソフトバンクとKDDIが無償で提供
してくれることになった。これと同様の実証実験は浜松市でも行わ
れており、その広島版になる。

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(浜松市での実証実験の様子)

ちなみに広島の実証実験での寄付は、県内の職業訓練校受講生に送られる。それも「貧困を断つには職業スキルを上げることが大事。いつでもやり直しがきく社会システムを作りたい」という辻さんの意志が反映されたものだ。

スパークする“熱狂と称賛”
目指すは世界タイトルマッチだ!

それにしても今回のプロジェクトは案件内容もさることながら、2人の熱のスパーク感、コラボからあふれ出す熱量感に引き込まれる。

RING HIROSHIMAには120%満足しています。メンタープログラムってお互い技術力が高くても相性が悪ければ機能しないと思うんです。でも今回の出会いで縁がぐっと広がったのは間違いないです (辻)

私がセコンドを務めるにあたって大事にしたのは“熱狂と称賛”。私自身が挑戦者のビジョンに熱狂できないと効果的な連携なんて期待できないし、せっかくセコンドになるのなら「おまえは絶対チャンピオンになれる!」って誰よりも称賛する存在でいたいんです (樗木)

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巨大な熱量と熱量が出会ってしまった「笑顔が寄付に変わるウェルビーイングシステム」。今回の実証実験が終わっても2人は「行けるところまで行きたい」(樗木)と共闘関係を続けるつもりだ。

辻さんはようやくプロテスト受かったばかりかもしれないけど、世界のリングに行けると思うんです。僕も日本からはじまった寄付の仕組みがアジアの他の地域に届いて、シリコンバレーの連中を打ち負かすところが見てみたい。そこまで一緒にやらせてもらうつもりです! (樗木)

僕はすべての人が生きてるだけで価値があるような社会にしたいんです。そして本当に社会にとっていいことを思いついてしまったら、それを実行に移さないと罪だと思ってます。だから僕もこのプロジェクトは自分がやりたいとうエゴではなく、やらなければならないという使命感で動いています。それくらいの覚悟で取り組んでるんです (辻)

目指す先は世界タイトルマッチ。歓声と紙吹雪が舞う勝利のRINGを夢見て、2人は今日も打つべし! 打つべし! 打つべーし!(©矢吹丈&丹下段平)

(Text by 清水浩司)

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