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“ママ×デジタル”のチカラで生み出す、育児女性の働く環境づくり【RING HIROSHIMA】

ママにとって「働きたい」と思ったときにまず気にかかるのは、育児と仕事のバランスについてだろう。例えば、在宅で時間を有効活用しながら働きたい、新しいスキルを身につけたいけど時間の確保ができるかどうか…。

そうした育児女性の気持ちを受けとめ、今後ますます雇用ニーズが高まるIT業界でママのチカラをいかし、そして伸ばせるように、働く環境をつくろうとRING HIROSHIMAに応募したのが、今回のチャレンジャーだ。


CHALLENGER
『NOVELTaS』『NPO法人広島こども食堂支援センター』和田 法子さん

育児女性やシングルマザーの
働く環境を改善したい

現在、個人事業主としてNPO法人広島こども食堂支援センターでの活動と、シングルマザーのフードバンク活動を行っている和田さん。結婚、妊娠出産、離婚を経験し、自身も育児と仕事のバランスをこれまで模索してきた中で、もっと育児女性が活躍できる環境をつくりたいという思いを募らせてきた。

結婚や出産、子育てで一度仕事を辞めると、それまでに積み重ねてきたキャリアや専門性があっても復職時には非正規雇用、という現状がまだまだあります。そうした“育児女性の働く環境やシングルマザーの低所得を改善したい、現状を変えたい!”という思いがあったんです。ただ、思いは強くても私一人だけでそれを実現するのは難しいので、知識や経験を持つセコンドの方と一緒にビジネスモデルをつくりたいと思いRING HIROSHIMAに応募しました。

ビジネスモデルの考え方として、育児女性のこれまでのキャリアを生かす方法はもちろん、時代のニーズに合った専門性を新たに身につけて活躍していける場をつくることもまた一つの方法だ。

能力や個性を持つプロフェッショナルとして、時間や場所を固定せずに働ける仕組みも必要です。日本のIT人材は今後ますます不足すると言われているので、そこに育児中の女性が活躍できる場があるのではないかと考えました。

そこで和田さんが目指したのは、エンジニアとしてのスキルを身につけながらしっかりと収入を得ていく形。つまり“育児女性のエンジニア育成”です。


SECOND
『学校法人産業能率大学総合研究所』
富永 宏一さん

ゼロからイチをつくり出す
和田さんの起業家精神に感心

今回、和田さんのセコンドとして併走する富永さん。中小企業診断士・社会保険労務士であり、『学校法人産業能率大学総合研究所』に勤務している。

私の専門はマネジメントとマーケティングで、中小企業から大企業までさまざまにビジネスプランをつくってきました。その経験を今回和田さんが取り組もうとしているプロジェクトにいかし、育児女性の働く環境についての課題解決につながっていけばと思っています。和田さんとはこれまでに何度もお会いしていますが、本当に起業家精神をお持ちなんですよ。ゼロからイチをつくり出すパワーを持っていらっしゃるなと常々感じています。

PROJECT MEMBER
『ロボフィス株式会社』
石井 彰さん

“育児女性を幸せに”という根幹を
大切にしたビジネスモデルに

今回のプロジェクトは、エンジニアを育てるという専門性の高い取り組み。実証期間中から将来的な実装に向けてIT業界に詳しい人の力が必要…、とのことで和田さん、富永さんから声がかかったのが、石井さんだ。

石井さんは長くIT業界に携わり、現在『ロボフィス株式会社』に所属。一般企業や自治体へのRPA導入、DX推進のコンサルタントに長けており、業界のプロならではの視点や考え方を今回のプロジェクトでいかそうとチームメンバーに加わった。

和田さんが目指すビジネスモデルの内容をお聞きして、最初に気になったのは、一つはエンジニアとしてしっかり技術を身につけるにはやはり数年かかるということ。もう一つは、IT業界は確かに人手が不足している状況ですが、多重下請け構造があるということです。そうなると賃金が低くなってしまったりして、根幹にある“育児女性を幸せに”という和田さんの思いとずれてくるので、このプロジェクトだからこそできるモデルを目指したいと考えました。


TALK ABOUT “RING HIROSHIMA”

一人ひとりの得意ジャンルや経験をいかして
仕事を生み、次の展開へとつなげていく

和田法子さん(左上)、富永宏一さん(右上)、石井彰さん(下)

――今回のプロジェクトではどのように取り組みをスタートしたのですか?
 
和田 最初は、育児ママがエンジニアとしてスキルアップしながら仕事としての収入を得ていく“モブプログラミング(複数人で一つのプログラムをつくっていくこと)”を想定していました。ですが石井さんとお話しする中で、それだと初心者からスキルを身につけるには時間がかかってしまうということが分かりました。

石井 通常エンジニアはフルコードでプログラムをつくりますが、それを未経験の人がやるのは大変なので、今回はそれよりハードルを下げた形でソフトをつくることのできるローコードを提案しました。

和田 プログラミングスキルを身につけたい、キャリアアップしたいという育児女性に集まってもらい、説明会をしました。参加した皆さんは勉強熱心で、ローコードについても積極的に学んでくれているんですよ。

石井 参加された皆さんの熱意が本当に強くて、私も驚いています。

富永 和田さんは子ども食堂やフードバンクに携わっていてネットワークもありますし、母親としての気持ちもよく分かるという部分で求心力がすごくあると感じています。そうした面をいかして、和田さんには最終的にこのプロジェクトでマネージメントの役割を担っていけるといいなと思っているんですよ。

説明会を開催したときの様子

――身につけたスキルを生かしていく場も必要になりますね。

和田 企業へ話を聞いてみると、社内管理のためのツールを必要としている企業が多いということも分かりました。例えば、勤怠管理のアプリなどをローコードでつくることができるので、今その制作にチャレンジしているところです。ほかにはこのRING HIROSHIMA内でも横のつながりができて、『みせとく!』というアプリの運営でメンバーの力がいかせそうなんですよ。

石井 前回のRING HIROSHIMAのチャレンジャーが実装した地域活性化を目指したクーポンアプリで、最高のコラボレーション企画になっていますよね。

和田 本当にそう思います! たとえばお店の在庫管理やメニュー表の作成など、電子化できればもっと便利にできる面があるので、そういった提案を行って仕事として受注するという仕組みをつくっていきたいんです。

2021年度のRING HIROSHIMAに挑戦したプロジェクト『みせとく!』

富永 育児女性がソフトウェアやアプリ開発ができるようになることを目標として始まったプロジェクトですが、今の段階ですでに動画制作やコピーライティング、営業など一人ひとりが得意ジャンルや才能を持っているということが、ここまでチームづくりをしてきた中で分かったことです。であれば、まずはその力をいかして仕事を生み、今後の展開へと広げていくモデルができると考えました。

石井 ママの力を借りたいという企業が思っていた以上にあったということも大きな気づきですね。中・長期的にしていかないとビジネスにならなかったものの中に、短期的なものを組み込めたのが素晴らしいと思います。

オンラインで勉強会を行い、スキルを磨くメンバーの皆さん

富永 事業計画を作成させてもらいましたが、やっぱり根底には和田さんの思いをメンバーの皆さんに共感していただけることが重要ですよね。しっかり共有と理解をしてもらい、少しずつ実績を積んでいくこと。プロトタイプみたいなものはあればあるほど訴求力が高まるので、できることから形にして営業ツールにも展開していきたいです。

石井 RING HIROSHIMAの実証実験期間中に、一つでも多くの成功体験をしていくことを目指したいですね。実際に仕事として運用していくための実務まで経験できるといいなと思います。

和田 その仕組みが形になれば、お店や企業の方に喜んでいただけて、ママたちも仕事ができて…と良いサイクルを生み出せるので、この実証期間中にベースをしっかりとつくっていきたいと思います。


EDITORS VOICE 取材を終えて

「人の喜びが自分の喜び。ママを笑顔にしたい!」。和田さんの強い思いと行動力に、セコンドの富永さんと石井さんもますますアツく伴走中。取材では、和田さんのアメリカや中国での在住経験から、日本だけではなく世界中の育児女性を笑顔にすることもできるのでは…、という将来的な展望にまで話題が広がりました。デジタルの力で世界中のママが幸せに! そんなママのチカラを借りたい企業の皆さん、ぜひRING HIROSHIMAまでご一報ください! (Text by 住田茜)

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