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さあ はじめよう!今、経営者が注目する「働きがい」向上の取組~働き方改革企業経営者勉強会【第2回】~

※以下は、7月13日(水)にオンラインで開催した勉強会の内容を要約したものです。

基調講演「『働きがい』向上と人材定着~リテンション・マネジメント~」

若手・優秀人材を中心とした定着を促進する「リテンション・マネジメント」の観点から、社員の働きがいや、会社への愛着を意味するエンゲージメント向上のための具体的な対応策について、お話しいただきました。

講師プロフィール

山本 寛 氏
青山学院大学経営学部 教授

青山学院大学経営学部教授(人的資源管理論担当)。博士(経営学)。メルボルン大学客員研究員歴任。働く人のキャリアとそれに関わる組織のマネジメントが専門。
著書(単著)として、『連鎖退職』、『なぜ、御社は若手が辞めるのか』、『「中だるみ社員」の罠』(以上日経BP社)、『人材定着のマネジメント』(中央経済社)、『自分のキャリアを磨く方法』、『転職とキャリアの研究[改訂版]』、『働く人のためのエンプロイアビリティ』、『昇進の研究[増補改訂版]』(以上創成社)がある。著書(編著)として『働く人のキャリアの停滞』(創成社)がある。

働きがいが重視される理由と日本の現状

2014年の厚生労働省の調査によると、働きやすいと感じている人と、働きがいがあると感じている人とでは、後者の方が「今の会社で働き続けたい」と思っている割合が大きいということが分かっています。このことから、働きやすさを柱とする従前の働き方改革だけでなく、働きがいというもう一つの柱を加えることで、より高いリテンション(人材確保・定着)が得られるということが示されます。
近年働きがいが注目されるようになってきた理由として、SDGsへの注目が高まってきたことが関係すると考えられます。SDGsの8番「働きがいも経済成長も」で推進しようとする「ディーセントワーク」は「働きがいのある人間らしい仕事」を指し、働きやすさよりも働きがいを求めることが働き方改革の原点であったということがここから言えます。

なお、「働きがい」には、学術的な統一的定義はありませんが、「働いた結果に、意味が見い出せること」で、働きがいを感じている状態とは、ワーク・モチベーションやエンゲージメントが高い状態のことを指します。そして、エンゲージメントとは、高業績につながる企業と個人の結びつきと定義することができます。

では、我が国のエンゲージメントの現状ですが、ギャラップ社の調査(2017年)では、エンゲージメントの高い社員は日本ではたったの6%のみで、これは139カ国中132位です。さらに、やる気のない社員(エンゲージメントの低い社員)が70%、周囲に不満をまき散らしている無気力な社員が24%もいます。国際的に見ても、日本はエンゲージメントが圧倒的に低いことが分かっています。
これに対して、企業の課題認識はどうでしょうか。日本能率協会の調査(2020年)では、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメント」を課題と感じている企業は12%のみで、経営課題の中でも優先順位は低いのが現状です。

ここでエンゲージメント向上の成功事例を紹介します。
株式会社小松製作所では、直属の上司が社員のエンゲージメントに最も影響を及ぼすと考え、管理職層に対し、信頼やモチベーション、チームワークや権限委譲を効果的に高める研修を行いました。すると半年間という短い期間でエンゲージメントの高い社員が33%から70%に向上しました。
この事例から、エンゲージメントを高めるためには、管理職と部下とのコミュニケーションがポイントだと分かります。

雇用環境の変化とリテンションの重要性

厚生労働省の転職者実態調査(2021年)からは、エンゲージメントが低下したことによる転職理由が多いことが見えてきます。
総務省の労働力調査(2021年)によると、転職を希望する人は約889万人と、2016年以降毎年増加しています。これは、人材獲得競争の時代において、高業績人材がいつでも他社に流出する可能性を示唆しており、だからこそ今、人材の定着=リテンションが人的資源管理のキーワードとなっているのです。
中長期的に見ても、2060年の生産年齢人口は1995年の半分になる見込みです。採用が更に困難になることを考えると、在籍する社員のリテンションがますます重要になってきます。リテンションが上手くいっている指標としては、「勤続期間の長期化」があり、これは働き方改革の重要なKPI(主要な業績指標)でもあります。
つまり、働き方改革を進めるとき、同時にリテンションの向上にも取り組む必要があります。リテンション・マネジメントとは、高業績を挙げた(挙げることが予想される)従業員が長期間組織にとどまり、能力を発揮できるようにするための人的資源管理施策を指します。旧来の定着管理では、福利厚生や能力開発にとどまりましたが、構造的人手不足の状況下では、そのほかの人的資源管理にも拡大し、それらが働き方改革の施策にも符合しています。

厚生労働省の調査(2019年)によると、若年者に対するリテンション・マネジメントは、7割以上の企業で行われています。働きがいに関係する具体的な取組としては、正規社員・非正規社員のいずれに対しても、「職場での意思疎通の向上」、「本人の能力・適性に合った配置」、「教育訓練の実施・援助」などの施策が実施されています。
施策の中で特に有効であると考えられるものは、「社内コミュニケーションの活性化」と「待遇改善」だということを示唆する別の調査結果もあります。

リテンション・マネジメントの観点からの働きがい向上の取組事例

企業事例① 給食センター運営V社【問題:新入社員の早期離職】

新入社員育成計画を体系化し、入社直後だけでなく毎月1回集合研修を行うことで、教育の質の確保と、新入社員同士のネットワークが構築されました。
その結果、直近3年間における入社1年以内の離職人数が、十数人から1人にまで減りました。

企業事例② 株式会社アイネット(ITサービス)【問題:若手社員の離職】

新入社員研修期間を2ヶ月から6ヶ月に延ばし、フォローアップ研修も3年間に渡る長いスパンで行うという手厚いものに見直しました。また、初任配属先を決定する前に、採用職種に関わらず、原則として全事業部の業務を一通り経験した上で適性を判断する社内インターン制度も導入。
その結果、採用3年以内の離職が3~4人程度(10%以下)にとどまるようになりました。離職率の高いIT業界としては非常に低い数字です。

企業事例③ カネテツデリカフーズ株式会社(食品製造・販売)【問題:新入社員の早期離職】

「仕事は見て覚える」の風土がありましたが、OJTリーダーとは別に、入社2・3年目の社員が半年間、マンツーマンで指導することにしました。また、毎月新入社員と話し合いの上で指導計画書を作成し、それに基づき毎月末にフィードバックも行いました。さらにフォローアップ研修の内容をその年の新入社員の傾向に合わせたものに毎年変更しました。
その結果、入社3年以内の離職率は50%から10%にまで減少しています。

企業事例④ 人材サービスY社【問題:DX人材など高い専門性を持った若手社員の離職】

求職者に対し、ポジティブな情報だけでなく、あえて厳しい(ネガティブな)情報を開示したり、転職者向けの体験入社を行ったりするなど、採用時の詳細な説明と情報提供(RJP : Realistic JobPreview)を行いました。また、適性配置の施策としては、自己申告や自社ツールによるアセスメントサーベイの結果、周囲の社員からの評価を参考にして、可能な限りの適材適所を実現しました。

企業事例⑤ 菓子製造小売W社【問題:①子どもが小学校に入学する時点で時短勤務が切れることによる女性社員の退職 ②30代中堅社員の離職】

小売店の女性店長(正社員)の離職を防ぐため、店長の残業の主な原因となっていた非正規社員のシフトの穴埋めを減らす目的でシフトの固定を実施しました。
これにより、責任者も休暇を取りやすくなりました。さらに育児休暇から復職した社員には手当を出すことにしました。

働き方改革を目的とした労働生産性の向上や、SDGs達成のため、働きがいやエンゲージメントが注目されています。また、コロナ禍収束後には、転職増加と人材獲得競争が再燃することがほぼ確実と予想される中、リテンションを重視する必要があります。
そこで、これからは、働き方改革の中心であった「働きやすさ」に加えて「働きがい」を向上させることによってリテンションを促進させていくことが重要なのです。

働きがい向上の取組事例紹介

企業ゲスト
株式会社広島県リースタオル
代表取締役 田畑 裕生 氏

企業概要
本社:広島市南区東雲1丁目
設立:1970年3月
従業員数:119名(パート含む)
業務内容:レンタルおしぼり、病院介護用清拭タオル(微酸性混和水処理)、各種紙おしぼり販売(王子タイムリー)、消耗品資材各種(Kao、LION、ニイタカなど)、名入れ商品各種
資本金:1,000万円

働きがい向上の取組の背景

業務環境の改善のため、軋轢がありながらも様々な働き方改革の取組を行ってきましたが、どこかやらされている感があり、長続きしていませんでした。全社員が自発的に取り組むためには、社内の空気感を変えることが必要だと強く感じていたため、2019年に広島県の働き方改革企業内推進人材育成事業に若手幹部社員2名とともに参加しました。
その中でその2名が宣言したことは、企業理念「社員を大切にし、ともに成長し続ける」の実現のために、「働きがいのある会社を作る」ことでした。今思えば、働き方改革と働きがいの向上がセットだということに、若手幹部社員はその時すでに気づいていたのかもしれません。
そこから、取組開始に当たってさらに社員アンケートを実施し導き出した最大の課題は、「働きがいを感じ成長し続ける会社となる」ために、いかに取組を「継続」できるかということでした。全社員が「コミュニケーション」を意識し、連帯感を高めていくため、”笑顔で挨拶”や”信頼関係を築く”
といった誰でも取り組みやすいことから始めました。当たり前のことをいかに継続していけるかということが我が社の働き方改革のキーワードになっていた気がします。そのためには、役職者の意識改革から始め、現場レベルまで落とし込みが必要です。
半年にわたり、役職者を中心に具体的な取組を進めた結果、広島県働き方改革実践企業に認定され、改めて、第三者からの評価が社員のモチベーションアップにつながることを感じました。このとき、事務職のリーダーから、健康経営にチャレンジしたいという声が上がり、「ひろしま企業健康宣言健康づくり優良事業所」や、「健康経営優良法人」の認定を次々に受けることができました。

ピンチの中で参加した「働きがいのある会社」調査で見えた課題

コロナ禍という未曾有の危機に直面し、主要顧客である飲食店の休業、廃業が相次ぎ、大打撃を受けました。そんな時、広島県から、Great Place to Work@(GPTW)の働きがいのある会社の認定を受けるための従業員アンケート調査の案内がありました。最初は乗り気ではなかったのですが、社員に話したところ「時間もあるしやってみましょう」と背中を押され、参加しました。
結果は、要改善点(GPTWでは「成長の機会」と表現される)がいくつか挙げられました。我が社はパート社員に関する評価が低く、パート社員に企業理念などを伝えてきていなかったことなど、改めて振り返り、考える機会となりました。

良い意味で予想外だったこと、つまり我が社の強みもいくつか分かりました。特に、パート社員を含め、この会社で長く働きたいと考えている社員が多かったことは、経営者として素直に嬉しかったです。結果として、「働きがいのある会社」に認定されましたが、弱みと強みの差が激しかったこと
から、喜びだけでなく、早急にその差を解消すべきだと考えました。
「働きがいのある会社」の認定を受けたことで、「コロナに負けていられない!」という気持ちに切り替わりました。インプット(売上)の減少をカバーするためアウトプットを増やすことにし、調査結果を分析し、人員配置や作業工程の見直しを通じて、現場の効率を上げること、また、社員一人ひとりのスキルを向上させるとともに、仕事に対する意欲を高めることに具体的に取り組み始めました。
取組に当たっては、各事業所や部署ごとで問題の要因や打ち手の方向性について各職場内ですぐに行動に移せることを意識して意見を出し合ってもらいました。その時、部署ごとに完結するのではなく、職場間でどのようにつながるかということまでをイメージすることが大切だと伝えていくようにしました。
最終的に、誰でも分かりやすいよう言語化した取組の方向性として、①「職場をチームと考え、お互いを尊重した働き方をすること」、そして、②「キャリアアップを明確にし、個人が認められる職場づくりをすること」という2 つになりました。

「働きがいのある会社」調査結果を受けての具体的な取組、そして社内の変化

GPTWの結果を受け、働きがい向上に向けて様々な取組をしていますが、取組を積み重ねていくことで、普段そこまで主張することのなかった社員が「女性も障害者も、誰もが働きやすい職場を作りたい。一人ひとりが意識を高めてコミュニケーションをとっていきたい」と発言する場面もあり、少しずつ社内の雰囲気が変わってきたように感じます。
まずは、自分たちのできることを増やそうと考え、中小機構のハンズオン支援(経営課題を持つ中小企業等に専門家を派遣し、課題解決を支援)にも申し込みました。「今こそ つくるを つくり変えろ!」「未来をかえるために、今、変わろう!」というテーマを設定し、社員が中心となり現在もプロジェクトを進めています。
また、従来、マニュアルがなく実践の中で覚える体制でしたが、生産性向上や従業員のスキルアップ、管理者育成を図るため、パート社員を巻き込みながら誰にでも分かる作業標準表と工程表を作りました。これにより大きく変わったのは、時間軸を持ちながら働くようになったこと、仕事や数字の根拠を深く考えるようになったこと、パート社員が自ら決めることが増えたことです。
さらに、パート社員も会社の重要な一員であり、戦力として期待していることを伝える取組として、日々の作業の中で素晴らしい点を表彰する取組も始めました。
働き方改革に取り組み始めたことで「はばたく 2021 中小企業・小規模事業者 300社」に選ばれたり、「健康経営優良法人」に継続して認定されました。これは、社員が中心となって取り組んでくれたことを評価してくれた結果だと感じています。第三者からの評価は、想像以上に社員のモチベーションにつながります。社員がプライドを持って働ける環境づくりを今後も考えていきたいと思います。
ほかにも、広島県のリスキリング推進宣言も行ったところ、簿記やDX、ITについて学ぶ講習に行きたいという声が女性社員や再雇用の高齢社員などからも挙がりました。また、経営状況が悪化しているからこそ、社員それぞれの働きがどのような影響を及ぼしているか、女性の管理職を中心に一堂に会して決算の数字を自らの手で入力してもらうなど、数字を意識してもらえるような取組も行っています。

私は、社員が自ら考え協働し成果を生む「自走型組織」を目指しています。GPTWの「働きがいのある会社」調査を活用することで、会社の良いところ・悪いところを見つめ直す良いきっかけとなりました。会社として長期的に繁栄するために、組織がやる気に満ちて、自らの判断で絶え間ない環境変化に適応できるようにしていきたいと考えています。

トークセッション

[パネリスト]
青山学院大学経営学部 教授 山本 寛 氏
[パネリスト]
株式会社広島県リースタオル 代表取締役 田畑 裕生 氏
[ファシリテーター]
株式会社ワーキンエージェント 働き方改革上級コンサルタント 藤原 輝 氏

―広島県リースタオルの活動内容はいかがでしょうか。

山本:素晴らしい取組の数々に、非常に感激しました。特に第三者からの評価が社員のモチベーションにつながるということを社長自ら理解して、社員の意見を取り入れたり、パート社員を含めて表彰したり、生産性向上のためのマニュアルを作成したことが、新入社員や非正規社員の働きがいにもつながっているのではないでしょうか。
自らの成長の実感・予感が働きがい向上には重要だということが既存調査でも明らかになっています。リスキリングにより社員一人ひとりの能力を高めるなど、いろいろな観点で働きがいの向上につながる多くの取組を伺いました。

―山本先生の講演を聞かれての感想をお願いします。

田畑:社内でも「働きがい」とは何か、という話になりました。山本先生のおっしゃった「働いた結果に、意味が見出せること」という定義はとても分かりやすかったです。24%いるという、周囲に不満をまく無気力な社員についても、意外と影響が大きい。そういう社員をゼロにするということではなく、それを加味して動かせる会社にしていけたらと思います。経営課題としてエンゲージメントの優先順位が高くないという点に関しても、経営層と現場のズレということですので、私自身も改めて考えなければと感じました。
また、非正規社員を含めた全社員のリテンションについても、コミュニケーションが大事ということも踏まえて、私一人でなく社員とよく考えてみようと思いました。

―田畑社長、御社では、過去、退職理由はどんなものがありましたか。

田畑:上司と部下など、コミュニケーションの課題は非常に大きかったと感じています。この会社にいて、自分がどうなっていくのか想像できないという気持ちを持つ社員もかつては多かったと思います。

藤原:最近の若い人たちは、兆候なく突然退職するため、退職理由が分からないケースが増えていると言われています。

山本:初期キャリアの転職は「衝動的転職」とも言われ、合理的判断よりも短期的な感情で辞めることがあります。特に現在は、転職先や転職サイトも豊富で、在籍企業で我慢し続ける必要がないのです。
少しでも社員の異変を感じた時には、上司自身が直接どうにかしようとするのではなく、自分と部下の間にいる、”話しやすい先輩社員”に話を聞き出してもらうなど、退職のアラートをキャッチするように対処することが重要だと考えます。

―広島県リースタオルが「健康経営優良法人」に選ばれたポイントはどのような点だと考えますか。

田畑:私が思ってる以上の評価をいただいていると感じています。休みやすい環境については、社員同士が日頃のコミュニケーションからお互いの家庭の事情などもある程度知っていて、急な休みにも理解があることもポイントなのではないでしょうか。

山本:田畑社長のおっしゃる通りだと思います。働いている人の背後には、生活も趣味もある。そういったことが一体となって地域で暮らしている中で、お互い補い合い、生活のことも思いやり、遅出や早退などにも柔軟な対応ができているのではないでしょうか。
多様性があるだけでなく、あるときにはみんなで一つの方向を向くインクルージョンもできる。個々の事情に配慮して対応することが現場レベルで判断できているのではと感じました。

―「自走型組織」を目指すようになった背景や意図を教えてください。

田畑:社長の私がすべて決めていたらスピードも遅くなるので、現場の判断に任せている部分も大きいです。そうすることで逆に些細なことも報告・相談してくれるようになりました。現場で判断することが増えるほど、スピード感が増すことが多々ありますし、キャリアアップやキャリアビジョンの実現にもつながると考えています。

山本:権限委譲を進めていらっしゃるという印象を受けました。ある調査では、日本の企業でエンゲージメントを高めるために効果的な施策は権限委譲だと言われています。一方で、トラブルがあれば社長のもとにホウ・レン・ソウ(報告・連絡・相談)が即時くる風土ができているのでインナーコミュニケーション(全社員が企業と共通の目的意識を持てるように行う社内のコミュニケーション)が上手くいっているのだと思います。

―社員にとっては、自ら判断することが負担になる場合もあることと思います。どのように意識醸成を図られたのでしょうか。

田畑:現場に任せることで、私に届く情報は悪いことばかりになりました。逆にそれでいいと思っています。大事なのは、学んでは実践するということを繰り返すことだと思います。
また、「大丈夫」と言いながら権限の委譲によって負担に感じている社員もいると思いますので、任せっぱなしでなくフォローすることも心掛けています。

山本:権限委譲というのは、働きがい向上だけでなく、人を育てることにもつながります。広島県リースタオルさんは人を育てる会社に変わってきているのだと思います。ただ、新しいことに向かうと壁にもぶつかります。そのときに、ちょっとしたことでも相談できる環境であることが大切です。
コロナ禍でテレワークが広がって、雑談の機会が減りましたが、広島県リースタオルさんでは、些細なこともお互い話すことができているので、健康経営にもつながっているのではないでしょうか。

―働きやすさから働きがいにステップアップするために考えられている今後のイメージはありますか。

田畑:やればやるほど課題が出てくるのが会社経営です。でもそれが私自身も社員も強くすることにつながっていると感じていますので、壁にぶつかりながら乗り越えて、次のステップに踏み出したいと思っています。
制限のあるパート社員をいかに戦力化するかが、我が社のこれからの取組のポイントです。試行錯誤しながら、もっと骨太の会社になるよう取り組んでいきたいと考えています。

―広島県リースタオルへのアドバイスとして、今後重要となるステップは何でしょうか。

山本:今後、広島県リースタオルさんが取り組まれると良いと思うものは、例えば人材公募制度や副業の解禁、パート社員のスキルの見える化などです。
また、管理職には「褒め方研修」などを実施して、上司と部下との関係性を更に良くしていくこと。そして、社員を飽きさせない、ワクワクするような新しい施策を次々と取り入れてください。


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