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Hiroshima FOOD BATON相談会レポート


令和4年度 Hiroshima FOOD BATON相談会が開催!
今年度の取り組みの概要と成果を採択事業者が報告しました。


去る3月2日、サテライトキャンパスひろしま(広島市中区)にて本イベントは開催されました。R4年度の採択事業者から本年度の取り組みの成果を報告し、来年度以降に本事業への参画を検討する農業経営体らに対して事業の意義や価値の理解促進を図るために開催されたものです。

バリューチェーン全体に切り込み、
食の“稼ぐ力”を向上させ、新しいビジネスを創発させる。


プログラム冒頭では主催者側から本事業全体の趣旨、採択者の評価ポイントなどについて説明がありました。R4年度の事業では食のバリューチェーン課題に関する実ヒアリングに基づいて設定された募集テーマを採択事業の方向性として3者が採択。それぞれの事業者に対して、最大300万円の事業補助、専門家による事業計画の具体化・事業伴走支援、そして事業推進のために必要なパートナーマッチングなどを行い、応募者の新しいビジネス創発に向けた支援が実施されました。

山中氏(事務局)による事業概要説明

 主催者側からの事業全体の説明の後に、採択された3者の取り組みに関するプレゼンテーションが行われました。

プレゼンテーション①
起案代表者:Agre Lore Lab. 藤谷裕司
プロジェクト名:「薬局 DE 野菜」

Agre Lore Lab. 藤谷氏

本プロジェクトは地域密着型の調剤薬局が大手ドラックストアとの差別化のために、顧客の健康サポートの推進方法に課題を抱える中、その解決手段として健康をテーマにした野菜販売のできる新たな「棚」を創出するというもの。美味しく健康でいたい顧客層をターゲットに、健康に関する親身な商品提案ができる薬局ならではの顧客接点を活かし、広島県産野菜からなる健康テーマの野菜ブランドの創出を目指しています。ブランド創出に向けては、栄養機能に特化した商品開発(機能性表示食品トマトなど)や、医療現場等、今までにない業界との協業で新たな価値創出に取り組んできました。
今後は学校での食育分野への進出や機能性表示食品の生産拡大、産婦人科とタイアップした離乳食の開発などのれんのブランド化、商品のブランド化を進めていく計画です。さらに病院食や学校給食への卸売という流通の拡大も図っていくことで販路の拡大ももくろんでいます。年度内のKPIとして掲げた出店薬局数、参加生産者数は達成の見込みであり、導入した薬局や薬局に訪れるユーザーからの高い評価を獲得しているとのことで、今後の事業展開に対する大きな期待が寄せられました。

プレゼンテーション②
起案代表者:株式会社ATORA. 小野敏史
プロジェクト名:「HIROSHIMA HYBRID DESIGN」

株式会社ATORA. 小野氏

本プロジェクトは百貨店・高級スーパー等が高品質且つオリジナルな冷凍食品を小ロット・高頻度に商品展開しにくいという課題を、企画から販売までの垂直統合型チームによる商品開発で解決することを目指すものです。具体的には、百貨店・地元飲食店等とコラボした商品開発・マーケティングによって、広島県産の農作物・畜産物の新たなブランド商品展開や、廃棄野菜等を活用したアップサイクル型商品展開等を推進します。これによって、高品質な一次産品が生まれる自然環境を活かしきれていない広島県の課題をマーケティングの力で解決し、更に農業経営体の稼ぐ力に資する事業を目指す取り組みを推進されてきました。
本年度においては、バーチャルブランドの立ち上げ、他の飲食事業者とのコラボなどを推進し、数点の商品開発が実現し、報告時点で売上を立てることに成功。また、今後はメディアとの連携、野菜の瞬間冷凍商品の県外・海外への販売などを計画中で、インバウンド消費と広島固有の観光価値を循環させたビジネスモデルの構築に向け、着実に歩みを進められていました。

プレゼンテーション③
起案代表者:comorebi farm 小嶋正太郎
プロジェクト名:「comorebi commune」

comorebi farm 小嶋氏

本プロジェクトは、創造性に溢れる地方ライフスタイルを求める都会在住クリエイターが抱える移住・就農課題を、因島での手軽な半農半X型就農支援を通じて解決することを目指すものです。さらに、因島における柑橘生産者の後継者問題を解決する新たな就農モデルの創出と、それに基づくコミュニティ型の産地形成ビジネスに挑戦中。具体的には、農家民宿の立ち上げを通じてクリエイターの移住・就農を体験できる環境を整備し、手軽に就農できる半農半X型就農の仕組みを整備。その後、移住クリエイターによる「クリエイターズコミュニティ」を起点に、地域産品を用いて今までにない視点や方法で新商品を開発し、地域の魅力を発信します。これらの活動を通じて、地域の6次産業化を持続的に促進する仕組みを創出し、地域の後継者問題の解決と農業経営体の稼ぐ力向上を両立する新たな事業モデルを目指しています。
本年度においては、農業・農家の魅力を体験できるファームツアーの実施、農作物から生産する商品ラインナップの拡大を実行されました。年度内に実施したツアーには延べ62名もの参加者があり、その参加者とのつながりによって新商品がうまれたり、東京でのイベント出展が決まるなど、プロジェクトの今後の可能性を感じられる結果となりました。今後は宿泊施設の整備を進め農業の魅力を気軽に楽しめるアクティビティの開発などを通じて関係人口を増やし、そういった人々と地元農家さんを巻き込んだ商品開発企画などを積極的に展開する計画で、来年度以降の広がりが期待されます。

〜トークセッション〜
Hiroshima FOOD BATON採択者に聞く、本プログラムの活かし方

左から山中氏(事務局)、藤谷氏(Agre Lore Lab. )、竹内氏(Farmar's Collection)

採択者3者の取り組み紹介が終わったところで、薬局DE野菜のプロジェクトチーム(藤谷氏・竹内氏)と事務局(山中氏)とのトークセッションを実施しました。薬局DE野菜のプロジェクト立ち上がりから今に至るまでの話などを通して、農業経営体にとっての本事業の意義などについて意見交換を行いました。藤谷氏からは、事業計画の立案や課題解決へのアプローチなどを伴走する本事業は、農業経営体が新しいビジネスモデルを構築するような場合、大きな後押しになる事業である旨のコメントがありました。また、竹内氏からもこのような機会を活かして、共に広島を盛り上げていく農業経営体が増えることに期待する旨のメッセージがありました。

以上の通り、本年度採択事業者3者による取り組みと来年度に向けたプレゼンテーション及び採択者のトークセッションをもって、Hiroshima FOOD BATON相談会は終了しました。
3者のプレゼンテーション及び、トークセッションの様子は以下のURLから動画で見ることができますので、是非ご覧ください。