嫌な上司の下でどう働くか

20代の前半にアメリカから帰国。なんとか東京で仕事を見つけた。当時は日本がバブル景気に浮かれていた頃。その4年後にはバブルがはじけて株神話が崩れた。同時に土地神話も消えてなくなった。この業界にいたひとたちはことごとく失職している。ひとだけでなく会社もなくなっている。

さてそういった状況から25年間、様々な会社で働いてきた。外資系証券会社、外資系清涼飲料メーカー、コンサルティング、商社。外国と国内の企業それぞれ。職種はリサーチ、営業、IT管理部門。特にIT関連では17年ソフトウェアの関わりが深かった。ソフトウェアというのは業務課題を解決する道具。課題は組織やプロセスといった効率をあげることにある。

ソフトウェアを開発・販売する会社でいわゆるベンダーといわれる会社。そのソフトウェアをつかって業務改善をするための設計といわれる上流工程。さらには上流から下流へ向かうところのシステム・インテグレーション。インテグレーションというのはどうやって複雑なシステムを会社の業務に落とし込むのか。すべてやった。

その間、何人の上司の下で働いてきたのだろうか。いまでも気軽にメールが送れる上司。もう一度その上司の下で働いてみたいひと。さらには自分の子供の上司になってほしい人。そのように振り返ることがある。ざっと数えてみるとこの人の下で働きたいと思い出せる上司はたったの3人しかいない。

25年で6社を経験。配置転換や短期プロジェクトで働く。上司といわれるひとは20人以上にのぼる。あるいはレポート(報告)をするひとと理解してもよい。どちらかというとあまり相性のよくない上司ばかりだった。上司というのはわたしの強みや得意としているところを理解し弱みを補うような手助けをしてくれるひと。そのように考えていた。確かに立派な学歴とすぐれた業績をあげている。

年収も高い人たちが何人もいた。しかしどうしても嫌な上司というのが多かった。なんでこんなやつがいるんだ。わたしにもいくつかの非があろう。今回はどうやって嫌な上司の下で働くのかを書いてみます。

ひとつめは嫌な上司というのはどこにでもいるということ。次に嫌な上司のもとではちょっと自分を変えるということ。そして最後にこれが一番大事なことです。ストレスをためないようにすること。このストレスをためることほど無駄なことはありません。理由は病気になってしまうからです。それぞれどういうことでしょうか。

まずは嫌な上司というのはどこにでもいる。最初にはいったスイスの銀行では荒くれものが多かった。それはそれはひどいことをする上司というか年上のひとたちがいた。まずわからないことを聞いているのに暴言を吐く。だまって仕事をしろ。そのうちわかるのだから自分で仕事をしながら覚えろというようなことでした。さらには大阪の小さなオフィスではありえないこともあった。新聞をまるめて机の上をたたきつけて威嚇するような年上のひともいた。

これは転職をした渋谷にあるコカ・コーラでもあったことです。そこはIT部門でした。一般的にIT部門の上司というのはそれほどよくはありません。コンピュータの言語を見ていますから人間付き合いが得意ではない。しかも上司は絶対の権威主義。気に入らなくなると言葉が汚くなる。暴言も多い。ひどい仕打ちをするひともいました。

こういったところで嫌な上司の下でどう働くか。それはつらいものです。しかしそれが理由で転職はしないほうがいいです。というのは転職をした先でも嫌な上司は必ずいます。それよりは仕事をしたほうがいいです。仕事は裏切らない。これがとても難しいのですけれどもがまんをするしかない。

というのは3年くらいで配置転換があります。それまでじっとしているだけでなにかと結果を出そうとあせらないことです。サラリーマンは上司を超えてパフォーマンスをすることはではできません。上司よりも結果は出せないのです。

そこで素行だけは注意しましょう。問題を起こさないようにする。遅刻や早退はしないこと。常識ある態度で勤務しましょう。会社のコンピューターでネット検索をするなどはだめです。問題を起こさないようにがまんしましょう。いずれ潮の流れは変わります。

次に嫌な上司というのは自分に原因があるときがあります。どうしても相性があわない。そうなると相手の方が上ですから相手にとってあなたは仕事の妨害をするひとになっているのです。そしてこれが残念なことなんですけれども会社というところは正義だけでは動いていない。むしろお金儲けという悪いことをしているとあきらめましょう。もしお金儲けがいやならば公共機関や大学、そして病院で働くのがいいでしょう。

お金儲けをしている民間企業は正義では動いてはいないところです。そんなところには嫌な上司というのはうようよいる。リスクをとって取引をするときにお金が生み出されるので成功確率が低いのです。そういったギャンブル的なことをしている。そうすると悪いことをしでかす。嫌な上司というのは悪いひとと相性が合っているわけです。

しかし悪いひとどおしでつながっていることが会社にとっていいこともあるんです。というのは悪い人しか悪さを見抜けないことが多い。そうなるとあなたの正義感やまじめさがしゃくにさわる。そうして嫌なことをしたりいったりする上司がいる。労働は苦痛ですからだれでも楽にたくさん儲けたい。これは当然です。つらかったら病気になってしまいます。そう思うのはだれでも普通です。ここもがまんです。

そして最後にストレスをためない。ストレスを軽く見てはいけない。ためすぎると病気になります。どんなに週末に元気があってもストレスをためるようなことをしてはいけない。のんびりと散歩をする。日差しのいいところにいく。今日もわたしはドライブ30分をして都内を散歩しました。あの隅田川沿いを歩く。なんていいんでしょう。

友人と軽いランチをする。庭の掃除をする。ペットとたわむれる。そうった週末2日を過ごした方がいい。学習をしたりストイックに運動したりするのはかえってマイナスです。やっちゃあいかんのですよ。

嫌な上司というのはストレスがたまります。半端ではなくたまります。仕事をしていなくてもどうしてこの上司はしゃくにさわることをいったりやったりするのか。そう考えるとそれだけで頭の中がいっぱいになり怒りがこみあげます。しかしここではストレスをためないこと。そのためにはがんばりすぎないことです。

なにか頑張って結果を出そうとするとつらくなる。がんばらないほうがいい。静かなる退職というのがはやりました。これは会社にきても座っているだけでなにもしないこと。定時に帰る。そういった仕事のスタイルです。実は40代ではこういったひとたちが多いのです。50歳以上になれば大半が仕事をしていません。苦痛なのですから。それに病気にならないことが第一です。

それでも病気になってしまう。そうなると会社のオフィスにベットが用意されています。それを使いましょう。また治療薬がある。そして健康相談や医療室もある。わたしが三菱商事の後に働いた日本ユニシス。そこの10階には医療室があり常に医師が3人待機していました。薬も保険が適用されて1割の金額で購入できた。そういった制度を利用する。病気になってはいけない。

おとなしくしていて上司の癇に障るようなことをせずに低姿勢で過ごす。それだけでお金がもらえる。ならばそれでいいではないですか。

25年間を振り返ると猛烈な職場にいました。そこでよくなかったのはなにかと結果を出そうとがんばりすぎたこと。どうあってもバブルがはじけたあとは結果が出る会社は少なくなった。つまり業績が上がらない。そうなると会社ではなにかを隠したり怪しいことをしたりしてお金をかせぐようになる。そういったときに嫌な上司というのは多く現れます。当然ですよね。ずるいことをしてお金がたまるのですからそちらに向きます。

そこで40歳になったらよほどのことがないかぎり会社は辞めない。辞めても次にいい仕事にはつけない。嫌な上司でもがまんする。結果を出す必要がなく給料がもらえるのならばそうしていましょう。それに越したことはありません。がんばるから疲れる。つらい。

そして結果が出ないとさらに苦しくなる。すると嫌な上司のことがさらに嫌になってしまう。そうしてがんばっているのに認めてくれないんだろうとなる。そうならないようにしましょう。こうしたことだけでも実は病気になってしまいます。

さて大学生の読者の方々はどうでしょうか。わたしは25年間20人以上の上司の下で働きました。その中でもう一度その上司の下で働きたいと思えるひとは3人だけです。いまでもお付き合いできます。そういった上司に出会えるかどうか。いい上司に出会えない確率の方が高いです。そんなときの参考にしてください。