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病気でも仕事を続ける

今から6年前にふと気づいたことがあった。食事がうまい。ずっと朝と夜は家族といっしょに食事をしていた。10年以上はそう続けていた。女房に聞くといつもと変えていることはないという。同じような食材で同じように料理をしているという。しかし味がいい。美味しい。これはどういうことだろうか。

しかも朝ご飯も夜ご飯もうまい。同じお米を使って同じ炊飯器で炊いているという。どういうことなんだろう。わたしはその理由がわからなかった。

やがてわかったことは2018年までわたしは完全な心身状態ではなかったということだ。やや太っていたため外で運動をした。2011年から4年間仲間とテニスをした。しかし減量にはつながらなかった。テニスのコーチからはテニスをしても体重は減らないといわれていた。そこで2015年からテニスをやめてランニングに切り替えた。こつこつと続けて3年が経った。それが2018年だった。

すると減量に成功。大学生の時に維持をした64キロにもどった。それだけではない。夜中に途中で起きることが少なくなった。それまでは3時くらいになると目がさえて起き上がってしばらく部屋の中をうろうろとした。

熟睡できず睡眠障害でもあった。内科からは眠剤が処方された。

処方薬はマイスリーとユーロジンというものだった。マイスリーは睡眠薬としては導入の効果がある。寝入りに効く。ユーロジンは睡眠を維持する。この二つの薬によって寝つきがよくなり、途中起きることなく朝まで寝れるという。徐々に効果が出て起きることは少なくなった。これらの薬は効くのに2週間くらいかかり、やめるのにすぐにはやめられないものだった。

睡眠障害がランニングによって解消された。減量のためにはじめたランニングなのに睡眠のリズムがつくれること。そこになかなか気づかなかった。

睡眠薬が処方されたのは40代のこと。40代はほとんど飲んでいたのではないだろうか。その前はもっとよくなかった。ITの仕事についていた。わたしはどうもITの仕事に向いてはいなかった。

会社を辞めるわけにもいかず、働き続けなければならない。ITの仕事を17年も続けてしまった。どうも気分がすぐれない時期が長く続いた。どこか滅入ってしまう時期が長く続いた。

気分が安定しない。良い時と悪い時が交互になってきてその振幅の差が大きい。家族にもそのように指摘をうけた。医者からは安定剤を処方された。それを飲み始めたのは39歳のときからだった。

このときも2種類だった。アビリット錠ともうひとつ。名前を忘れた。これらが安定剤だったことは覚えている。これで感情の起伏を抑えることができた。しかしながらこれらを処方しているときはお酒は飲まない方がいい。急に気分が高まり、その後に急落するからだ。

これはとてもつらい経験だった。

さらに23歳のときから鼻炎で苦しんでいた。3月から5月のはじめは苦しい。そのため薬を飲んでいた。ゼスランとセレスタミンというのであった。鼻炎は抑えられた。しかしこの薬を飲むと眠くなる。しかも頭がぼーっとしてきてしまう。そのためなかなか仕事にはならなかった。それでも仕事は続けなけばならない。

そういったとき、あるいはもっと重い病気にかかっているときにどうしたらいいか。ひとつは会社を辞めないこと。次にスタートアップの仕事はしないこと。最後に日系の大企業に勤務すること。

まず会社を辞めないようにすること。辞めてはいけない。辞めるとさらにつらくなる。病気であるときは会社にいくだけでもつらいもの。しかしながら休まずに行くこと。しかも定時に必ず出社する。9時にスタートであればその時には机に座っていること。リモートであれば9時には入室すること。遅れてはならない。

病気とつきあいながら仕事をするというのは大変なこと。しかし会社は辞めない方がいい。というのは会社で健康保険に入っているから。給与の額に応じて保険料が決まっている。高い人はそれなりに保険料が天引きされている。安い人は低い。しかし保険料の半分を福利厚生として会社が負担している。これほどありがたいことはない。

ということは会社が病気であるひとを少しだけ面倒見てくれるということです。ここで会社を辞めてしまうと国民健康保険に入らなければならない。この保険料を払わないと病院にもいけない。病院やクリニックでは未払いの人に対して10割負担を要求する。これほど高くつくことはない。

医療費が高額になってしまう。

次にスタートアップはやらない。企業内でもやらないこと。スタートアップというのは起業であり、ゼロからはじめるもの。そんなことは病気であるときはできるはずもない。朝早くから夜遅くまで働いてビジネスを起こすことは容易ではない。成功確率は100分の1以下。病気の人にはできない。長い時間ハードに働けないからです。

それだけではない。ハードに働いて給料が高ければいいです。しかし給料は高くない。サラリーマンのたねむしろ低い。成功をしたときのメリットもない。そうなると心身がぼろぼろになるだけで有害なだけだ。むしろその有害であったためのダメージを受けてしまう。そこから回復するには数年、あるいは場合によっては数十年かかる。

そういったことをサラリーマンがすべきではない。サラリーマンはサラリーマンであって起業家ではない。

最後に病気がちなひとは日系の大企業に勤務すること。日系企業は福利厚生が充実している。例えばわたしが42歳から働き始めたところです。三菱商事グループでは福利厚生が充実していた。三菱商事のオフィス内では仮眠室があってしばらく横になって寝ることができた。

また会社に専属のカウンセリングがあって相談にのってくれる。しかも無料だった。こういったサービスは外資系にはない。外資系というのは仕事よりも年収アップが目的であります。年収の低いところにはだれもいきたがらない。会社は利益を出すところであって社会福祉法人ではない。社会保証は最低限にします。そのかわりつらい仕事をさせるのです。だから年収がいい。

外資系でなく日系企業を選ぶ。しかも大企業の方がいい。さらには日系の大企業は比較的のんびりとしている。かつかつとしたところがなく、給料はその分低いですが、それほど実績や結果を出す必要もない。40歳をすぎればもはや実績は問われない。問題なく仕事をこなせれば辞めさせられることもない。会社にいながら、つまり給料をもらいながら治療ができる。

45歳になれば転職すらできない。してはいけない。そういったなかで病気であったならばもう仕事で成果を出そうとしてはいけない。病気が悪化するだけです。

23歳から鼻炎。39歳からどうも気分がすぐれない。そして40歳代は睡眠障害。そういった病気との戦いは長かった。それが2018年には終わった。それはランニングをしたことがきっかけで3年続けたことがよかった。

2018年になって食事をしたときはびっくりだった。何を食べてもおいしい。朝ご飯が美味しい。晩御飯もおいしい。それでも女房はそれほど喜ばない。なぜかというとずっと同じ食事を作っていたためだった。

そして女房にいった。何を食べてもおいしい。大学生のときのようだ。こういう日が来るとは思ってもいなかった。

仕事で無理をしないこと。病気であるときは会社をやめない。スタートアップの仕事をしない。そして日系企業でのんびり働く。病気であることほどつらいことはありません。

多くの人が美味しいご飯が食べられますように。