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どんな世界観を考えているか興味深い


わたしがこの文章を書いている人と初めて会ったのは2011年6月の事だった。それは彼がはじめた読書会であって、あの時は赤坂駅の近くにあるスターバックスを拠点にしていた。集まって来たのは15人くらい。その中にこの文章を書いた著者がいた。あれから拠点は渋谷、新橋、そしてオンラインと変わっていった。10年間通い続けて実にいろいろなことを学んだ。その中でも彼から学んだことは多かった。

わたしは今でもこの人から学んでいる。この文章の著者は慎泰俊(Taejun Shin、通称TJ)という。わたしにとっては2011年以来13年という月日が過ぎたにもかかわらずTJであることに変わりがない。これはTJにポジティブな親しみを持っているためだ。

ただTJとは10年以上対面で会っていない。このnoteを通じてTJの文章を読むこと以外に動向を知る手段がない。それでもいいと思っている。それはTJと話すことはもうそれほど多くはないであろうから。

勝手にTJが書いた文章を引用して何かしら書いていいものだろうか。公開していいものだろうか。迷った。けれどもわたしなりに共感が得られ、読者に宣伝したくなった。ならばいいだろう。読者のTJをお勧めしたい。そういった理由で書いて公開することにした。

読んでいる段階から興味深い記事であった。以下は私の推測であり感想文である。

感想文を書く視点としては3つある。TJが普段からどんな書籍や雑誌を読んでいるのか。どんなテーマを選んで読んでいるのか。次にわたしが持っているTJの印象。そして最後にTJの文章から何かしらができあがるのではないか。そういったことを推測してみる。

どんな書籍を読んでいるのか。TJは昔から読書の量が多い。良質な書籍を読んでいる。雑誌についてもそうだ。どんな雑誌なのかはかなりの確率で言い当てることができる。

まずはThe Economist (英紙エコノミスト)がある。この読書会をはじめたことでも知られている。雑誌に掲載されている人工知能(AI)と脳科学に関する記事を集中的に読んでいるのは間違いないだろう。ひとつのテーマを決めて半年くらい読む。これは読み方として正しい。いろいろなテーマで読めるとはいえ乱読はしないほうがよい。実はこういうことを意識してできる人はとても少ない。

普段からマッキンゼー社のことに関心が高い。マービン・バウワーのマニュアルを手元において読んでいる。これはマッキンゼーに入社した人しか読めないともいわれている。読書会がはじまった14年も前にもTJはこのことを説いている。目の付け所がなんともいいではないか。このことはわたしにとって発見だった。

DHBR(ダイヤモンド社のハーバード・ビジネス・レビュー)を読んでいることも容易に予想できる。これらの雑誌を愛読している。間違いない。わたしも読んでいる。

次に普段からあるテーマを決めて質の高い書籍を長い期間に渡って読むTJの印象というものを書いてみよう。

ことばを大切にしていること。質問することが得意な人である。これはTJの最大の特徴である。これらは言うほど簡単にできるものではない。素養と努力が必要である。普段からの問題意識と多くの試行錯誤を重ねた訓練がないとできない。わたしもなるべくそうしたいが難しい。

ことばを大切にするというのはどういうことか。ことばの特質をよく知っているということ。日本語と英語の特質をよくとらえている。またそこから派生するものにも関心が高い。ことばを大切にするということは文章がうまいということだ。書くことをする。書く人は芸術の素養がある。

芸術に対してかなりの能力を持つ人だと思う。写真、デザイン、そして絵画といったものに造詣が深い。普段から取り組んでいる。幾何学的な西洋画も好むであろうが、知覚的な日本画をよく理解していると推測する。日本画では花と鳥の作品は見事なものが多い。そういったものを普段から眺めているのではないか。

よく人の話が聞けるというのは簡単ではない。人を理解する力が高く、人との関係を大切にするということにつながる。中でも質問をする力がすぐれている。この質問を頭で考えて発するというのは経営コンサルタントが得意とするところである。問題解決のプロというのは質問力がすぐれる。普段から訓練をしているスキルである。実は簡単には習得できない。学校教育だけでも難しい。

最後にTJの文章から何かができあがっていくのではないか。そのように予想する。以下のこのようなことが大雑把に言えるであろう。

文章の最初にあった要約というところを読んでみよう。ひとつ、人は遺伝と環境と偶然によってつくられるアルゴリズムでしかないという。要素分解すると遺伝、環境、偶然となる。もうひとつは、人や世界を変えるには環境とアルゴリズムのどちらかに働きかけるとある。これも要素分解すると環境とアルゴリズムになる。

共通項は環境だ。環境について何かしらのものができあがるであろう。環境とは何のことを指すのか。TJは環境を世界観ともいっている。

わたしは環境を組織に置き換えて読んだ。組織について何かしらの考えをまとめようとしていると推測する。組織はひとりでするよりも多くのことをなしとげることができる。組織の力というのは大きい。

TJがよく言っていた。マッキンゼーは組織を強くするコンサルティング会社である、と。的確にマッキンゼー社の特徴を表現している。わたしは30年前に勤めていた会社にマッキンゼーが入ったことを覚えている。組織を強くする人たちだった。TJがここに関心があることは間違いはない。

また知覚について何かしらのことをまとめようとしている。知覚についてはTJ自身がnoteの中で紹介をしている。DHBRの2017年5月号にある記事を紹介している。著者は慶応大学の安宅和人教授である。私も読んだがこの記事はよく書かれている。DHBRに掲載されたこれまでの記事の中でも特によく書かれている。

脳について何かしらの考えをまとめようとしていることが推測できる。その理由をわたしがTJの文章の中で気づいた箇所を引用しながら述べてみたい。

引用:自分のことを理解できている人間は驚くほど少ないという。
わたしの解釈では脳にはまだ解明できていないところが多く、人は自分のことを理解できない。そういうことをいいたいのではないか。

引用:理性的な人というのはランダム部分が少ない。
わたしの解釈では理性というのはロジック。ロジックが発達した人はランダムではないだろう。TJは原理原則というのを常にいっている。また人の行動特性は予想が困難で複雑怪奇であることもいっている。これをいいたいのではないか。

引用:人間の処理パターンはそもそもコントロールできない。
同感だ。私の解釈では人は脳で意識できることは少ない。5%くらいであろう。95%は無意識である。ほとんどが言語化できていない。TJがいいたいことはこういうことに近いのではないか。

引用:人は物語に説得されやすい。
わたしの解釈では物事の理解はストーリーとして記憶されやすい。

こういったところから脳に関して関心が高いことが推測できる。脳に関して何らかの解明をしようとしている。

メモから何かしらのものができあがろうとしている。それが一体何であるのかは推測するしかない。しかしそれは興味深い。13年が経過してもTJはTJ。いいところは変わらない。

2010年代に多くの優秀な人たちに会った。しかし読者の皆さんに紹介できる人は少ない。自信をもって紹介できるのはTJとグリーファンドの筒井鉄平氏の二人。この二人間違いない。彼らはわたしよりも10~20歳年下でもある。特に大学生の読者の皆さんはお手本にしてほしい。