見出し画像

海外ではレストランでなくフードコートで食べる

30年前にアメリカから帰国して外資系企業で働き始めた。外資というのは転職はつきものでわたしも何回か転職をした。転職の度に不思議と海外出張にいかせてもらえた。1週間から2週間におよぶ出張が多かった。会社から行かせてもらっただけではない。家族を連れて海外旅行をした。家族の都合が悪くていいけない時にはひとりでいった。身軽でいろいろなところにいける。

行き先はアメリカが多かった。出張を含めると50回以上はアメリカに行った。その中でもカルフォルニア州が多かった。サンフランシスコとロサンゼルス。まず天気がいいこと。日本人をはじめとしたアジア人が多いこと。そのため中華料理、韓国料理、そして日本料理をレストランで食べることには不自由がなかった。

あるおしゃべり会でこんな話題がのぼった。海外旅行をしているときにレストランに行く。そこでメニューを見る。メニューには写真が載っていない。どういう料理が出てくるのかわからない。日本のレストランでは大抵、写真付きで料理が紹介されており、写真を見ながら注文をする。写真のないメニューからどうやって注文を出すのだろうか。そんな話題であった。

わたしは黙って聞いていた。たがこんなことも考えていた。日本人旅行客はアメリカではレストランに行かない方がいいだろう。理由は以下のとおりである。

まず料理の内容がほとんど理解できない。どのような料理が出てくるのかは注文をしてみないとわからないからだ。注文をして料理が出てくる。すると考えていたものと違うというものはよくある。例えばステーキレストラン。

ステーキレストランでは前菜を注文する。飲み物をオーダーする。それからほとんどの場合、サラダを注文する。そうしてメインのステーキを注文する。このステーキというのが並外れて大きい。そのためサラダでお腹がいっぱいになったあと、ステーキは食べきれない場合が多い。

ようやくステーキが食べれたとしよう。残してもよい。しかしその後にデザートを注文するのが普通だ。アイスクリームがとんでもない量で出てくる。それを食べつくすのがステーキレストランでのお決まりの食事である。これは現地にいてわかっていないと注文できない。

次にお金を払うときである。アメリカのレストランは値段が高い。しかもチップを払わなければならない。それを理解している日本人が少ない。料理の合計に対して15~20%を上乗せして支払わなければならない。$100であれば$20(日本円で2800円)を上乗せする。そういうことをしない日本人が多い。これは大変失礼なことだ。

チップというのはどうしてあるかというとレストランで働くウェイターやウェイトレスのためにある。彼らは厨房から料理を持ってきて、客が食べ終わるとお皿をかたずける。そういった低賃金労働者である。そのひとたちのための心付けとしてチップがある。レストランというのは贅沢な場所であって、お金に困っていない客が贅沢な時間を過ごすところである。そういうことから店側、労働側、そして客側で合意形成ができているのだ。

それを理解しないでチップを支払わないというのはいけない。レストランというところで食事をするということを理解していない。

最後に一般的にレストランというところはローカルのひとがいくところであって旅行客がいくところではない。日本人の場合はツアーであれば別であろう。企画の人たちが連れて行ってくれる。そういうところのレストランであれば問題がない。

ところが自分で何でもできるからといって適当に探してレストランに行くというのは感心しない。ローカルのひとたちがゆっくりと団欒をしながら、食事をとって贅沢な時間を過ごすところがレストランである。そういったローカルのひとたちの迷惑になるようなことを日本人はしない方がいいだろう。

ではどうしたらいいか。

ショッピングモールにあるフードコートにいくのがよい。サンフランシスコやロサンゼルスでは大きなショッピングモールがある。そういったところをネットで検索してみる。するとほとんどの場合にフードコートがある。

フードコートにいってみると店舗には写真が掲げられている。そのためどんな料理が出てくるのかはわかる。それだけではない。実際に係のひとたちがどの料理にしますかとたずねる。できあがった料理を見ながら注文できる。選べばいいだけだ。いちいち料理名をいうことはせずに番号でいうところもあり基本的な注文はできる。

中華料理であればパンダ・エクスプレスというのがある。順番が来ると注文をする。番号をいう。そして料理を2~3選ぶ。チャーハンか焼きそばのどちらかを選択する。スープをつけても15ドルくらいであろう。

しかもチップを払う必要がない。料理を受け取ったら空いている席について食べればそれで食事がすむ。ただし、順番を待っている人が多い場合は注文でまごまごしていてはいけない。簡単に注文を済まそう。

アメリカではできるかぎりレストランにはいかない方がいいだろう。行く場合は現地で知っている人がいて、その人とゆっくりと話をする場合にはいい場所ともいえる。ほとんどの利用者が1時間以上かけてゆっくりと食事をするところがレストランである。

旅行客においてはレストランは向いていないだろう。むしろフードコートで気軽に食べた方がいいのではないだろうか。時間の節約にもなる。