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鳥山明さんは偉大な漫画家

わたしは小さい時から不思議と漫画には興味を示さなかった。小中学校に通っていた頃に手にしたコミック雑誌は少年ジャンプと少年チャンピオンだけだった。買って読むこともしなかった。中学では部活でバレーボールをしていた。ボールを追っかけることばかり。練習でうまくなろう。そして試合に出よう。そうやって過ごした。

高校に入ってからも漫画は遠ざかっていった。バレーボールを続けていたこともあった。大学に入ってからは単行本を読むくらい。熱をあげた漫画というのは全くなかった。東京で働き始めてからはわたしと漫画本は絶縁になったといってもよい。

それは家と会社の間で使う電車の中での光景が原因だった。特に仕事で疲れて帰る途中のこと。それでも仕事の事が気になりまじめに本を読んでいた。

帰宅には常磐線快速電車に乗る。日暮里駅から北千住駅を経てさらに千葉県東葛地区へと進む。その間の20~30分。疲れ果てたサラリーマンの人の様子がわかる。しゃくしゃの新聞が目に入った。読んでいるのは4コマ漫画らしきもの。わたしはこの光景がどこか耐えられなかった。

東京で働くサラリーマンは大人になっても漫画を読むのか。けしからん。漫画は働く人たちを堕落させるのではないか。そう勘違いをしてしまった。なぜもっと文字を読まないのだろう。そこからどうして想像力を使わないのか。そういったところが気になってしかたがなかった。

鳥山明さんがなくなった。68歳。また日本から偉大な漫画家がいなくなった。そう記事に載っていた。ある読書会でその記事について少しだけ話す機会があった。

わたしは漫画には詳しくはない。そのことだけにはまずここで触れておこう。これから書くことは素人の見立てに過ぎないこと。最初にお断りしておく。さてどういう記事かどうかはともかく、いつものようにどんな点を話したかということだ。

3つある。ひとつは鳥山明さんは偉大な漫画家だったこと。その理由はドラゴンボールシリーズによるということ。その前のドクタースランプのアラレちゃんは国内だけでしか知られていなかった。その後、少年ジャンプでドラゴンボールを掲載。すると海外にその名は知られるようになった。ではどこが彼の漫画家として偉大な特徴なのだろうか。

それは次の点になる。彼はデザイナーなのか、それともストーリーの語り手なのか。彼はもともとデザイナー志望だった。デザイナーを目指したがうまくいかなかった。しかし漫画を描くことで成功した。そのきっかけがペンホルダーだったという。いつも近くにあった。

14歳で書き始め23歳で週刊少年ジャンプに採用された。ドクタースランプは3500万部を超える記録を打ち立てた。1984年にはアラレちゃんを描くことはやめてドラゴンボールを連載した。これが国際デビューとして成功した作品だという。彼のキャラクター・デザインはすぐれたものとして認める。

ただストーリーとしてはどうなのか。ここは意見が分かれるところかもしれない。ストーリーの語り手がペンケースを50年以上も手放さずにおく。やや違和感がある。デザイナーであればそういうこともあろう。彼はデザイナーとしても語りてとしてもすぐれていたのかもしれない。そこが知りたいところだ。

最後はこんな話だった。日本の偉大な漫画家は3人いる。そういうことをいったひとがいた。宮崎駿さん、手塚治虫さん、そして鳥山明さんがあげられる。果たしてこの偉大な3人に対して皆さんの賛否はどうであろうか。

宮崎駿さんは間違いないであろう。彼の作品は日本のマンガ史には永遠に語り継がれることになる。これは確実だ。特に彼の作品の中でも千と千尋の神隠しはとびぬけている。あの主人公は女の子の心境を描いたものとしては比類のないものである。ストーリーとしても際立ってすぐれた作品といえる。

では手塚治虫さんはどうか。鉄腕アトムは比類がない。あの当時にあってあれだけの想像力はありえない。子供たちに夢と希望を与えた作品である。わたしは鉄人28号というものが好きだった。けれども鉄腕アトムは抜きんでている。あのデザインとストーリーは誰でも引きつけられる。

では鳥山明さんがつくったドラゴンボールはどうだろうか。

わたしはサラリーマン生活25年、大学講師として10年。合計35年に及ぶ勤務で漫画というものを一切読まなかった。

まあ、息子も漫画は読まないだろうと高をくくっていた。ところが息子の部屋を見ると漫画本があるはあるはでびっくりした。

ワンピース、スラムダンク。タイトルをあげたらきりがない。なんということだ。わたしが稼いだお金が漫画本の購入に充てられていたとは。けしからん。

しかし息子は小さい頃から漫画本に接していたせいだろうか。ストーリーやデザインには少しだけ感覚はいいようだ。ディズニーやハリウッド映画をよく見る。しかもよくキャラクターの形状を細かく観察できているようだ。ストーリーとしても申し分がない。

漫画本はデザインがすぐれているものがある。どうやらわたしはそこに気づくことがなかった。単なる余暇のくだらない時間の過ごし方と勘違いしてしまった。