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芸者文化を守り抜く

ちょっと前に芸者について書いた。この100年で急減し全国に8万人いた芸者さんは80分の1になった。いまは東京浅草と京都を合わせてたったの千人しかいない。この状況を描き、今後どうしたらいいか。私の意見はこのまま死に絶えるかもしれない。それはしかたがないではないか。そんなことを書いた。理由としてはこうだ。

まず芸者さんのイメージとして性的なサービスをする舞子さんというものがついてしまった。いまや伝統芸を振舞うというエンターテインメントではない。次に10代の女性のすることとしてクールとはいえない。さらには芸者にならなくても他にたくさんの選択肢がある。そういったことを理由に絶滅を許すようなことを書きました。

1週間が経ちあるオンラインイベントで芸者をとりまく背景を簡単に説明して参加してきたひとに意見を聞いてみた。結果は驚くことに芸者文化は守り抜いた方がいいということだった。

参加者はわたしを含めて4人。ひとりは引退した男性。あとはミドルの女性2人だった。わたしはいつものごとく静かに耳を凝らしていた。

まず女性が意見をいった。守り抜くべきだ。守り抜いた方がいい。というのは芸者というのを間違ったイメージとしてとらえてしまっている。もともとはお金持ちの人たちに芸を振舞ってその対価としてお金をもらう。それで生計をたてて、日本の踊り、歌、エチケットを正しく習得する。こういったことはこれからも必要である。そうでなければだれも他にそれをやる人がいなくなる。そういう意見だった。

わたしは聴きながらこう考えていた。確かにお金持ちの人たちを楽しませる。そういった要素が強いであろう。とくにいまではキャバクラ嬢のようなひとたちが芸者に代わってサービスを提供するようなこともある。どことなく、いやらしいことをする人たちではないか。

芸者のように伝統的なエチケットを守りながら舞や歌を通して楽しませる人たちは残した方がいいだろう。芸をしたあとのサービスはどうなるということはあるけどそれを問うているわけではない。

そこへ男性が意見をいいに入ってきた。伝統は守った方がいい。それは芸者が日本の文化を継承している。舞や歌を習得した。そういったスキルは他では身に着けることができない。これからもお金持ちのひとたちがそういった芸者を支援する。特に金銭的な支援をすることが大事である。

わたしはこう考えて聴いていた。確かにそうである。しかし現在、芸者さんは昔よりも舞によってサービスをする時間は短くなった。1回のサービスでその報酬は8千円くらいだという。これでやっていけるのだろうか。やってはいけないだろう。

それでも意見をいった二人は芸者文化を守り抜いた方がいいという。わたしのその意見にちょっと傾きかけてきた。そこでいった。最近では芸者さんがサバイバルのためにいろいろなことを工夫している。ある芸者さんはズーム飲み会を催したりする。別の芸者さんはクラウドファンディングを使って資金集めをしている。これはどうなのか。

すると二人はクラウドファンディングはいいことではないか。賛成する。そういった反応であった。わたしは日本で100年以上伝わる伝統的な芸者を守るためにクラウドファンディングというのはいかがなものか。クラウドというのはインターネットとスマホのことである。いくらなんでもちょっと伝統芸にふさわしくない。懐疑的になってしまった。

1週間ほど前にわたしは確信をもって息絶える芸者のことを書いた。しかしこうやって強く伝統を守るべきだという意見を聞く。やはり守った方がいいのではないかという意見にややシフトした。そんなこともあってこの文章を書いた。

さてこれを読んだ大学生の読者の皆さんはどう思うか。この問題に対してどのような意見をお持ちであろうか。芸者文化は維持すべきなのか。ほんとうに若い女性が芸者になることはクールなのか。もし関心があるようであれば友達と都内のどこかで話をしてみてください。