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LGBTの理解と懸念

30年前にアメリカのビジネススクールを卒業。帰国して渋谷にある日本コカ・コーラに就職した。就職前にコカ・コーラ社からひとつだけ受けてほしいテストがあるといわれた。血液検査である。なんのために検査を受けるのか。問い合わせをするとAIDSに感染していないかどうかであった。結果は陰性であった。

ビジネススクールの授業で組織行動と人材育成という授業をとった。その中にアメリカにいるいろいろな人種や信条を受け入れなければならない。職場では差別をしてはいけない。そういったことを学ぶ。加えて当時感染が広がっていたAIDSに対しても正しく理解をして差別をしてはいけない。そういうメッセージがこめられていた。ただしMBAのクラスメートはほとんど関心をもっていなかった。


オンラインイベント終了後

あるオンラインイベントでLGBTのひとたちに対して新しい技術を使って同性婚者であることを証明する事業を紹介していた。イベントには35人くらいの人たちが集まってきた。皆熱心に聞いていた。わたしもそのひとりであった。

行政の手続きを経て同性婚を証明する。そうすると勤務先から福祉をうけられるようになるにはかなりの時間がかかってしまうという。それがひとつの足かせになって同性婚者の労働に悪影響が出ていることが懸念されている。その問題を解決するための取り組みである。

わたしはAIDSに対しては大学院で学んだことがあるため理解はできる。しかしながらLGBTのひとたちが職場でどのような差別を受けているのか。それによって仕事のパフォーマンスにどのような影響が出るのか。そのようなことはあまり考えたことがなかった。ではLGBTのひとたちを理解するにはどうしたらいいのだろうか。

ある本にビジネススールで行われているちょっと変わった取り組みを紹介しよう。その本はハーバード大学ビジネススクールを卒業したイギリス人が2006年に書いたものである。2009年に翻訳され出版された。そこに大学院生に対して理解促進のためのイベントがあるとのことだった。

本のタイトルは「ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場」。著者はイギリス人のフィリップ。監修には岩瀬大輔さんの名前が載っている。

LGBT理解のためにハーバード大学ビジネススクールでは仮装パーティーが行われているとあった。パーティーで男性は女装をする。例えばバニーガールの衣装を借りてきてパーティに出席をする。女性は男装をする。タキシード姿にでもなるのだろうか。いずれにしても仮装するのだという。わかりやすく描写されていた。

わたしは参加したイベントを主催しているグループの代表がハーバード大学ビジネススクールを卒業したことを知っていた。そこで彼にそのことを質問してみた。ほんとうに仮装パーティーが行われているのか。回答としてはそういうパーティはなかったそうだ。

おそらくは著者のフィリップが卒業をした2006年からは年月が経過していること。代表が卒業したのは2013年。すでに仮装パーティは消滅したのではないか。そのように想像している。

いまアメリカではLGBTを含めて職場における人権擁護の関心がとても高まっているという。いろいろな差別を職場でしてはならない。差別をすれば訴えを起こされる。何度も聞いていることである。

このようなテーマのイベントに対してわたしはひとつの考えを持つに至った。差別はいけない。絶対にいけない。差別をして訴えられれば法の下に賠償をしなければならない。そこには賛成をしている。

ただし差別をしてはいけないのであって多様な性的嗜好をプロモーションする必要はないと考えている。つまり職場でLGBTを拡散する活動まではしなくてもいいのではないか。渋谷区では10%くらいのひとがLGBTだとも聞いている。ただ渋谷区でLGBT雇用を20%にしようというような促進まではすることはないのではないか。

差別はいけない。そういった警告は必要であろう。LGBTを理解する。ただそこから必要以上にLGBTを正当化して多様な性的嗜好が望ましいというところまで広告することはない。あくまでも法の下での組織行動を理解する。そういった立場をとることにしている。

イベントの中にLGBTへの政府に代わる証明の発行に千葉県市川市が参加しているというのがあった。おそらく市川市や浦安市といったところはこのようなリベラルな活動には抵抗がない。というのは浦安市にはディズニーランドある。ディズニーはアメリカのロサンゼルスにあるリベラルな会社である。

浦安市にはディズニー社と契約をしているオリエンタルランドがあって市に対して法人税を納入している。その代わりにディズニー社からLGBTを理解するようにと圧力がかかっているのであろう。なんらかのロビー活動が行われている。アメリカからディズニー社を通して弁護士が日本に派遣されていたとしても不思議ではない。

30年の時を経て職場にも人材の多様化が進んできている。AIDSについては感染が広がらず話題にもならない。もはや取り上げらることはない。ただLGBTはホットな話題になっている。特に東京にある金融機関やIT企業ではこれまでのように日本人単一同族であることから路線を変えようとする動きがある。多様な性的嗜好を取り入れようとする動きが広がっている。

差別なき職場。性的嗜好を正しく理解する。仕事のパフォーマンスで評価をして報酬を与える。社会福祉の受け取りも差別なき社会にしていく。そういった取り組みの紹介であった。

イベント開催報告受領後

オンラインイベントの主催者から報告があった。わたしは感想文を送付した。

開催報告ありがとうございました。以下、感想文を送付します。

わたしが30年前にジョージア工科大学で授業を受けていたころの話からはじめよう。組織行動の授業でAIDSにかかった職員の話をとりあげていた。職場で差別はしてはいけない。そういう結論の出るケースを使った。クラスではまったく人気がなかった。ただ、いっしょにアメリカに来た女房はアメリカの女性解放運動に関心があった。安いアパートで2年間独学していた。わたしよりも背景を知っている。そのためかわたしの家では男性優位論は存在しない。この優位性は日本古来からある公式の儒教的な考えのはずだった。いまでも女房が実権と財布を握っているという家庭生活の現実がある。女房による中央集権化である。

Web3の話が出たときにわたしは中央集権化の話が出るのではないかと予想した。仮想通貨は中央銀行の集権化を弱める動きであろう。そしてその流れの一つで弱者の救済として同性婚に目をつけたこともうなずける。仮想通貨の発行と同性婚の証明書発行には類似性がある。

職場ではLGBTへの理解が進んでいる。その違憲性と差別行為撤廃に向けての動きがあり、企業活動に与える損失というものも指摘されはじめている。わたしは日本国憲法を学び、その違憲性の判例を詳しく読んだことはない。この機会に学びなおしをしようと考えている。また、職場では差別行為というのはどのように行われているのか。どんな差別行為があるのか。よく知らない。それによりLGBTのひとたちがどのような被害を受けているのかという証言やデータが手元にはない。HBRのある記事では被害により年収1割程度の金銭的損失を受けるという調査報告があった。

一方でどうしても疑問点があった。課題解決、人事部、そしてビジネススクール。その3点です。

まずこれは一体何を解決しようとしているのか。対象としているLGBTはどういうひとたちなのか。LTGTは東京で働いている。どのくらいいるのか。渋谷区では8~10%と聞いたことがある。そういうひとたちがビジネスをしていく上で何に困っているのか。今回の話ではビジネスをしていない一般のLGBTのひとたち、学生や公務員も対象にしていたのではないか。

次に企業における福祉負担増はどのくらいになるのか。健康保険、年金制度、優遇税制、または移民の問題。人事部への業務負担増につながらないか。人事や経理を敵に回すという懸念。やっかいなものをもちこんできたなと思われることはないか。それにより業務上の負担と金銭的負担が増える。

最後にご紹介したように「ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場」の中にある。ハーバードではLGBT理解のために男装・女装の合同パーティをしていたと書かれている。この本は岩瀬大輔氏の監訳で出版されたもの。主催者によるといまはそういったパーティはないとのこと。しかし以前はされていた。高い学費を出して大学院生が仮装パーティをしていた。北東部のビジネススクールは風変わりではないのか。そういった疑義がかけられる恐れがある。別に悪いことではない。ただそういった要素を職場に持ち込むことで危険な前例になりはしないか。むしろMBAをとったことで職場から逆差別をうけることはないか。そこまでのリスクを背負ってMBAがやるべきことなのか。どちらかというと弁護士のような法律に詳しいひとがやればいいのではないのか。

こういった疑問と懸念はあった。しかし写真に写った参加者を見るとそうではなかろう。正義をつらぬき、やりぬくだけの意義はありましょう。この会が100回を迎えるころ、わたくしの女房を含め、ニューヨークの美しいご婦人の方々が「イエス・キリストは実は女性であった」といいだしてもわたしは驚かない。願わくばビジネススクールにいって以来30年以上続く家庭内で中央主権化。これが少しだけ分権化されること。日常の洗濯を優先するのではなく、もう少し自由に服を選ばせてくれないのか。わたしにも都内に出かけるために気に入った服があり、色と生地へのこだわりはある。そして長男がコロンビア大学かNYUのビジネススクールにいくといいだすのではないか。それを考えると眠れない暑い夏が続きそうです。