見出し画像

杜潤生「社会の発展進歩には制度の創新が必要」2000年7月18日

這是作者在中國體制改革研究會召開的“創新座談會”上的發言。《浅談創新 2000年7月18日》載《杜潤生改革論集》中国発展出版社,2008,pp.145-151,esp.149-151)
p.145  1.  理論、制度、技術のイノベーション(創新)は、国家と社会の発展進歩にとり必備の内在条件である。イノベーションがなければ、停滞落伍するばかりで歴史的には淘汰される運命である。(中略)
p.145  2. 3つのイノベーションのなかで制度のイノベーションがカギだ。イノベーションを推進するには、適切な制度環境中で奨励(激励)を得ることが必要である。歴史が証明するのは、そうした社会では民主が発揚され、自由が尊重され、財産権が明確で法律により保護(保障)されている。こうした社会では不断のイノベーション力が得られ、技術革命や制度の変遷を先導している。
 西欧で英国、オランダなどが近代資本主義の発祥の地となった。米国は今世界で経済がもっとも発達した国家である。マルクス主義が欧州でうまれ、多くのノーベル賞受賞者が米国に出現していることと、欧米で古くから民権や自由が尊重(伸張)され、財産権が明確であることは無関係ではない。
(中略)
 p.146  3.  国家の主権は民にある、すなわち民主である。民主と自由は不可分で、自由は自主であって得られる。民主と自由の存在と発展は長期の文化が生成する過程であり、歴史運動のなかで文化的なものが蓄積凝集したものである。中国は封建専制主義で長期にわたり統治された国家であり、また民主自由の伝統が欠乏した国家である。封建秩序を全力で破壊すると同時に、民主を発揚し自由を尊重することが必要である。(中略)今日経済体制改革を深化すると同時に、政治体制のイノベーションを忘れることはできない。
(中略)
p.147  6. 社会主義学説は西欧(西方)で生まれた。革命実践を通して、国家の社会制度となった。しかし西欧の資本主義先進国家には現れず、資本主義の辺境地帯にある東方国家、ロシア、中国、ベトナム、ラオス、朝鮮などの経済後進国家に出現した。
 これらの国家が実行した社会主義モデルは、一つの例外なく、生産手段については、高度に全面的に公有制で、中央集権的計画経済であった。中国において(も)、民主革命が勝利完成し、労働者階級が政権を奪取すると、まず所有制が改変され、”一大二公”(一に大 二に公でただただ大きな人民公社が良いものとされたことを反映した標語である 訳注)の人民公社が組織された。”無産階級の独裁(専政)条件下での継続革命の堅持”、階級闘争が最も重要(為綱)と強調し、公有制への集約を目的とする一方、生産関係は生産力の発展段階と必ず適応したものでなければならないというマルクス主義の原理、社会主義は人の自由を全面発展させるためのものであるという最終的要求、これらは無視された。
 市場を封印閉鎖し、権力を高度に集中し、(公有制に)単一化された所有制は生産力の発展に影響し、経済成長は緩慢になり、生産者を刺激するメカニズムが欠けただけでなく、「大鍋飯」を食べたり(組織に依存して飯を食い、効率や成果を問題にしない 訳注)、搭便車(フリーライダー 自分は仕事をしないで時間をつぶすなど 訳注)、 權錢交易(権限をカネでやりとりすること 訳注)など本来避け得た問題(弊端)が生まれた。(中略)
p.147  7. 長期の角度から仔細にみると、社会生産力がなお資源が無限に湧き出るまでは発展しておらず、人類の不断に増加する要求を満足させるに至る前においては、人類の財産観念は消失できない。それゆえ、異なる歴史段階において、ことなる生産資料(手段)所有制構造が作られても(いずれにも)公有制と私有制の区分があり、商品、市場、資本、こうした経済範疇がある。
p.148  これらの範疇の存在は、我々の国家の社会主義性質を改変はできない。この歴史条件のもとで、人民大衆に一定の個人財産を保有を認め、財産権を分配することは、工業化の原始蓄積に役立ち、社会の安定を保持する。
   社会主義は資本主義のさらに発達した生産力の基礎上にのみ建設できる。それゆえに特定の発展段階において、私有成分を利用して社会主義を構築する生産力の条件を整備することは必要だ。これは経済的に遅れた国が、搾取の消滅に向かい、両極分化を避け、共同富裕を実現するため、一定の過渡時期に経過する必要があり、それはまた長い時間を要するするもので、あせってはならないことである。中国では毛沢東が、新民主主義社会を通過して社会主義に至ることを提案した。これは理論的イノベーションであった。しかし残念なことに、この過渡期は早期に打ち切られ、以来経済発展は歪曲されることになった。
(中略)
p.149  13. 政治体制のイノベーション。経済改革は政治改革が人文(文化あるいは個人の価値   訳注)の保障を提供していることと不可分(依頼)である。人民代表大会制度を最高権力機関とし、人民が主人であることを十分体現させるべきである。人民の基本的権利にとって、社会平等権、生存発展権は、法律上の物質的保障を与えている。このほか、国家の各政治組織の相互牽制メカニズム、は過度の集権を防ぐことになり、以後各クラスの指導者が政策を決定するうえで、誤りや損失を防ぐことにつながる。
 党の指導は必ず堅持せねばならない。党指導の改革は必ず自身も改革せねばならない。腐敗の根絶は大衆の望む所である。(腐敗を)根治するには、あまりにも多い具体経済事業の審査批判事務から距離をとり、重大な政策の制定に精力を集中して、政治指導と政治監督に重点を置くことである。
 わが国の深く長い封建(主義の)伝統が、全民族の発展の活力を束縛していることからすれば、民主法政を推進することをさらに重視し、人の全面的発展を目標に(以人爲本),人権を保護し、それぞれの方面から権利侵害行為を制約する。政府工作は透明度を保つべきで、できる限り政(まつりごと)に人々を参加(吸引)させて地方自治を遂行するべき。農村住民と少数民族の政治への参加(参政)し議政する能力(政府の方針などに対して意見や建議を行うことを指すようだ しかしこれは意見や建議を受け入れる政府の姿勢が前提であるようにも思える 訳注)を高めるべきだ。
 現代の民主国家は、古代(中国では19世紀半ば以前を指す 訳注)の封建帝国と一条区別される主要な特徴(標志)は人民の自らの意思による(自願)権利の選択を尊重することだ。マルクスは言ったことがある。「人の本質は一人の人に固有の抽象物ではなく、その現実性のなかにある。それはすべての社会関係の総和である。」人は単純な自然人でなく、社会人である。社会人を作るに、彼らが求めることは多方面で、物質的なこと、精神的なこと、交際範囲のこと、生産労働のこと、休息娯楽のことなど。求められることを満たせるかは、各個人が既定の環境条件の下で組成する社会化実践を通してであり、客観世界を改造し、常にイノベーションを実現することを通じてである。個人の発展が求めているのは、この求めを満足させるために払われる努力が、その他のすべての人の尊重を受けるべきだということであり、(その)個人もまたその他すべての人の発展を求め努力することを尊重するべきである。このためまず必ず階級による圧迫と搾取は排除されるべきであり、これはまさに共産党人が共産主義の実現のため奮闘する意義が存在するところである。
 14.言論の公開(の自由 訳注)。”言論の自由”は憲法が人民の権利として賦与している。毛沢東主席は1961年の”七千人大会”でかつて力を込めて”人々に発言させること(讓人講話)”を提唱した。主旋律は、もし異なる意見があれば討論し議論すればよい、と提唱すべきで、これは(政権に対する 訳注)民主監督の当然の代価で、かつ人類が認識水準を高めると必ず通る路というものである。思想が活発なのは良いことで、熱情は歓迎されるべきで、封殺は良くない。実践は真理を検証する唯一の道(標准)である。これは十一届三中全会で論争を経て明らかにされた重大な命題である。マルクス主義の主旋律を確立することと、民主自由を発揚すること(の間 訳注)には、なにも矛盾は存在しない。両者は互いに補いあえるものである。堂内が様々な意見であふれるのがいいか、一つの意見だけなのがいいか(是群言堂好,還是一言堂好)。毛主席は前者を唱道した、マルクス主義者は議論を恐れない。
   わが国の人民の第一の要求は発展であり、生存であり衣食が満たされることで民主ではない、という言い方がある。これは発展権の含意を狭く解釈している。現代の人々の生存権以外に要求としてそのほかの基本的権利の要求を低く評価しており、経済成長と社会進歩とを分裂させる思考形式である。
 (以下略)

#杜潤生   #新民主主義  #政治改革 #人民代表大会 #両極分化
#言論の自由   #イノベーション  #創新 #民主 #大鍋飯
#一大二公


main page: https://note.mu/hiroshifukumitsu  マガジン数は20。「マガジン」に入り「もっと見る」をクリック。mail : fukumitu アットマークseijo.ac.jp