対外対内証券投資の状況 2014-2019
(2020年6月5日追記)
ここではこの6年間の売り買いの差額であるnetの数字を見る。
居住者の対外証券投資は非居住者の対内証券投資に比べ2倍以上、また対外直接投資は対内直接投資に比べ5倍以上の規模を維持している。つまりこの間の投資資金のフローは国内から国外へである。(対外直接投資の規模が一貫して増加したことも注目される。)以下注目した点を述べて置く。
株式投資については、非居住者の投資は流入と流出を繰り返している(2016年と2018年は大流出、それ以外は流入超過)。しかし居住者は一貫して流出である(2015年が大きく、2016-18年は10兆円前後の規模、2019年急減)。つまり、日本から海外への株式投資がこの間、netで増え続けたということである。
債券投資のうち、2016年と2019年は中長期債が増えて短期債が減るパターンが居住者、非居住者のいずれにも見られる。金利が高い中長期に資金がシフトしたことがうかがわれる。
居住者の対外債券投資は、中長期債投資に偏っている。これは国内の低金利のもとで、少しでも高い利回りを求めて外国債券の中長期債が選好されていることを反映している。これに対して非居住者の対内証券投資には、そこまでの偏りは認められない(2015年、2017-2018年には短期債投資がかなり増えている)。非居住者が低金利の短期債を一定買っていることは不思議でもあるが、これは債券そのものの利回りは低くとも、外貨を売ることで入手できる手数料で、収益が取れるためとされている。
居住者対外証券投資 net 単位:億円 暦年
株式 中長期債 短期債 合計 cf. 対外直接投資
2014 66,322 45,158 11,006 122,486 146,622
2015 201,614 164,508 3,707 369,829 167,591
2016 90,683 246,902 -10,514 327,071 193,502
2017 113,067 -6,427 7,958 114,598 195,262
2018 101,129 103,713 3,452 208,354 174,957
2019 28,909 185,194 -12,708 201,396 271,798
非居住者対内証券投資 net 単位:億円 暦年
株式 中長期債 短期債 合計 cf. 対内直接投資
2014 37,662 122,799 10,355 170,816 20,745
2015 13,280 98,970 97,284 209,535 6,272
2016 -51,311 87,745 -5,859 30,575 44,915
2017 18,380 108,691 44,039 171,110 21,144
2018 -45,374 72,355 80,845 107,826 27,168
2019 34,225 122,792 -48,959 108,059 40,593
資料:財務省
#財務省 #対内対外証券投資 #直接投資 #株式 #国債
#異次元金融緩和
main page: https://note.mu/hiroshifukumitsu マガジン数は20。「マガジン」に入り「もっと見る」をクリック。mail : fukumitu アットマークseijo.ac.jp