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Ronald H. Coase 1910-2013 (2)

ロナルド・H・コース By L. Lynne Kiesling
Cited from essentialscholars.org

Ronald Coase(1910-2013)は20世紀の最も影響力のある経済学者のひとりだった。彼の影響は主として二つの出版物による。彼のノーベル賞発表において、わずか二つだけが引用された。企業の本質(The Nature of the Firm)”(1937)と"社会費用の問題(The Problem of Social Cost)"(1960)である。これら二つは経済学で最も引用された業績でもある。これら二つの仕事でコースが発展させた考え方は、経済学、法学、経営学、政治科学において、全く新しい調査領域を切り開いた。そして市場を電波の周波数配分に用いることについての彼の論文(Coase 1959)との組み合わせは、新たな市場設計の理論と慣行を生み出し、我々の社会の転形や、変革とデジタル化の進展を助けている。
 Coaseの理論、分析、説得のスタイルは叙述的で事実主導型である、経済学における標準物(the norm)に比べると形式は全く整っていない(much less formal)。Coaseはその研究人生(career)を、経済活動の取り決めにおける深い知識が必要な複雑性を明らかにする、単純な質問を疑い深くdeceptively問い続けることに費やしたーなぜ企業は存在するのか。なぜ我々は周波数のような希少資源を規制ではなく市場を使って配分しないのか?資源をめぐる人々の争いは取引や契約により解決できるか、あるいは政府の規制が必要か?灯台は政府による提供が求められる公共財なのか?耐久財の独占企業はいかにその産出価格を決めているのか?
 Ronald Coaseはロンドン郊外のWillesdenに1910年12月29日に生まれた。1932年に商業学学士号を得て卒業したロンドン大学在学中に、彼はSir Ernest Cassel Travelling Scholarshipを得た。このScholarshipは彼に、合衆国への旅行、1931年から1932年Frank KnightそしてJacob Vinerとともにシカゴ大学での研究、そして生産がいかに組織されているかを学ぶためのいくつかの工場への訪問を可能にした。とくにフォードとGeneral Motorsの工場への訪問は、彼の最初の論文”The Nature of the Firm”(1937)の経験的基礎を提供した。彼は最初英国で教え、それから彼の学術キャリアは彼を合衆国に異動させた。Virginia大学での数年間の後、彼はキャリアのほとんどを(1964年から)シカゴ大学法学部で過ごした。そこで彼はJournal of Law and Economicsの編者も務めた。
 彼は1991年に「経済の制度的構造と機能にとっての、取引費用と所有権の重要性を、発見しかつ明確化した貢献に対して」ノーベル経済学賞を受賞した。
 コースは一貫して彼が黒板経済学ー経済活動の背後に存在する相互行動と関係の現実の構造には基づかず、明確に限定された条件の下での最適化されたモデルに焦点を合わせた経済理論へのアプローチーと呼んだものの批判者だった。多くのやり方でコースは、これは何が経済学ー相互の便益のために人々が生産と経済活動を組織する様々なやり方ーであるかを見失った無内容な理論化であるとした。
 コースは2013年9月2日に亡くなるその日まで、執筆と仕事を続けた。



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