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西川純子・松井和夫「アメリカ金融史」1989

 有斐閣選書である。今回紹介にあたり西川純子さんの執筆部分である第一部の冒頭3章を読み返した。西川さんは本書刊行時点では都立商科短大教授、その後、独協に移り、すでに今は退職されている。松井和夫さん(1935-2004)は当時、日本証券経済研究所主任研究員で、活発に執筆されていたが、その後、大阪経済大学に移られ2004年に早逝された。本書は日本人の手になるアメリカ金融史の通史として刊行当時広く読まれた。なお本書の中で資料として使われている文献は、私自身読んでいたものが多い(写真は増上寺山門。山門右奥に霞んで見える特徴ある外観を持つビルは愛宕ヒルズMoriタワー。2020年1月24日)。
 西川さんの冒頭部分を読み返して改めて幾つかの論点を意識したが、ここであえて二つだけ上げて置く。
 一つはコルレス制度(correspondent banking system)の意義である。銀行間預金の仕組みであり、これは相互決済の仕組みともなったのだが、この制度が単位銀行制度(unit banking system)というアメリカの銀行制度の弱点を補完していたという点である。もう一つは、法の規制の外にあった個人銀行が、結果的に規模を拡大して、大企業向けの投資銀行(investment bank)として成長してゆくという流れである。 

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#歴史 #増上寺三解脱門

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