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毛沢東と劉少奇 対立の発端 1959-62

席宣 金春明《“文化大革命”簡史 第3版》2006年
魯彤 馮來剛 黃愛文《劉少奇在建國后的20年》遼寧人民出版社2011年
陽雨《“大躍進”運動紀實》東方出版社2014年
黃崢《風雨歷程:晚年劉少奇》人民文學出版社2018年    等

 もともとは毛沢東の後継者として、毛沢東自身が認めていた劉少奇がなぜ転落したのか。1959年4月27日。全国人民代表大会の選挙において、劉少奇は中華人民共和国主席に選出された。かねて毛沢東は国家主席を再任しないと、1956年の中共八大前から明言していた。こうして国家主席のポストは、劉少奇に譲られた。
 また1961年9月23日、来中した英国のバーナード・モントゴメリー(1887-1976  ノルマンディー上陸作戦でアイゼンハワーと主導権を争ったことで有名な英国軍人)と会見した毛沢東は、モントゴメリーに後継者は誰かと問われて、当然、党の第一副主席であり劉少奇だと即答している。
 また毛沢東選集第四巻の編集が終わると、毛沢東は劉少奇選集の編集出版を繰り返し提起し、ついに1960年には中共書記所はこの提起に同意、編集グループが組織されている。
 このような1959‐61年の情況は、二人の信頼関係を示しており、やがて毛沢東が劉少奇への不信感を高めたことをうかがわせる点は、一見、見当たらない。私は転機は1962年前半ではないかと考える。
 1962年1月11日に始まり、終わったのは実に2月7日。北京の人民大会堂で、全国の幹部を集めていわゆる「七千人大会」が開催された。歴史的にもっとも大きな中央工作会議である。劉少奇はここでの報告で経済困難の原因について、三分は天災、七分が人災とした(これは毛沢東を立腹させた可能性が大きい)。これに対して、まさにそこで林彪は、経済困難の原因はわれわれが毛沢東の指示にまったく従わなかったことにあり、毛沢東思想は正しい、と毛沢東を支持する発言をして、毛沢東を喜ばしている。
 そしてこのあとなぜか、毛沢東と林彪の二人は二人とも北京を離れてしまう。そしてこの二人を欠いた形で2月21日から3日間、常務委員会拡大委員会が、中南海西楼会議室で開催される。「西楼会議」では、当面の経済問題に関して意見が交わされている。その結果、陳雲の提案に従い、国務院会議を開いて経済状況を把握して、方針を決定することになった。その国務院の会議は2月26日に開かれている。
 3月12日と13日。再び中南海西楼会議室で政治局常務委員会拡大委員会が開かれた。陳雲の講話、陳雲を財経小組組長にする、などを了承し、翌日、劉少奇、周恩来、鄧小平の3人は飛行機で武漢に飛び、毛沢東に報告し、了承を得ている。この1962年1月から3月の展開。7000人大会での劉少奇と林彪の発言、毛沢東不在で進められ結論を出した西楼会議。このあたりが、毛沢東と劉少奇の分岐を示しているのではないか?
 ところで毛沢東は1962年前半、中共中央事務所主任田家英に、複数の調査組を引き連れ農村部の調査を命じていた。6月末に北京に戻った田家英は、すぐに請負責任制(包産到戸)が農村経済の回復に有効だとの結論に達しており、それを劉少奇に報告した。農村工作部長の鄧子恢は早くから請負責任制を支持しており、陳雲、鄧小平などの同志も同意見であった。
 田家英は劉少奇にこの意見を主席に報告してもいいでしょうか、と質問した。劉少奇はここで、いいよ(可以)と答え、田家英は報告書を作成し、毛沢東に提出した。毛沢東はその場でコメントしなかったが、それは同意していないことを明らかに示していた。のちに毛沢東は劉少奇を呼んで、なんで抑えなかったんだ(爲什麽不頂住)と劉少奇を批判した。ただ実際には請負責任制は農村で広がっていた。
 1962年7月25日から8月24日にかけて北戴河で行われた中共中央の政治局工作会議。ここで毛沢東は再び、階級闘争を強調、農村の集団化を主張、個人経営志向(單幹風)を批判した。8月26日からは実に29日間にわたり八届十中全会の準備会が北京で開かれた。ここでは鄧子恢の個人経営志向(單幹風)、そして長編小説《劉志丹》は、高崗の名誉回復(翻案)をはかったものであるとして、新たな反党集団が名指しで批判されることになった。そして肝心の八届十中全会は9月24日から27日までわずか4日だけの開催であった。(毛沢東は階級闘争路線にかじを切ってしまったようにみえる。)

#モントゴメリー #劉少奇 #請負責任制 #鄧子恢  #毛沢東 

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