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張卓元 薛暮橋回顧録を読む(2) 1996

張卓元 對社會主義客觀規律的成功探索 經濟研究1996年第11期 55-59
(中略)
p.57 暮橋同志のわが国社会主義経済科学建設の貢献はとても多いが、紙幅に限りもあるので、ここではその主要点をただ列挙するにとどめる。
 第一に、比較的早く伝統社会主義理論の束縛を率先突破して、旗幟鮮明に我が国の現今の社会主義経済はただ一種の商品経済そして市場経済として存在できる(只能是)だけで、伝統的計画経済体制を必ず断固として(堅決)改革することを提起(指出)したこと。暮橋同志は国家計画委員会の古くからの指導者で、わが国の第一第二五か年計画の制定工作に参与し、早くから計画経済と計画体制の枠組み(框框)をとびぬける(跳出)ことができ、1980年には社会主義経済は商品経済であることを確認した。これには深い理論の修養(功底)が必要だっただけでなく、なにものをも恐れない理論の勇気が必要だった。彼はわが国が計画経済から商品経済と市場経済に転向することに、重要な役割を果たしたのである。
 第二に、比較的早くからまた率先して伝統的単一計画調節の枠組みを突き破って、社会主義経済中において価値規律要求に応じ、市場調節作用を充分に発揮することを強調した。誰もが知っているように、1980年代初めから1984年10月の党の十二届三中全会以前、政府文書(官方文件)の主流の言い方(提法)は「計画経済を主とし、市場調節は補助(輔)とする」というもの。この言い方は、改革初期においては、単一計画調節モデルを突破するのに、積極的作用をなした。しかしこの言い方を、改革の目標モデルとするのは適切でない。暮橋同志はこの点を鋭く看取(看出)した。彼は計画調節と市場調節の結合を主張した。計画指導のもと、市場調節を充分に発揮させる。計画調節と市場調節の結合とは、ある種の産品の計画調節でなければ、別の種類の産品の市場調節でもなく、たくさんの産品がすべて市場調節を通じて計画調節を実現するということである。計画管理は、相当大きな程度において、市場調節を通して実現される。つまり(可見)暮橋同志の主張は市場調節をもって基礎とするということである。暮橋同志によって社会主義経済は商品経済に該当する(應當)とされ、市場調節が強調された。1981年4月中共中央書記所研究室は、材料を整理して(暮橋同志を)第四類経済学家に区分した。これは彼は比較徹底的な市場志向改革学派であることを知らしめている(標明)。
    第三に比較的早くから公有経済が優勢であるとともに、多種の経済成分を積極的に発展させることを提起(提出)した。早くも1979年に、暮橋同志は当時全国の都市部の待業人口がすでに2000万余りに達し、社会安定の実際状況に影響していることに対して(針對)、多種の経済成分を発展させることを勇敢にも提起し、就業の道を広げる重要な提案(建議)を行った。明確に提起している、「目下、個人(個體)経済と資本主義の尾を少し残すことは、得ることは多くても害は少ないでしょう(可能利多害少)。」こういっていい、暮橋同志はわが国でもっとも早く、多種類の経済成分の発展を唱道した経済学家であると。たしかに、現在から振り返ると、わが国の経済体制改革がまだ最初の段階(起步階段)にあったとき、二つのことがとても成功した。一つは改革を農村から始めたことは実際的効果があった。いま一つは、国営経済体制の改革の小型実験(試點)をすすめるとともに、集団(集體)所有経済の発展を加速し、あわせて個人経済を認め、私営経済そして「三資」企業の適切な発展を許し、彼らに補充作用を発揮させたことである。この二つの点がいずれもわが国経済のとても早い好転をもたらし、繁栄発展(蓬勃發展)、人民生活の迅速な改善をもたらし、今後の改革の順調な発展し路が開かれることにつながった。
 第四に、改革の各項目の迅速な推進を主張したが、そのためには改革を生み出す好ましい経済環境が必要であるとして、通貨膨張政策に反対したことである。彼は指摘している。1985-1988年、通貨膨張が励まされた(鼓勵)ことで、価格体系はますますゆがめられ、当時の価格二路線制(雙軌制: 双軌制)の2本の軌道は、近付くどころかますます遠くなり、中間で多くの安く買って高く売る(倒賣)がうまれ、二路線制は混乱を極めた(雜亂無章)多軌道制に転化した。価格の混乱(紊亂)は、商品流通の水路(渠道)の混乱につながり、多くの商品の交換が正常な水路から邪悪な水路に脱線した。さらに正規の税収制度をくぐりぬけて、企業が利益と税金について定まった数値を請け負う、請負制(承包制)を実行しようとした。(しかし)通貨膨張がひましに激しくなる状況のもとで、通貨膨張の制止を避けながら価格改革を加速した結果、1988年夏、預金の一斉引き出しと品物を買いあさる風潮がひきおこされ、整理整頓を迫られ、商品経済客観規律の懲罰をうけることになった。この期間において、彼は何度も通貨膨張の制止を提言。経済の安定と改革の全面推進を建言した。現在からみて、暮橋同志の上記の見解は、正確で説得的である。

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