黃明志 我們的海闊天空 2020♪
福光 寛
黃明志(1983-)は広くアジアで活躍するマレーシア出身のマルチタレント。その活動場所は、中国本土にも及んでいた。その意味でこの歌の発表に潔さを感じた(写真は傳通院にて。手前は鐘楼,奥に本堂。2020年6月20日撮影)。
この歌は、「海闊天空」へのオマージュ。「海闊天空」は1993年5月に香港のロックバンドBeyondの黄家駒(Won KaKui 1962-1993)作曲として発表された。発表直後の6月24日、東京のフジテレビ収録で起きた事故により黄家駒は転落し、頭部を強打し亡くなった。死去は6月30日。これは日本テレビ史に残る重大事故。その結果、Beyond最大のヒットとされるこの歌が黄家駒の遺作になった。 背景としてその歌詞のなかに「理想を捨てない」などを含んでいるので、香港では民主派の人たちが、理想を捨てない意思を示す歌として愛唱してきたことがある。
この歌の発表により、黃明志は、自身のビジネスの損得を超えて、民主政治や思想の自由への共感を表明したことになる。単純に損得でいえばマイナスで大陸での活動は今後、困難になるだろう。潔さというのは、黃明志の行動は、そうした損得を超えた思い切った行動に思えることだ。
2020年4月18日にこの歌(我們的海闊天空)がネットで公開されると同時に、大陸ではネット上での流通を防止する措置が取られた(香港での報道による)。ただ中国政府にとって、面倒なのは元の歌(海闊天空)は、広く青年達に愛唱されているために、この元の歌まで禁止できないことだ。ここでは「我們的海闊天空」の出だしを訳出してみる。
原諒我縂不停受傷跌倒 無處可逃 いつも傷つけられ逃げ場がなかった
用盡力氣掙脫 我卻只能咆哮 抜け出そうとただ叫ぶだけだった
前路茫茫遙望夜黑風高 道は遥か向こうまで真っ暗で風は強い
抵不遇這浪潮 この大波に逆らわずに
伸出手 是否還能擁抱 君を抱くことはできない
那些光輝的歲月 あの光輝に満ちた歳月
高舉著舉頭 滿腔熱血 高く上げた拳 熱血に満ちて
爲了理想和自由 理想と自由のために
我們撐過了多少寒夜 寒い夜を明かした
不顧一切 不能抹滅 全てを捨てるのだ
消し去れないもののために
風雨裏追趕 就算再多的夢魘 風雨の中 攻撃は強まり
多くの悪夢となった
每次瀕臨幻滅 崩潰瓦解 そのたびに幻滅
崩壊瓦解に直面した
我們始終在最前綫 いつも最前線にいて
追逐的不是過眼雲煙 追い求めたのは消え去るものではなく
是火焰 是堅決 燃え盛る炎のような堅い決心だ
一起共同創造那心中完美的世界 一緒にすばらしい世界を作ろうと
(不畏懼) (恐れることなく)
用力奔向遠方最終目標 全力で遠い最終目標に向かおう
(血和淚) (地と涙)
不羈在風中 你我都曾經跌倒 絶え間ない風のなかで
二人とも倒れたこともあった
歲月如梭 傷痛 不可能忘掉 時が経つのは早いが
痛みを忘れ去ることはできない
(是我的驕傲) (強がっていえば)
燃起胸口的火藥 火がついている胸元の火薬は
不放手要緊緊提牢 手放さなければすぐに逮捕だ
原諒我縂不停受傷跌倒 無處可逃 いつも傷つけられ逃げ場がなかった
用盡力氣掙脫 我卻只能咆哮 抜け出そうとただ叫ぶだけだった
前路茫茫遙望夜黑風高 道は遥か向こうまで真っ暗で風は強い
抵不遇這浪潮 この大波に逆らわずに
伸出手 是否還能擁抱 君を抱くことはできない
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