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中国経済学史

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2019年4月の記事一覧

張卓元《新中国60多年経済学研究的六大進展》2012

張卓元等著《新中国経済学史綱(1949-2011)》中国社会科学出版社, 2012年。同書の第1章、張卓元《新中国60多年経済学研究的六大進展》pp.1-50の抄訳である。 p.1 1949年の新中国成立から2011年まですでに63年が経った。中国共産党の指導のもと、三座大山(新民主主義革命期には帝国主義、封建主義、官僚資本主義という三つの敵がいたとされる)の暗黒統治をひっくり返して、人民が主人公となる中華人民共和国を建設し、併せて社会主義の広く平坦な道(康庄大道

衛興華《社會主義經濟學》2004

陳東琪主編《1900-2000中國經濟學史綱》中國青年出版社, 2004より第1章社会主義経済学pp.1-22 を抄訳。この章の分担執筆者は中国人民大学の衛興華(1925-2019)である。(写真は成城大学1号館中庭 2019年6月21日) p.1 第一節 社会主義経済学の萌芽時期    一、社会主義経済学の最初の探索  20世紀に入るところで、マルクス主義が中国に伝播し世界で最初の社会主義国家ソ連が建設され、社会主義生産関係を研究対象とする社会主義経済学が生み出され

経済学三巨頭の比較 張曙光

経済学三巨頭の比較                             張曙光 張曙光《中國經濟學風雲史》八方文化創作室,2018より p.1022 マルクス経済学において、孫冶方(スン・イエファン 1915-1974),薛暮橋(シュエ・ムーチアオ 1904-2005),于光遠(ユー・グアンユアン 1915-2013)は三巨頭であり、改革開放前の30年間、彼ら3人は当時の国内経済学の理論研究を主導した。改革開放以後、孫冶方は早く亡くなったが、薛暮橋と于光遠はなお続けて前

孫冶方(ソ連留学1925.10-30.9):真人品格和學者情懷 張曙光 2018

 張曙光《中國經濟學風雲史 下巻Ⅲ》八方文化創作室, 2018年3月 (有名な孫冶方(スン・イエファン 1908-1983)のお話(孫冶方:真人品格和學者情懷 孫冶方:その本当の人ととしての風格と学者としての志)だが、張曙光の記述は多くの点でこれまでになく詳細である。張曙光は長時間の聞き取りをしたとしており、その内容は注目されてよい。なお最後の憲法改正の提言も、中国の知識人の間では知られていることかもしれないが私には新鮮であった。) p.1038 孫冶方の一生は順調でなく、お

王元化 孫冶方同志に関する思い出  2009

《回憶孫冶方同志二三事》 載 《人民政協網》http://rmzxb.com.cn/ 2009年1月15日(『解放日報』より転載)(2015年6月10日閲覧)  1962年6月から8月。陳伯達は孫冶方に毎日『紅旗』雑誌編集部に行き”座談会”に参加することを誘った。康生も何度か孫冶方に座談に行くことを約束させ、彼ができる限り「出す(放)」ことを奨励した。彼の「修正主義」罪の証拠を集めて、一撃でやっつけるために(一棍子打死)。彼はこれが陰謀であることをはっきり知っていたが、なお

顧准:探索的過程 by 張曙光 2018

張曙光《中國經濟學風雲史》八方文化創作室,2018 p.948 顧准(グー・ジュン 1915-1974)の探索(人生上の大きな疑問に対して答えを得ようと探し追い求めること)は前世紀の50年代初めに処分を受けてから始まった。その思想の発展と探索の内容からみて、3つの段階を経ている。  第一段階。発芽期(萌芽期)。1952年から1956年ソ連共産党20回大会前後。党校での学習期間が進んでいる。顧准の探索はすでにマルクス主義理論から開始され、(しかしまだ)完全にマルクス主義の範囲に