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経済活動=椅子取りゲーム『地獄への道は善意で舗装されている』

椅子取りゲームってありますよね。音楽の停止を合図に、みんなで限られた椅子を取り合う遊びです。

実は所得を稼ぐのは椅子取りゲームと同じなんです。

椅子は実質GDPです。みんなとは個人、企業、政府です。

椅子である実質GDPは2021年は約540兆円。これを個人、企業、政府で奪い合う椅子取りゲームを経済活動と呼ぶわけです。

ここで大事なことは、どんなに頑張っても椅子がないと座れない、つまり所得を得られないという事です。

逆に椅子が多ければ頑張らなくても簡単に座る事ができます。つまり所得を得られます。

さて、今日本はデフレです。デフレはGDPが減ることですから、椅子の数がどんどん減っていく状態のことです。

当然、座るための競争は激しくなり、座れない人が増えていきます。

つまり労働条件はどんどん悪くなり、得られる所得はどんどん減っていきます。

これは日本人にとっては本当に辛い、残酷な状態です。

その状態から国民を救うためには椅子の数を増やさなければなりません。

では椅子、つまりGDPを増やすにはどうしたらいいのか。

GDPは需要の合計でもありますから総需要を増やせばいいのです。

需要とは消費と投資です。簡単に言えば誰でもいいからお金をバンバン使うことで需要は増えるわけです。

しかしデフレとは継続的な物価の下落、言葉を変えると貨幣価値の上昇ですから、民間はデフレの時は合理的に考えて消費や投資より貯蓄するようになります。

だから政府が財政出動して椅子を増やそうということになります。

日本以外の国では、ですが。

このとき椅子を増やすことが目的ですので、投資の効果とか、消費の目的とかは二の次です。とにかくお金を使うのが目的です。

例えば役所で3月末に予算が使いきれなければ穴掘って埋めるような公共事業であっても発注して予算を使い切るようにします。

無駄な工事をするくらいなら、いざという時まで貯めておけばいい、という考え方は、言い方を変えると椅子を減らして誰かを貧しくすればいいという考え方と同じなんです。

なにか腑に落ちない、直感的におかしいと感じますか?

それは正常な感覚だと思います。でも、それは椅子の数が不足していない、インフレの時の考え方なんです。

日本は今椅子の数が足らないデフレなんです。異常事態なんです。

先程も書いたようにデフレの時は民間は節約をします。

そしてここが、間違いの根本なのですが政府も節約するべきだと、与党も野党もそして国民も思いました。 

そのうえこの考え方を疑問に思う人はほとんどいませんでした。

だからここ30年は与党も野党も、構造改革という名の下にどっちが無駄遣いを減らすか、どっちが責任を持って増税をするのかを競い合ってきました。

私達の方がもっと椅子を減らします!とやってきて、より減らすと言った政党を日本人は支持してきたんです。

ここでのポイントは皆真剣に日本を良くしようと思っていたことです。 

『地獄への道は善意で舗装されている』

これはヨーロッパのことわざです。

だから誰が総理になっても、どこが与党になっても緊縮財政が続きました。椅子が減り続けました。

しかし政府が収入を増やすために増税して、無駄を削るために支出を減らすとさらに椅子が減ります。それを座る椅子がなくて困っている国民のために善意で、やり続けているんです。

結果、減り続ける椅子を求めて日本人や企業は30年以上ずっと激しい競争を強いられています。

そして座れない人は増えていきました。だって椅子が減っていくんですから。

でも政府は政策が間違っていると思っていません。だから30年も同じことをしているんです。

今あなたが幸いこの日本で豊かであったとしても、確実に椅子は減っています。私や貴方が座れなくなる日も来るかもしれません。

一人一人の国民が経済を正しく理解し、少しでも早く日本の政策が転換されることを心から願ってこれを書いています。

ここまで読んで頂きありがとうございます。


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