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全政治家のSNSアカウントの開設を禁止する法案、な〜んてできっこないよね。。

かつてネットが政治や社会をよくするという夢が信じられていたゼロ年代が過ぎ去り、ネットがフェイクをばらまいたりエコーチェンバー化を引き起こしたりして世界中で社会問題になったテン年代が終わりました。

それでもまだあの頃の夢を諦めきれずにネットに期待を抱いているナカーマはいらっしゃるでしょうか。

な、な、なんと、2021年1月8日Twitter社はトランプ大統領の個人アカウントを永久凍結しました。
(永久凍結されたのはトランプの個人アカウントであり、米大統領が使える公式アカウントはまだあるようです。)

ちょっとした歴史の転換点になるかもと高まったので、記事をしたためておきます。

参考記事
"ツイッター社、トランプ氏の個人アカウントを永久凍結 各社がSNSパーラーを凍結や削除"

いわゆるGAFAと呼ばれるゼロ年代に始まってテン年代を彩ったビッグ企業達が、色々検討した結果トランプのアカウントを削除したり、トランプの支持者が集うSNSサービス(パーラー)をawsのホスティングサービスから削除するそうです。
(AWSにあるサーバを勝手に消されたらちょっと恐ろしいですよね)

テン年代に色々社会問題が起きていくなかで、世界をよくするためにあれこれ考えた学者達(米欧問わず)は何もかもを独占してるプラットフォーマー達にもっとああしろ、こうしろと指示を出し続けてきました。

プラットフォーマー達もそれに応えるべく、ヘイトや誹謗中傷、犯罪対策にフェイクニュース対策などコミュニティポリシーをどんどん強化してきたという経緯があります。その果てに、今回のトランプさんのアカウント削除騒動があるという印象です。

これに関して自分が学生の頃からずっと思っていたのは、そもそもSNSに政治家のアカウント開設を許可しないようにするための法律を制定できないだろうか?という疑問です。

SNSと政治が組み合わさるとどうしても問題が起きる。
だったらもうSNSで政治をやるのは全部やめてしまったほうがいいと思いました。

ネットの夢は別にSNSだけに託す必要がないからです。

140字の短文で会話して、ハートマークを投げ合って、リツイートでろくに読んでもいない記事を一瞬で拡散してしまえるサービスが、一体どういう原理で政治をよりよくするのか、さっぱりわからないなと前からずっと思っていました。

もちろん人々はSNS上でなんでも自由に発言したいと思うだろうから、政治的発言を禁止するなんて物騒なことは絶対にしたくありません。
(むしろ自分が困ります)

でも公職選挙法とかで色々縛りがあるように、現職議員や一度議員を経験した市民に対しては、なにか理屈をつけてSNSアカウントの開設を禁止することって出来ないんだろうかって思っていました。
(法律は全然わかんないのでただ妄想するだけですが。。)

政治家のアカウントさえSNS上に存在しなければ、SNSと政治の組み合わせは今とは違った相乗効果を生み始めるのではないかと思うからです。

そう思っていた矢先にですよ。トランプtwitter垢BAN事件。

トランプとバイデンのどっちがいいかとかは特に自分はなんの意見もないんですが(アメリカの事情よく知らない...)、トランプには支持者が7500万人、バイデンには支持者が8000万人居て、最近あった大統領選挙ではバイデンが勝ちました。

この7500万人くらいのアメリカ市民が投票したトランプという奴は、色々と問題を起こしてる奴でして、そのへんが批難されるのが当然であることは筆者も分かります。

しかし、それがアカウントの削除にまで至るとは思いもしませんでした。

ゼロ年代のネット感覚を知ってる人なら、ネットはインディペンデントにやるもの、自由と独立が大切、ネットで真実(これは今じゃ悪名高い)、言論弾圧には断固抗議、などが当然の価値観だったんじゃないかと思います。

それが今回で完全に覆ったことに筆者は大変驚きました。

これは歴史の転換点になるのでしょうか。

twitter社の人が真面目に色々考えてアカウント削除に至ったように、トランプおよびその支持者らには沢山の問題があるのは間違いないと思います。

ただ、削除されたらトランプ支持者たちは当然怒るだろうし、GAFAが言論弾圧をしてきたと主張しつつ、インターネット本来のインディペンデントな価値観に基づいて自前サイト作りを始めるでしょう。

結果的に対立感情を煽るだけなのではないかと思いました。

例えば、党派性に寄りすぎてフェイクニュース気味の投稿を流してしまった政治家は、twitter社によって削除されても文句は言えなくなるでしょう。

自動車の免停みたいに、常習的な犯行を何回も繰り返したらアカウント削除っていうルールになるのかもしれませんが、なんにせよもうこれからの世界ではGAFAの定めるポリティカルコレクトネスに準拠しない発言や投稿や振る舞いを重ねた場合は影響のある人から順番にアカウントが削除されていきます。

今回はアメリカの右翼トップのトランプが削除対象者でしたが、これからは左翼の政治家が対象者になることだって十分にありえます。

例えば、ポリコレにおもいっきり抵触する暴力革命は、左翼が考えて考えて考えた先に、運動が失敗して結果的に行き着く先だったりするからです。
(参考、連合赤軍など)

根本的な問題はエコーチェンバー化によってそれぞれの支持者の間に深い分断が起きていることです。

エコーチェンバー現象(エコーチェンバーげんしょう、Echo chamber)とは、閉鎖的空間内でのコミュニケーションを繰り返すことによって、特定の信念が増幅または強化されてしまう状況の比喩である。by wikipedia

それぞれの支持者達が、同じコミュニティで、似たような情報をシェアしあって、推しを決めて応援しあって、敵を決めて一致団結する。

このSNSの性質に基づいて生まれる根本的社会問題が今回のような現象を引き起こすのなら、それを根本的に対策するためには、全ての政治家のSNSアカウント開設を禁止する法案を制定するのがいいんじゃないかと思います。

SNSから政治家だけが消えれば、おそらく投稿内容から党派性の割合が減ります。
党派性の割合が減れば、政治的対立は起きづらくなります。
敵と味方の分断さえ起きなければ、人々がフェイクニュースで騙されたり、それを信じ込んでしまう割合も減ります。
たとえ支持者の動員や集客が不便になろうとも、そのほうが現状よりもマシなんじゃないかと思います。
(政治に対してみんなが情報発信できる!という漠然とした夢のあったゼロ年代から見れば退化してる気はしますが)

カール・シュミットは政治を「友と敵に分ける行為」だと定義しました。
この定義はアメリカ大統領選や大阪都構想を見ているとまったくその通りだな!!と実感ができました(シュミットは天才ですね)。
だから隣人と仲良く生きるためには、政治ってできるだけ使うべきではない、使うにしても気をつけないといけないと思います。

人々が友と敵を分ける行為を実行してしまう元凶となっている政治家アカウントをSNS上から撲滅し、ネット上に政治家の信者(友)・アンチ(敵)ではなく”観客”を増やしていく営み。それを可能にするのがこの法案なのではないかと思います。

こんな法律はどうせできっこないと分かってはいるんですが、ネットをウォッチしてきた筆者としてはビッグニュースだったので、ちょっと記事をしたためてじぶんの考えを綴ってみました。

ここまで読んでいただいてありがとうございます。
おしまい


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